本記事では、老後資金を作る際に最強な制度「確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)」をなぜおすすめしているのか解説しています。
確定拠出年金の仕組みを理解する前に、そもそも「本当に確定拠出年金は必要なのか?」という疑問があると、いくら勉強しても中々頭には入ってきません。
そのため、まずは確定拠出年金がなぜこれからの投資生活に重要なのか説明します。政府がこの制度を導入した背景も知っておくと、よりこの制度の重要性に気づくことができます。
老後資金の問題を解決できれば今のお金の不安はなくなる
私たちは生活を続けていく上で、お金にまつわるさまざまな不安を抱えています。
たとえば、教育資金が確保できなかったり、なかなか給与が上がらなかったり、インフレによる物価の上昇などです。
このような不安は尽きないモノと考えがちですが、実は「老後のお金の問題」が解決できるとあなたが抱えているお金の問題はほとんどなくなります。
実際に、日本は老後のお金について深く考えなくてもよい時代がありました。1980年代のバブル期です。
バブル期の日本は非常に活発であり、収入のほとんどを趣味や遊びに使う勢いでした。宵越しの金は持たないといった感覚ですね。
なぜ、あの時代の人たちはこのような生活ができたのでしょうか。
それは株価は右肩上がりで景気がよく、毎年収入も増えており、退職金と確実に受け取れる年金で定年を過ぎたあとも安定した生活ができるとわかっていたためです。
要するに、国や企業が老後生活を支えてくれることが明確だったのでお金の不安があまりなかったのです。
ということは、現代でも老後のお金の不安さえ解決できれば、収入のほとんどを今の生活を豊かに幸せにするために使えるのではないでしょうか。
現代において、お金の不安の原因となっているのは以下の3大支出です。
- 教育資金
- 住宅資金
- 老後資金
そのうち教育資金と住宅資金はそのものの不安もあると思いますが、これらの支出をしてしまうと老後資金に影響が出てしまうという間接的な不安も生まれます。
特に晩婚化が進む現代においては、教育資金と老後資金はほぼ同時期に必要になることからトレードオフの関係(両立が難しい関係)にあります。
つまり、教育資金を潤沢にすると老後資金が枯渇し、逆に老後資金を潤沢にすると教育資金が枯渇してしまうという具合です。
支出タイミングが先にくるものが教育資金や住宅資金なので、計画なしにそれらを支払ってしまい老後資金がまったく無いという家庭もあります。
老後資金がまったく無い状態を防ぐためには、通常考え始める時期より前から老後資金の下準備を始めておくことが解決策のひとつです。
まずは老後資金の不安を解消し、他の支出をしても問題ないようにしていくことが重要となります。
昔はそんな心配が不要だったのに今は必要になってしまう理由は、すでにおわかりのように国や企業が私たちの老後を保証することができなくなってしまったためです。
国や企業に対して文句を言い、他人のせいにする人生がいいのであればそうしてください。
しかし、現状はなにも変わりません。
老後の保証がないのであれば、自分で作るしかありません。そのための制度の一つが確定拠出年金です。
国や企業の代わりに自分自身で老後資金を確保していく、それが現代のファイナンシャルプランとなります。そして老後資金の不安が解消されれば、バブル時代の若者たちと同じく老後の不安はなくなります。
その結果、ほとんどすべてのお金の不安が解消されます。
確定拠出年金の概要
老後のお金の不安が減れば、今抱えているお金の不安はなくなると考えています。その際に確定拠出年金はおすすめの制度です。
では、確定拠出年金はどのような制度なのでしょうか。詳しい内容は別の記事で解説していきますが、ここでは特に押さえておきたい特徴を2つ紹介します。
個人型(iDeCo)と企業型(DC)
確定拠出年金は「個人型」と「企業型」の2種類があります。
個人型は一般的に「iDeCo(イデコ)」と呼ばれ、加入申請や掛金の拠出、運用をすべて自分で行います。
一方で企業型は「企業型DC」と呼び、企業が掛金を毎月拠出して、加入者が運用を行う制度です。
2つに共通する仕組みのひとつに、運用したお金は原則60歳まで引き出すことができない制限があります。
たとえば、30歳でiDeCoを始めた場合は原則最低でも30年間は運用を続けなければならないということです。
また、確定拠出年金を利用する場合は手数料がかかります。加入時や移管時、口座管理手数料などが必要です。企業型DCの場合は企業が負担してくれますが、iDeCoの場合は個人(加入者)が負担しなければなりません。
それぞれの具体的な制度内容は別の記事で詳しく解説をしていきますが、簡単にiDeCoと企業型DCの違いを下記の表にまとめたのでご参照ください。
3種類の税制優遇
確定拠出年金のメリットはさまざまありますが、税制が優遇されていることが重要なポイントです。
通常、投資で儲かったお金には「譲渡益税」と呼ばれる税金が一律20.315%かかります。この税金が確定拠出年金では非課税になります。
具体的に確定拠出年金で適用される税制優遇は下記の3種類です。
- 拠出時:所得控除
- 運用時:非課税
- 給付時:公的年金等控除or退職所得控除
投資を行っていく際に、これほど優遇されている制度は他にありません。NISA制度は運用時と給付時(払い出し時)が非課税になりますが、拠出時に特別な控除などはありません。
上記3つのメリットだけをみても利用しないという選択肢は取り得ないでしょう。
確定拠出年金の導入背景
確定拠出年金は老後資金を準備する際に最強の制度ですが、そもそもなぜこのような仕組みが作られたのでしょうか。
これまで私たちの老後は主に2つの制度によって支えられていました。
「年金(厚生年金・国民年金)」と「企業年金」です。
