バランス型ファンドは、投資を始めたばかりの方に人気のファンド形式です。少ない資金で安定した運用ができ、自動でリバランスも行ってくれます。投資を始めるならバランス型ファンドを買ったらいいのでは?と悩む方は多くいます。
しかし、実は投資初心者がバランス型ファンドを安易に購入するのは非常に危険です。数十年間ある投資生活に悪い影響を与える3つのデメリットが存在しているためです。
本記事で意外と見落としがちなバランス型ファンドのデメリットを解説します。ぜひ記事をチェックして、バランス型ファンドは本当にあなたの投資目的と合っているのか、あらためて考えていきましょう。記事を最後まで読むことで、きっと自分に合う投資方法も見つかります。
バランス型ファンドとは複数の資産で構成された投資信託
バランス型ファンドとは、株式や債券、REITなど複数の資産で構成される投資信託です。
日本株式と日本債券、日本REITだけで構成されていたり、海外株式と海外債券だけで作られていたりと、さまざまな商品があります。
バランス型ファンドの魅力は、1つの商品で複数の資産に投資でき、少額で安定運用を目指せることです。
また、運用会社にリバランスを任せられるのもメリットのひとつ。リバランスを行うことで利益を可能な限り最大化できるようになります。
一度購入するだけで、安定して運用を続けられる投資初心者に人気の投資信託です。
バランス型ファンドをおすすめしない3つの理由
バランス型ファンドは、少ない資金で安定運用を目指せるので、一見すると投資初心者にやさしい商品のように思えますよね。
ただしメリットがあるということは、もちろんデメリットもあります。バランス型ファンドのデメリットは以下の3つです。
- 投資先を把握しない
- 信託報酬手数料が高い
- リバランスによるパフォーマンスの低下
3つのデメリットは、投資家としての成長や運用利益に悪い影響を与える可能性があります。それぞれのデメリットをしっかりと理解して、バランス型ファンドを購入するか判断していきましょう。
1.投資先が何か把握しないまま投資を続けてしまう
バランス型ファンドをおすすめしない1つめの理由は、投資先や投資戦略などについて学ばなくなることです。
バランス型ファンドは、手数料が高い代わりに運用のすべてを任せられるメリットがあります。
しかし、運用を任せる副作用として「何に投資をしているか把握していない状態」になりやすいです。

投資先を把握しない状態が長く続いて失敗した例に、厚生年金基金の制度破綻がありました。厚生年金基金の制度破綻の根本的な原因は、アセットアロケーション運用ではなく、アクティブ運用を行っていたためです。
しかし、厚生年金基金を運用する会社の中には、バランス型ファンドを購入していたところもありました。
安定した運用が目指せるバランス型ファンドを購入しているにもかかわらず基金が破綻をしたのは、運用担当者がファンドの中身を把握していなかったためです。
「バランス型ファンドだから中身はあまり把握しなくてもいい」という安易な考えの結果、アセットバランスが崩れているのに気づかず運用に失敗してしまったのです。
つまり、投資先の中身や変動幅について把握しないことが非常に危険であることが過去の事例からすでにわかっているということですね。
なるべく労力をかけずに、投資をしたい気持ちは共感できます。
しかし、あなたの大切なお金を預けているので、投資先の中身や変動幅などについて最低限の勉強を行い自分自身で管理できるようになりましょう。
2.バランス型ファンドは信託報酬手数料が高い
2つめの理由は、バランス型ファンドの高額な信託報酬手数料です。信託報酬手数料は、ほとんどのバランス型ファンドで1%を超えます。
- インデックスファンド:平均0.5%
- バランス型ファンド:平均1.0%
通常、インデックスファンドは「ファミリーファンド方式」と呼ばれる売買方式を採用しています。ファミリーファンド方式とは、マザーファンドとベビーファンドに母体を分けて運用を行う投資方法です。
私たち一般の個人投資家が投資信託を購入した場合、その商品は「ベビーファンド」にあたります。ベビーファンドを複数個まとめて運用するファンドが「マザーファンド」です。
マザーファンドでまとめて運用することで、ベビーファンドそれぞれで個別運用するよりも、規模を大きくして効率化が測れるので、インデックスファンドは手数料を安く設定できます。
一方、バランス型ファンドは「ファンド・オブ・ファンズ」と呼ばれる、複数の投資信託を組み合わせて購入し運用を行っていく方式を採用しています。実質的には、投資信託を何個も購入しまとめてバランス型ファンドにして運用を行っているということです。
ファンド・オブ・ファンズ形式の場合、複数の投資信託を運用するコストが多くかかるため、必然的に信託報酬手数料は高くなります。

もちろんバランス型ファンドは、そのほか運用に関わる手間を省けるメリットがあります。
ただ、もし投資の勉強をして自分で運用ができるようになるとどうでしょうか?管理ができるなら、わざわざ手数料が高いバランス型ファンドを購入する必要はなくなりますよね。
将来的に自分で管理できるなら、わざわざ信託報酬手数料の高いバランス型ファンドを購入する理由はないでしょう。
3.リバランスにより投資パフォーマンスが低下する
3つめの理由は、ファンドマネージャーが行うリバランスによって投資パフォーマンスの低下が考えられるためです。
リバランスとは、株価の上昇や下落などで各アセット(資産)のバランスが崩れたときに、売買を行い適切なアセットバランスに戻すことをいいます。

バランス型ファンドは、自動で毎月リバランスを行ったり、ファンドマネージャーにリバランスを委託したりすることで調整を行います。
たとえば、1つのアセットがずっと値上がりしており、別の1つのアセットは値下がりしている状態があるとしましょう。
この場合、バランス型ファンドで毎月自動でリバランスを行うと、アセット同士の差が出ないまま調整されます。そのため、損失は少なくなりますが利益も上がりません。
通常は、売買するアセット同士の価格がある程度離れたタイミングでリバランスを行います。差額の分だけ安いファンドを多く購入できるため、利益を多く生み出せるのです。
つまり、バランス型ファンドのように他人に任せるのではなく、リバランスは自分のタイミングで行うことが大切です。
リバランスについては、下記の記事で解説しています。利益を最大化するためには大切な考え方なので、本記事と併せてぜひチェックしてください。
他人任せの考えは非常に危ない!自分で運用できるように最低限の勉強はしよう

今回は、投資先を悩んでいる方へ向けて、バランス型ファンドをおすすめしない3つの理由を解説しました。
- 投資先を把握しなくなる
- 運用にかかる手数料が高い
- リバランスによるパフォーマンスの低下
この3つの理由の中でも、特に「投資先を把握しなくなる」ことがバランス型ファンドをおすすめしない最大の理由です。
投資がわからないから、運用を任せられるバランス型ファンドを購入したらいいという考えは非常に危険。
投資をする以上は、何に投資をしていて、どのような投資方法で運用を行えばいいのかしっかり勉強をしましょう。