今回は、積立投資の王道「ドルコスト平均法」について解説します。
マネーセンスカレッジには、全世界投資には大きく3つの戦略があります。資産分散を行うための「アセットアロケーション」、時間分散の「ドルコスト平均法」、資産を管理・調整するための「リバランス」です。
ドルコスト平均法は、資金が少ない方でもすぐに投資を始められるおすすめの買い方です。そのため、これから投資を始めようと考えている方は、ぜひ記事を参考にして、積立投資の王道を学んでいきましょう。
一定期間に一定金額を購入し続けるドルコスト平均法
ドルコスト平均法は、毎月決まった金額で金融商品を購入し続ける投資手法です。
一定期間ごとに決まった金額で購入することで、価格が高いときは購入量が少なくなり、価格が低いときは購入量を多くできます。

一般的に、投資は「商品の価格が安いときに買って高いときに売る」とイメージされるのではないでしょうか。
もちろん、この考え方は間違いではありません。
しかし、投資を始めてまもない段階で、売買のタイミングを判断するのは難しいですよね。
勉強するとある程度判断できるようになりますが、投資をスタートするまでの時間が伸びてしまいます。
その点ドルコスト平均法なら、売買のタイミングを考える必要はありません。
購入する期間を定めて、一定期間ごとに一定金額を投資するだけで実施できます。
このように、投資初心者でも簡単に始められる金融商品の買い方がドルコスト平均法です。
投資初心者にドルコスト平均法がおすすめの理由
金融商品を買う際の戦略には大きく分けて2種類あり、期間ごとに一定金額を投資する「ドルコスト平均法」と、期間ごとに一定数を購入する「定量法」があります。
2つの買い戦略がありますが、なぜ投資初心者にドルコスト平均法がおすすめなのでしょうか。
その理由を、画像やグラフを使ってわかりやすく解説します。
投資では価格よりも数量が大切
投資を始めたばかりの方の多くは、金融商品の価格だけに注目しがちです。
「商品の価格が値下がりしていないか?」「順調にお金が増えているのか?」など、お金ばかりに注目してしまいます。
価格も大切な項目ですが、自分の持っている資産を考える際には「数量」をより重視しなければなりません。
数量とは、いわゆる「購入した量(口数)」です。
自分の現在の資金残高を計算する場合、所有している商品の時価総額の合計から求めます。
たとえば、AとBの2つの商品を持っていた場合「Aの時価総額」と「Bの時価総額」を合計した金額があなたの資金残高です。
A+B=資金残高
購入した商品の時価総額を求めるには、商品の「基準価格」に現在持っている「数量(口数)」をかけて計算します。
基準価格×数量=時価総額
つまり、時価総額を計算するには「基準価格」と「数量」の2つの数値が必要です。

しかし、投資対象となる金融商品には価格変動があるため、基準価額は一定ではありません。
価格が下がるときもあれば、高くなるときもあります。
一方で「あなたが何口持っているのか?」という「数量」は常に一定ですよね。
売却しなければ、購入した口数だけ右肩上がりに増えていきます。
そのため、価格が不安定な「基準価格」よりも売却しなければ購入したぶん増えていく「数量(口数)」をどれだけ持っているかが大切になるのです。
ドルコスト平均法は「数量」を多く購入できる
ドルコスト平均法をおすすめする理由は、上記で説明した「数量」を多く得られるためです。
以下の画像は、ドルコスト平均法と定量法それぞれで金融商品を6ヶ月間購入した場合のグラフと表になります。


1万口あたりの基準価格の6ヶ月間の合計は60,000円です。
ドルコスト平均法では、一定期間(1ヶ月)ごとに一定額(10,000円)を支払っているため投資金額の合計は60,000円です。
しかし、購入口数は投資した金額よりも1,035口も多い「61,035口」ですよね。
一方、定量法では毎月一定口数を購入しています。
その結果、購入口数の合計は60,000個。投資した金額の合計は61,035円になっています。
このように2つの買い方を比較してみると、投資期間を同じにした場合は定量法よりドルコスト平均法が数量(口数)を多く購入できていますね。
投資は、数量を確保することが大切です。したがって、投資初心者が積立投資を行う際は「ドルコスト平均法」をおすすめしています。
ドルコスト平均法が持つ「本当の強み」とは?
ここまで、投資初心者にドルコスト平均法をおすすめする理由を解説しました。
ドルコスト平均法は数量を多く確保できる買い戦略ですが、実は本当の強みは別にあります。
投資を始める方の多くが不安になる「下落」を受けたとき、ドルコスト平均法は力を発揮するのです。
ドルコスト平均法は下落相場に強い戦略
以下の画像は、購入時の基準価格を10,000円として、そこから価額が上がり続けているA(青線)と価格が下がっているB(オレンジ線)の金融商品を表したグラフになります。

