「新NISAは現行のNISAと何が違うの?」
「今使っているNISA枠はどうなる?」
「2階建の仕組みになったみたいだけど、いまいち理解できない!」
2024年からスタートする新NISAについて、上記のような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
2020年初めごろにNISA制度の見直しが行われ、2024年からは新NISAが始まります。
そこでこの記事では、現状の制度が新NISAになることで変わる3つのポイントをわかりやすく解説します。
2024年スタートの新NISAとは

「新NISA」とは、2014年からスタートしていたNISA制度をあらためて見直し、国民に家計の安定的な資産形成を促進させることが目的の制度です。
新NISA制度の主な変更ポイントは以下の3点。
- 一般NISAを2階建の制度設計に変更
- つみたてNISAの5年間延長
- ジュニアNISAの廃止
さらに細かく今回の改正による細かい制度の変更点を以下の表にまとめています。

上記の比較表を参考にしながら、変更点を確認していきましょう。
一般NISAの変更ポイント
今回の制度改正で、一般NISAは2階建の制度となりました。
1階の「20万円分のつみたてNISA」と2階の「102万円分の一般NISA」が組み合わせったようなイメージです。
制度内容がかなり難しくなっているため、一つひとつ確認しながら読み進めてください。
現行制度の利用期間は2028年まで延長
まず現行の一般NISAは、制度改正によって投資可能期間が2028年までの5年間延長されます。
ただし、一般NISAで商品を購入できるのは2023年まで。2024年以降に商品を購入する場合は、新NISAを利用しなければなりません。
現在一般NISAを利用されている方は、新NISAに移行するかどうかは選択制です。
もし現状の一般NISAを2024年以降も継続して使用する場合は、所定の手続きを行い120万円の非課税枠で最長2028年まで投資ができます。
何も手続きをしなければ、2024年1月1日に新NISAへ自動更新されます。
そのため、一般NISAを継続して使用したい方は注意しておきましょう。
1階部分は「つみたてNISA」2階部分が「新NISA」
新NISAは2階建の制度設計になっており、1階部分がつみたてNISA、2階部分が新NISAです。

新NISAでは非課税投資枠や購入できる商品、投資方法が1階と2階で異なります。
2階部分の投資商品は、高レバレッジ投資信託や上場株式の中でも監視銘柄、整理銘柄などは購入対象外です。
1階部分ではつみたてNISAで購入可能な商品から選ぶことができます。株式投資信託やバランス型投資信託などを購入できるということです。
また原則、1階部分を利用することで2階部分が利用できるようになります。
ただし、1階部分の20万円の非課税枠をすべて使い切る必要はありません。1階で購入できる商品の積立設定さえ行えば、2階の利用が可能となります。
「20万円のつみたてNISAは必要ないので、2階部分の102万円の枠だけ使いたい!」という方もおられるでしょう。
この場合、何かしらの投資経験がある方限定で1階部分を使用せずに2階部分を利用できます。
しかし、個別株式以外の商品は購入できなくなるため、安定的な資産形成を行いたい方にはおすすめしていない利用方法です。
1階部分はつみたてNISAへロールオーバーが可能
新NISAは1階と2階に分かれますが、1階部分で投資した利益は非課税期間終了後につみたてNISAへロールオーバーができます。
現時点(2022年1月)では、非課税期間終了後の新NISAの継続は明確に決まっていません。したがって、2階部分に関してはロールオーバー機能がない状態です。
もしロールオーバーができない場合は、2階部分で購入した投資商品は、非課税期間終了後に価格に関係なく特定口座への移管もしくは売却になるでしょう。
一方、1階部分はつみたてNISAへのロールオーバーが可能です。1階部分で購入していた投資商品の価格に関係なく、非課税期間が20年間あるつみたてNISAへロールオーバーができます。
つまり、ロールオーバーも含めればつみたてNISAは25年間使用可能になっています。
ロールオーバーについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。ロールオーバーの意味や使い方を解説しています。
一般NISAから新NISAへのロールオーバー
現状の制度では、一般NISAを2028年まで使用した場合は、非課税期間終了後のロールオーバーができません。
ただし、一般NISAから新NISAへ移行する際はロールオーバーが可能です。
一般NISAから新NISAへのロールオーバーは、購入している商品の金額に関係なく2階部分の102万円の非課税枠から使います。
102万円を超える金額の場合は、1階部分の20万円の非課枠が利用されます。
さらに122万円の非課税枠を超える金額だと、1階と2階両方の非課税枠をすべて使いますが全額ロールオーバー可能です。