実はこの2つの制度が事実上破綻し国民や従業員の老後生活を支えらなくなることがわかったので、確定拠出年金は導入されました。
では、なぜ2つの制度は破綻してしまったのでしょうか。
年金の事実上の破綻
年金は日本に住んでいる日本人がほぼ強制的に加入する制度です。国民年金と厚生年金の2種類があります。
国民年金は、自営業者や会社員、専業主婦(主夫)などの日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方が加入している制度です。
厚生年金は、会社員や公務員の方が加入できる制度になります。厚生年金には国民年金の保険料も含まれていることから、厚生年金に加入すると同時に国民年金にも加入したことになります。
1階部分に国民年金があり、2階部分に厚生年金があるというようなイメージです。
このような年金制度により、これまでは定年を迎えたあとの生活費は最低限確保できる状態でした。
しかし、少子高齢化によって保険料を支払う人は減り、給付を受け取る高齢者が増えています。その対策として、年金保険料が値上がりしていき、マクロ経済スライドの導入などで年金の給付額は徐々に下がっているのです。
それらの対策を行ってきましたが、対策の速度よりも人口減の速度が早く、以前までのように老後生活を年金給付だけでは支えられないことがわかっています。
そのため実質的に年金制度は崩壊していると言っても過言ではありません。
企業年金の破綻
国民年金と厚生年金だけでなく老後を支えていた「企業年金」も破綻していきました。
企業年金は会社が従業員の老後のために、会社側がお金を負担して積み立てていく年金制度。国からの年金だけでなく、会社からも年金のような形で老後の生活費を支えてもらっていたのですね。
企業年金は種類としては「確定給付」年金のため年金金額が確定されている制度です。そのため、企業が年金金額を従業員に対して保証します。
年金運用は長期間の運用になるので価格変動商品にも投資が行われ、年金運用でどれだけの利回りが得られるかを予測し、予定利回りを設定します。
これにより、拠出金額がいくら必要になるのかを逆算することが可能です。順調に予定利回り以上で年金運用が行われていれば、従業員の年金金額は確保されます。
しかし万が一、年金運用が予定利回りより低迷した場合はどうなるのでしょうか。
企業年金は「確定給付」年金のため支払う年金金額は変更できません。したがって、足りない分は企業の拠出で補わなくてはなりません。
ただ、年金運用がうまくいかない場合は同時に景気が悪い時でもあることが普通なので、企業の業績も芳しくないことが多いです。
追加の拠出が出せる企業体力があれば問題ないのですが、体力のない中小企業などはこの企業年金の拠出が負担になります。
そして長期間の日本経済の低迷により企業がとうとう耐えられず、企業年金は廃止される流れになりました。このように、老後を支えていた制度である年金と企業年金が崩壊し始め、このままでは国民が老後生活を送れなくなります。
そこで年金や企業年金の代わりになるものとして「確定拠出年金」が導入されました。
特大のアメからわかる政府の願い
確定拠出年金という制度を用意しただけでは、利用者はなかなか増えていきません。そこで政府は特大のアメを用意しました。
前述したように過去の日本の制度から見ても類をみない税制優遇です。
拠出時(入口)と運用時は非課税にして、給付時(出口)で課税します。
給付時に課税されるといっても、受け取り方によって他の所得より控除が優遇されている公的年金等控除と退職所得控除のどちらかを使えるため、上手に活用できれば税金をゼロにできます。
基本的に金融税制を変更する場合は増税の方向で調整されます。税金を1%でも上げることができれば、富裕層から取れるお金が多くなるためです。
しかし、確定拠出年金は通常の流れと逆行していますね。このことから、とにかく政府は確定拠出年金を始めてほしいと考えていることがわかります。
別の言い方をすれば政府は、私たちの老後資金を確保する手段として、確定拠出年金を必須要素としてすでに組み込んでいるということともいえます。
私たちは時代の変化についていくためにも、快適な老後生活のためにも、確定拠出年金を生活の中に組み込む必要があると考えます。
甘い言葉に惑わされないように注意する
注意してほしい点として、確定拠出年金の制度の難しさや引き出し制限などのデメリットを利用して、甘い言葉で別の方法に誘導する方達がいます。
「確定拠出年金はいらない」「確定拠出年金を使うと損をする」といった言葉が出る場合は要注意。その方達は、無知な人を食い物にして自分の利益しか考えていない人かもしれません。しっかりと制度を知っていれば、このような一辺倒な言い方にはなりません。
私たちは確定拠出年金が老後資金の確保のために最強な制度だと考えていますが、他の方法のほうがよいという意見もあるでしょう。
甘い言葉に騙されないように、制度内容や利用の仕方をきちんと理解し、あなたにとってどちらがよりよい方法なのかをチェックできるようにしていきましょう。
確定拠出年金を使って老後資金をお得に準備しよう
老後のお金の不安さえ解決できれば、あなたが持っている今のお金の悩みは解決できます。
そのためには確定拠出年金は必須の制度。少し制度は難しいですが、活用できればあなたの人生に大きな恩恵をもたらしてくれます。
メリットやデメリット、確定拠出年金の始め方などは「確定拠出年金プロジェクト」の記事でさらに詳しく説明しています。
記事を読んで実行していただければ、あなたが今抱えているお金の不安は解決できるので、ぜひいっしょに学んでいきましょう。
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確定拠出年金とは?制度から見える政府のアメとムチ【確P#001】