不動産価格が上がっているのに東証REIT指数が下がっているのはなぜ?
全世界投資のアセット別に見ても、国内REITが唯一成績が芳しくない状況となっています。今回は東証REIT指数(Jリート指数)について解説します。
質問内容
キーポイント
国内REITが下落している要因(00:00:52)
Jリート指数が下がっている要因は主に次の3つが考えられます。
①日銀の金融緩和縮小
マイナス金利の撤廃によって金利上昇局面に入っています。借り換え需要など、金利上昇による収益性の悪化が考えられます。
②オフィス需要の低迷
コロナ禍の影響でオフィスの空室率が比較的高い水準となっています。2023年末のデータでは若干の解消が見られるものの、Jリート指数において約4割はオフィスが占めていますので、少なからず価格にも影響が出ていると考えられます。
ただし、海外の主要な都市と見比べてみると東京の空室率は少ないので悲観する必要はないでしょう。
③日本株式が好調すぎてREITへの資金流入が少ない
日経平均の中でも金融株や半導体などの好調なものは株価自体の上昇に加えて、3%〜4%近い利回りがあるので魅力的に感じられます。
国内REITの利回りは4.8%と高水準を維持しています(2024年2月現在)が、REITは長期保有をする場合が多いと思いますので、短期的な値上がり益よりも利回りが高いという日本株式が人気となっている傾向があります。
今後の国内REITについて(00:05:37)
REITの価格に一番大きく影響しているのは、やはり日銀の金融政策の転換です。多くの投資家が様子を見ているのではないでしょうか。
日銀の利上げが早急なものではない、金融緩和を継続する、といった状況であれば、REITの価格も上がってくるのではないかと予想できます。
REITは金利に影響されやすい性質があり、今後日本国内においてインフレが進み金利が上がっていくとREITにとっては向かい風になる可能性はあります。
しかし、株式と比べて利回りは高水準を維持していますし、円安ドル高が緩やかになっていけば海外投資家が購入するということも考えられます。
まとめ
不動産価格の上昇に対して国内REITの価格は下がっていますが、それは地合いの問題であると考えています。
十分な割安感があり利回りも高いですので、長期投資で見れば引き続き魅力的な投資対象であることに変わりはありません。特に日本国内のインフレが続いていけば、株式とは別の値動きをする国内REITにとっては追い風になるでしょう。
全世界投資をしている方はこのまま購入を続けてアセットバランスを整えていけば将来的にしっかり値上がり益を受け取ることができるでしょう。
国内REITの下落が気になっています。ニュースでは「不動産価格が上がっている」と盛んに言われているのに、なぜ投資信託の価格は下がっているのでしょうか。