基本的に、NISA制度で購入した商品はロールオーバーをおすすめしています。ロールオーバーは、税制面のメリットが大きいためです。
たとえば、投資商品の価格が高くなり122万円の非課税枠を超えていたとしても、全額ロールオーバーできるため、最終的な利益が大きくなる可能性があります。
逆に価格が下がっている場合は、元本が元に戻り利益が出るまで待つことが可能です。
このように、一般NISAを利用されていて非課税期間が終了後した場合は、新NISAへのロールオーバーを推奨します。
つみたてNISAは2042年まで利用期間が延長
2018年からスタートしたつみたてNISAは、投資可能期間が5年間延長され2042年まで利用可能になりました。

2022年から利用できると、つみたてNISAの利用期間は20年間あります。そのため、毎年40万円投資できれば非課税投資枠を使い切ることが可能です。
ジュニアNISAは2023年12月31日で廃止
ジュニアNISAに関しては、2023年12月31日で終了が決定しました。
2019年の12月末時点で約35万口座ほどしか開設されておらず、利用実績が少なかったことが原因です。そのため、新規の口座開設は2023年までとなっています。2024年以降に未成年者が投資を始める場合は、未成年者の特定口座で運用を行います。
2023年までにジュニアNISAで保有していた金融商品に関しては、2024年1月1日以降に払い出しが可能です。払い出し時の注意点として、子どもの年齢に関係なく全額一括払い出しであれば非課税になります。
しかし、一部だけ払い出す場合は、課税対象になるため注意してください。
2023年までにジュニアNISAで保有している商品は、子どもが成人になる18歳まではそのまま非課税口座で管理ができます。たとえば、2023年時点で子どもが10歳になる場合、残り8年間は非課税で保有し続けられるということです。
ジュニアNISAは、今のうちに利用しておくとお得な制度です。利用可能な期間も残りわずかなので、下記の記事からぜひチェックしてください。
マネーセンスカレッジのおすすめは「新NISA」に移行
新NISA制度が始まることで、現在一般NISAもしくはつみたてNISAを利用されている方は、以下の3つの選択肢があります。
- 新NISAへ移行する
- つみたてNISAを利用し続ける
- 一般NISAを2028年まで利用する
上記3つの中で、マネーセンスカレッジでは新NISAの利用をおすすめしています。
新NISAになることで、1階部分で毎年20万円分をつみたてNISAと同じ金融商品が購入できます。
2階部分では、一般NISAとほぼ同じ商品が購入できるため、新NISAだけでアセットアロケーションを組むことが可能です。

アセットアロケーションが組めると、マネーセンスカレッジが推奨している投資戦略「全世界投資」を実施でき、安全で安定的な資産形成を行えます。
制度を把握して新NISAへの移行をスムーズに行おう!
今回、新NISAの制度や現行のNISA制度との違いについて解説しました。
NISA制度は、利益に対してかかる税金が非課税になるお得な制度です。新NISAに変更しても、投資家側にメリットが大きいことは変わりません。
ただし、2028年以降も新NISAの2階部分が利用ができるかどうかは未定です。
先の未来は誰にもわからないので、新NISAが開始される2024年に始めるのではなく、今のうちから一般NISAで投資を始めて経験値を貯めておきましょう。