商品Aは価格が上がり続けた結果、21ヶ月後に14,000円になっています。
反対に、商品Bは購入後すぐに価格が下がり、21ヶ月経過した段階で6,000円ほどまでしか回復していませんね。
2つを比較したときに、あなたはどちらの商品を購入したいですか?
おそらく、価格が上がっている商品Aを選ぶのではないでしょうか。
次に、2つの商品をドルコスト平均法で毎月10,000円ずつ購入したグラフを見てみましょう。
その結果、資産残高は以下のグラフのようになりました。

どちらの商品も、元本(赤線)より資産残高は増えています。
ただし、商品Aよりも商品Bのほうが得られる資産残高は大きくなっていますね。
価格が上がり続けた商品Aを買った場合の資産残高は約250,000円。価格が元に戻らなかった商品Bを買った場合の資産残高は270,000円ほどになりました。
数字のトリックのように見えますが、それぞれの商品の「基準価額」と「購入した総口数」を掛けた場合、上記の結果になってしまうのです。
注意して欲しいのは、決して商品Aを否定しているわけではありません。
覚えて欲しいのは、商品Bのように下落を受けたあとに購入時の価格に戻らなかったとしても、ドルコスト平均法で購入し続けて持っている口数が増えれば、最終的に十分なリターンを期待できるということです。
下落相場が数量を多く購入できるチャンスになる
ドルコスト平均法では、商品Bのように下落を受けたときこそ数量(口数)を多く確保するチャンスです。
以下の画像は、AとBの金融商品を10,000円で購入し続けた際の数量の推移を表したグラフになっています。

グラフからわかるように、商品Bは商品Aと比べて数量が多いですよね。
ドルコスト平均法は、基準価額が高いときは購入量が少なくなり、安いときには購入量が増加します。
たとえば商品Bの4ヶ月目は、価格が10,000口あたり約3,000円と一気に値下がりしました。
そのため、10,000円で約30,000口以上購入できます。
一方で、商品Aは価格が常に上がり続けていました。
価格が上がると10,000円で購入できる口数は段々と減っていきます。
そのため、購入した数量も右肩下がりになってしまいます。
さらにわかりやすくするために、購入した数量累計を表したグラフでみてみましょう。

上記のグラフで、商品Aの数量累計は約17万口です。
比べて、商品B(オレンジ)は約40万口と倍以上の数量になっています。
要するに、価格が下がっているときこそドルコスト平均法で積立投資を行うと数量を多く確保できるのです。
これがドルコスト平均法が持っている本当の強みであり、マネーセンスカレッジが採用している真の理由です。
ドルコスト平均法のデメリットを理解しておこう
ドルコスト平均法は下落相場に強い戦略ですが、メリットばかりではありません。
ドルコスト平均法には、ある特定の相場に弱いデメリットもあります。
ただし、その弱点すらも「全世界に投資をする」と決めてしまえば気にする必要がなくなります。
ドルコスト平均法は下がり続ける相場に弱い
ドルコスト平均法は、投資対象となる商品の価格が下がり続けた場合に機能しなくなります。
つまり、長期的な下落相場に弱い特徴があるのです。
購入した金融商品の時価総額は「基準価格×数量」で算出できましたね?
価格が下がり続けると、基準価格は常に安い状態。そのため、どれだけ数量を持っていても時価総額は増えていきません。
ドルコスト平均法は、下落相場を受けたあとに価格が上がり始めたときこそ力を発揮します。
下がり続ける相場でドルコスト平均法を続けてしまうと、ただ価格が安い商品をたくさん持っている状態になってしまうのです。
全世界投資と組み合わせると弱点は解消できる
長期的な下落相場が苦手なドルコスト平均法ですが、全世界投資と組み合わせるとその弱点は解消できます。
全世界投資は、日本株式や海外株式新興国、海外債券先進国など世界中のアセットへまんべんなく投資を行います。
したがって、全世界投資でドルコスト平均法が機能しなくなる状況は世界中の金融商品の価格が下がり続けているときです。
世界中の相場が下がり続けて回復しないのであれば、それは世界経済が崩壊しているのと同じではないでしょうか。
リーマンショックやコロナショックなどの大きな金融危機により、世界経済が一時的に下落する可能性は十分にあります。
しかし、世界全体の価格が下がり続ける状況が長く続く可能性は限りなく低いです。
世界は、常に右肩上がりに経済成長をしています。
なぜなら人類は「明日をもっとよくしたい」という想いから、さまざまな便利なものを開発し生活をより豊かにしようと努力をしているためです。

このように、全世界の価格が下がり続ける可能性は低いと考えると、全世界投資とドルコスト平均法の組み合わせは長期投資に最適な方法論です。
投資初心者こそ積立投資はドルコスト平均法を活用しよう
ドルコスト平均法は、積立投資の王道の戦略です。
- 数量を多く購入できる
- 小資金でも始めやすい
- 下落相場にこそ強さを発揮する
上記のポイントを理解しておけば、ドルコスト平均法と全世界投資の組み合わせで安定した運用を実行できます。
投資を始めるのが怖いと感じている方は、まずはドルコスト平均法を使った積立投資から始めてみてはいかがでしょうか。