全世界投資

「全世界株式投資」と「全世界投資」の違いは何?株式だけの投資をおすすめしない理由とは

全世界株式と全世界投資の違い 全世界投資

ここ数年、各証券会社で人気のファンド(投資信託)として「全世界株式」という商品があります。いわゆる、全世界の株式に投資をできる商品が注目されているのです。

この全世界株式のファンドに投資をして運用することと、マネーセンスカレッジが推奨している「全世界投資」を同じ投資方法だと勘違いされている方は多いのではないでしょうか。

実は2つの投資方法は違うものです。同じ方法だと思って全世界株式のファンドだけで運用をしていると、将来投資に失敗する可能性があります。

そこで今回の記事では「全世界株式投資」と「全世界投資」の違いを解説します。どちらの投資方法が自分に合っているのか、記事を参考に判断してください。

全世界株式投資は世界中の株式だけを購入する

全世界株式投資は、簡単にいうと世界中の株式を購入し運用してくれるファンドに投資を行う方法です。

資産運用の世界では「卵を1つのかごに盛るな」という格言があります。これは資産を1つに集中させてしまうと、投資先が危なくなった時に自分の資産も減ってしまうので、投資先を分散させることが大切だということです。

全世界株式のファンドは世界中の企業に投資をしています。つまり、1つ購入するだけで世界中の企業に分散投資ができるというわけですね。

また、後述していますが全世界株式のファンドの構成銘柄は米国企業が中心です。上位10銘柄にAppleやMicrosoft、Amazon、Alphabet(Google)、TESLAなど成長率の高い企業が含まれていることも人気の理由のひとつです。

全世界株式ファンドの中で、よくおすすめされる商品は以下の2つがあります。

  • 三菱UFJ国際 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • 三菱UFJ国際 eMAXIS Slim 全世界株式(日本を除く)

上記のようなファンドだけで投資を行うことを、一般的に「全世界株式投資」といわれます。

全世界投資は世界中にまんべんなく投資をする

全世界投資とは、世界中の投資可能な債券・株式・REITなどにまんべんなく投資をすることです。上記の全世界株式投資との違いは、全世界株式投資が投資対象が株式のみなのに対して、全世界投資は投資可能な金融商品すべてが投資対象である点です。リスクを抑えるために必要な考え方であるアセットアロケーション理論を用いて債券やREITを含む点が大きな違いとなります。

世界の経済成長に乗り、その恩恵を受け取る投資方法としては、全世界投資も全世界株式投資もそれほど大きな変わりはありません。

しかし、いつも右肩上がりで経済成長して価格が上昇していくわけではないことはご存知のとおりです。

不景気や金融危機が起こった時には、株式のみの運用には大きなリスクが伴います。基本的に好景気には株式運用が有利、不景気には債券運用が有利です。

債券は発行体がなくならない限り、利付債であれば一定期間ごとに利払いが行われ、満期まで保有すれば額面がすべて返ってきます。そのため、不景気や金融危機で債券の市場価格が下がったとしても満期まで持っていれば額面が戻ってきますが、株式はその保証は何もありません。

債券運用がそもそも含まれない全世界株式投資は大きなリスクが伴うと言えます。

全世界投資のベースとなるのは「アセットアロケーション理論」です。マネーセンスカレッジが、20年前からおすすめしている投資方法になります。

アセットアロケーションとは資産配分という意味で、自身の運用資金をさまざまなアセット(資産)に適切な割合でアロケーション(配分)して運用を行う考え方です。

さまざまなアセットに分散して運用資金を配分することで、リスク(価格変動リスク)を抑えた運用が可能になります。この各アセットに運用資金を配分する割合を「アセットバランス」と呼び、アセットアロケーション投資の運用結果の80%を決める重要な要素です。

