住宅ローン控除の利用者が上場株式等の配当益・売却益を申告したほうがいいケースとは?

住宅ローン控除を利用している方が、上場株式の配当益や売却益をどのように確定申告すべきか悩むケースがよくあります。

特に住宅ローン控除を使い切れない場合、その配当益や売却益をどう活用して節税効果を最大化できるかが重要です。

この記事では、住宅ローン控除の仕組みと、上場株式の利益を申告する際に考慮すべきポイントを詳しく解説します。

質問内容

以下は、30代の方から寄せられた質問です。

年収約550万円で、住宅ローン控除により28万円の控除を予定しています。現在、年間税引き後の配当益が18万円あります。

新NISAが始まりますが、住宅ローン控除を全て使い切れていない場合、今すぐ配当を確定せず、控除が終わった後に利益確定して新NISAに移行した方が良いでしょうか?

キーポイント

税金の個別具体的な相談に関しては税理士の専権事項です。今回の解説はあくまで一例です。詳しい内容は税理士にご相談やご自分でお調べください。

参考サイト:国土交通省「住宅ローン減税」

住宅ローン控除を最大限活用する方法(00:00:40)

住宅ローン控除は、個人が住宅ローンを利用した場合に所得税や住民税の控除を受けられる制度です。年末の借入残高に応じて控除額が計算されます。

計算された控除額から所得税を引くことができ、もし余っている場合は条件がありますが住民税も控除することが可能です。今回の質問内容も住宅ローン控除額が余っている状態になります。

所得税、住民税を引いても控除が残った場合、控除額は来年に繰り越すことができません。還付も受けることができないので、控除が無駄になってしまいます。

そこで上場株式などの配当益・売却益を申告し、住宅ローン控除の余っている枠を利用する方法があります。

上場株式等の配当益を確定申告したほうがいいケース

株式の配当益は通常、税率20.315%の税金がかかります。この税金は源泉徴収をされるので基本的に確定申告をする必要はありません。

ただ、これを確定申告をすることで「総合課税」を選択して、住宅ローン控除を活用し税金を還付することが可能です。

今回の質問者の例でいえば、28万円の控除に対して所得税や住民税を引いても3万円余る可能性があります。そして年間配当益が18万円ということですが、約4万円ほどは源泉徴収されています。

もし住宅ローン控除が余っているのであれば、確定申告をすることで最大3万円分の還付を受けられる可能性があります。

配当控除は、配当益に対する実効税率を軽減する効果があり、特に課税所得が330万円以上の方には有利です。確定申告を行うことで、源泉徴収済みの税額が過剰に支払われていた場合、その一部が戻ってきます。還付金を受け取ることにより、住宅ローン控除の不足分を補うことが可能です。

特定口座を新NISAに移行したほうがいいのか(00:13:46)

住宅ローン控除を最大限に活用するため、配当益や売却益を早急に確定させず、控除を引き切った後に利益確定する方が得策です。

質問者の場合、特定口座で運用している株式をそのまま保持し、住宅ローン控除を受けた後に売却して新NISAに移行することで、節税効果を最大化することができます。

特に、住宅ローン控除が終了するタイミングで利益確定を行うことで、税制優遇を最大限に活用できるため、控除を無駄にしないようにすることが重要です。

新NISAに乗り換える時の注意点(00:15:00)

新NISAに移行する際には、株主優待や長期保有者向けの優遇措置に注意が必要です。株式を売却して特定口座を空にすると、株主番号が途切れてしまい、優待が受けられなくなるリスクがあります。

そのため、特定口座に一部株式を残し、新NISAに移行する際には株主番号が途切れないよう配慮しましょう。

長期保有による優待や配当の恩恵を受け続けるためには、株式の所有状態を維持しながら、スムーズにNISAへの移行を進めることが必要です。

これにより、節税効果だけでなく、株主優遇のメリットも享受できます。

まとめ

住宅ローン控除を最大限に活用するためには、上場株式の配当益や売却益を確定申告で調整することが効果的です。

また、特定口座から新NISAへ移行する際には、株主優待の途切れや税制優遇の喪失を避けるため、タイミングを慎重に考える必要があります。

適切な対応をすることで数万円の節税効果を得られる可能性があるので、税理士に相談し、個別の状況に応じた判断をしてください。