アセットバランスの求め方はさまざまです。金融工学的な観点からアプローチをしたり、社会学的な視点からアプローチを行ったりします。

その中で、マネーセンスカレッジが採用しているのは平均値を取れるものです。要するに、よりリターンとリスクのバランスが取れている考え方を推奨しお伝えしています。

全世界投資の具体的な方法論は、下記の記事で解説しているのでぜひチェックしてください。

全世界株式投資と全世界投資の3つの違い

全世界株式投資は世界中の「株式」を購入し運用する投資方法。一方で全世界投資は、世界中の「アセット(資産)」にまんべんなく投資をする方法です。

一見すると、2つの投資方法はどのように違うのかわかりにくいですよね。そこでこの項目で、全世界株式投資と全世界投資の異なる点を3つ解説します。

1.投資対象が違う

1つめは、全世界株式投資と全世界投資では投資対象が違います。投資先が世界の「株式だけ」か、それ以外にも投資をするかです。

そもそも、投資を行う際に投資対象となる金融商品は基本的に3種類しかありません。

  • 株式
  • 債券
  • 不動産や貴金属など

上記の3つの中から、何に投資をするか選んでいるのです。

では、なぜこの3種類になるのでしょうか。

少しイメージが難しいかもしれませんが、世界を1つにまとめた「株式会社全世界」という会社を想像してみてください。

株式会社では財務諸表を作成します。株主に対して経営成績や財産状況を報告するために必要だからです。

財務諸表には、収入と支出を分けて記入し損益を確認するためのP/L(損益計算書)と、決算時における資産や負債の内容を確認するためのB/S(貸借対照表)があります。

要するに財務諸表は、その会社の資産状況などを表すということですね。

会社で作成する財務諸表の例

この財務諸表はどんなものにでも作れます。

たとえば、あなたや親といった個人の財務諸表、そして企業や地方自治体(地方公共団体財務諸表)、日本(日本政府財務諸表)なども財務諸表を作成可能です。さらにいうと、日本やアメリカ、イギリスなどの国ごとにも財務諸表を作れます。

ということは、これらすべてを集計し1つにまとめると「株式会社全世界」の財務諸表が作れますね。そして株式会社全世界のB/Sを見れば、世界中の資産や負債、資本などを確認できるということです。

株式会社全世界の財務諸表の作り方

基本的に投資先を選ぶ際には、その企業のストック(ある時点で持っている資産の量)が重要です。そのためB/Sで考えていきます。

B/Sは、左側に資産、右側に負債+資本を書きます。

そして必ず「資産=負債+資本」となります。左右のバランスが取れるのでバランスシートと言われます。

左側の資産は持っているモノ、右側の負債と資本はモノを手に入れた金銭的手段です。たとえば、住宅を住宅ローンで購入した場合、左側に住宅、右側の負債に住宅ローンが記入されます。

なにかのモノを手に入れるためにはいくらかの金銭的な負担が必要になることがほとんどです。

ということは、投資家が投資するという行為は、右側の金銭的手段を提供することにほかなりません。ですから、投資対象としては負債か資本ということになります。

加えて、資産にも直接投資することができるものがあります。それが貴金属や不動産などになります。

そのため、大きく分けてこの3つが投資対象となるのです。

投資対象は資産と負債と資本の3つだけ

資産や負債などが金融商品として何に当てはまるのか考えると、以下のようになります。

  • 負債=債券(日本債券や米国債券など)
  • 資本=株式(日本株式や米国株式など)
  • 資産=現金・預貯金、有価証券、不動産など

上記3種類の投資先がある中で、全世界株式投資では「資本(株式)」のみが投資対象です。負債や資産などは購入しません。

一方で、全世界投資は世界中にまんべんなく投資をします。そのため、株式会社全世界の資本(株式)だけでなく、負債(債券)や資産(REIT(不動産))も購入するのです。

B/Sでは「資産=負債+資本」となるので、右側の負債と資本を持っていれば同時に資産は持っている状態です。そのため、基本的に資産は必要ないのですが、その中でも直接購入できる商品があるのでわずかに不動産をアセットに組み入れたりします。

2.アセットバランスが違う

2つめに運用資金をどこにどれだけ配分するのかという「アセットバランス」も違います。

前述した株式会社全世界の財務諸表は、世界中の国々の財務諸表を集めたものでしたね。ただ、各国が持っている資産や資本、負債は均等ではありません。当然ですが、先進国と呼ばれる大きな国々は資産や資本を多く持っています。

つまり、投資先となる株式や債券には国ごとの割合があるのです。

世界中の株式だけに投資をする「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」では、米国が57.8%ほど。日本株が6.5%で、残りの35.7%を世界各国の国々に分散投資しています。

米国が60%ほどある理由は、時価総額が高い企業のほとんどが米国に集中しているためです。したがって、米国の割合がどうしても大きくなります。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の対象インデックスの国・地域別構成比率

出典:三菱UFJ国際投資信託株式会社 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

対して全世界投資では、世界中の国々にまんべんなく投資をします。米国の割合は約30%になり、株式だけでなく米国の債券やREITも投資対象です。

日本への投資は、全世界の中で占める割合を比較的大きく設定しています。通常は約10%が目安ですが、少し国内寄りの考え方でいくと20%ほどに。さらにバランスを日本国内に寄せるのであれば30%ほどの比率になるでしょう。

国内寄りにするかどうかは、あなたがどれだけ日本円に依存しているのかによります。

日本への投資割合が少し大きくなるのは、私たちが日本に住んでいて日本円を使って生活しているからです。

私たちの生活は日本だけで提供されていて、日本でしか受けられないサービスに囲まれています。そして、そのサービスの対価として支払うのは「日本円」です。

つまり、日本国内で受けるサービスに対して支払うお金(日本円)をある程度確保しておかなければなりません。そのため、日本への投資割合は少し大きくなります。

一方、若い方で外食が多いという方は、日本以外の海外に依存しているかもしれません。

外食の中身は輸入品であることが多いので、日本円で支払っていても海外に依存していることになるのです。そういう方は日本円の依存度は低いと考えられるかもしれません。

アセットバランスの詳しい内容は『投資結果の80%を決める「アセットバランス」の割合を考えよう』の記事をご参照ください。

3.価格変動リスクが違う

最後に重要となるのが価格変動リスクの違いです。

全世界株式投資も全世界投資も、投資対象となる金融商品は価格が変動します。 基準価額20,000円で購入したものが、1日経つと20,200円に値上がりしたり、逆に19,800円に値下がりしたりするのです。

この値動きの幅を価格変動リスクといいます。

全世界株式投資は購入する投資商品が株式のみなので、価格変動リスクが高くなります。

株価は企業の業績や景気、政治動向などさまざまな要因で激しく変動します。たとえば、リーマンショックが起きた際は、株式だけで運用していると資産は60%ほど下がりました。

一方、全世界投資は全世界株式投資と比べて価格変動リスクは低くなります。なぜなら、値動きの違うさまざまな金融商品を組み入れることで、資産全体での値動きをマイルドにできるためです。

例として、ファンドAとファンドBの2つの金融商品に投資をしているとしましょう。

ファンドAが100円値下がりした際に、ファンドBが100円値上がりしました。

2つの商品を合わせたものがあなたの全資産なので、資産全体で考えると値動きは±0円ですよね。値下がりしたファンドAの損失を、値上がりしたファンドBが補っています。

このように、値動きが正反対の商品を購入することでリスクを0にできます。

しかし、実際には世の中に正反対の値動きをする金融商品はありません。

したがって、資産全体で値動きが少なくなるように、動き方の違うさまざまな金融商品を購入する必要があります。

その結果、全世界投資ではリーマンショックが起きた際の下落幅は約30%後半に抑えられました。

「60%と30%後半ではあまり変わらない」と言われるとそれまでですが、実際に体験してみると30%の差は非常に大きいものです。

長期投資のリスクは「投資のリスクとリターンの関係性」の記事で解説しています。ぜひ記事をチェックして、リスクの正しい意味を把握してくださいね。

全世界株式投資と全世界投資はどっちがおすすめ?

ここまで全世界株式投資と全世界投資の違いを解説しました。では、結局これから投資を始める場合はどちらの投資方法を選べばいいのでしょうか。

初心者は「全世界投資」から投資を始めてみよう

マネーセンスカレッジでは、投資初心者や投資に少しでも不安がある方には「全世界投資」をおすすめします。株式だけでなく、全世界の債券やREITにも投資をしましょう。

全世界投資であれば、株式だけで運用するよりも価格変動リスクが低くなります。さらに、約11年間運用できれば元本割れの確率は10%以下です。

景気がいい期間は株式のほうが有利ですが、景気が悪くなると債券が有利になってきます。これは投資戦略の中の基本的な考え方のひとつです。

近年は株式と債券は反対の値動きはしないという論調もありますが、それでも株式と債券やREITは違う値動きをします。この違う値動きをすることが、アセットアロケーション理論で考えると価格変動リスクを抑える働きに対して有効的なのです。

さらに、積立投資の王道である「ドルコスト平均法」を使って時間も分散したり、利益を最大化するために欠かせない「リバランス」などの戦略も行ったりします。

その結果、期待利回り7%、平均利回り5%の運用成績があります。

つまり、ある程度のリターンを確保しながらも、できるだけ安定的に運用ができる投資方法が「全世界投資」なのです。

そのため、これから投資を始める方はまず全世界投資がおすすめです。

全世界株式だけの投資はおすすめしない

世界中の株式に投資をする全世界株式投資ですが、それだけでは効果的な分散とはいえません。やはり債券も必要ですし、REITも大切です。

リーマンショック前はアメリカや日本の不動産が、世界のREITを牽引していた時期がありました。もし全世界の株式だけに運用されていたら、そのような恩恵は受けられませんよね。

また、何度も言うように株式だけの運用は価格変動リスクが高くなります。

車に例えるなら、全世界株式だけの運用はF1車に乗っているようなものです。動きが早すぎて一般人(投資初心者)は耐えられません。

ゴールまで辿り着けることができればいいですが、その前に車を降りてしまう可能性が高くなります。

全世界投資はゴールまで安全かつ安定的に辿り着くことが目的。したがって、スピードは求めずにとにかく安全性を重視した車になります。

早く辿り着くのではなく、確実にゴールを目指す車が全世界投資です。

もちろん、それでも株式だけの投資を行う方を止めることはできません。ただ、最後まで自分が辿り着けるのか改めて考え直してみてください。

全世界株式と全世界投資の比較表

株式だけの考えと似ている投資方法に「S&P500全力投資」という考えがあります。この投資方法もマネーセンスカレッジでは推奨していないので、興味がある方はぜひ下記の記事でやってはいけない理由を確認してくださいね。

自分の目的に合う方法で投資を始めてみよう

マネーセンスカレッジとしては全世界投資をおすすめしていますが、全世界株式投資を否定してるわけではありません。

全世界の株式に投資をするというのは、全世界投資のごくわずかなものです。

株式だけでの運用は価格変動リスクが高くなり、長期的に投資を続けることが難しい投資方法。リターンは期待できますが、もし運用を途中でやめてしまえば本末転倒です。

ただ、ある程度のリターンを確保できなければ将来の老後資金や教育資金が準備できません。したがって、リターンとリスクのバランスが取れた投資を行っていくことが重要だと考えています。

そしてその投資方法が、マネーセンスカレッジの「全世界投資」です。全世界投資の始め方は「投資を学ぶ」のコンテンツでわかりやすく解説しています。

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