3割の人がハマる”資産形成を壊す”金融商品
20代が毎月分配型投資信託を多く購入しているというニュースが話題になっています。
なぜそのような状況が生まれているのか、その理由を考察しつつ、資産形成という観点から解説していきます。
毎月分配型を選ぶ20代が増えている(00:50)

出典:資産運用業協会
2025年に資産運用業協会が実施したアンケート調査によると、毎月分配型投資信託を保有していると回答した20代の割合は34%にのぼり、他の世代と比較しても際立って高い数値となっています。

出典:日本証券業協会
70代の保有割合が高いのは理解できますが、20代でこれほど多いというのは驚きです。日本証券業協会の調査でも同様の傾向が見られ、20代の保有割合は38%に達しています。
選ぶ理由(若者の心情)(02:41)
資産運用業協会のアンケートでは、20代が毎月分配型を選ぶ理由として「分配金を受け取ることで安心できる」が54.9%、「毎月利益を確定したい」が52.5%、「収入を補完する手段として活用できる」が26.9%という結果が出ています。
背景には実質賃金の問題があります。名目賃金は2021年ごろから上昇傾向にあるものの、インフレの進行に追いついておらず、実質賃金はむしろ下がり続けています。
生活費は上がっているのに実質的な購買力は落ちているため、別の収入源を求めて毎月分配型に目が向くというのが、20代の心理として考えられます。
2020年を基準とした指数で見ると、1996年からほぼ一貫して低下しており、30年近くにわたる減少傾向が続いています。
気持ちは理解できますが、毎月分配型投資信託には大きな落とし穴があります。分配金の中には「特別分配金」と呼ばれる元本の払い戻し部分が含まれており、実際には投資家自身が預けたお金を取り崩しているに過ぎないケースが多くあります。毎月分配型投資信託の分配金総額はおよそ5兆円とされていますが、そのうち約9割が特別分配金、つまり元本の払い出しに相当するという事実は見逃せません。分配金を受け取って増えていると思っていても、実際には元本がどんどん減っている可能性が高いのです。
20代の資産形成(06:54)
20代の方には、手取り収入の中で生活をやりくりするという基本を大切にしてほしいと思います。老後資金の積み立てとしては手取りの10%程度が目安です。
たとえば手取りが25万円であれば2.5万円を投資に回し、残りの90%で生活を工夫するという考え方です。もし手取りが20万円を下回っているようであれば、職場を変えるか、収入アップに向けて行動することも検討する必要があります。
また、奨学金の返済負担も一因として挙げられます。平均で毎月2〜3万円の支払いが40代まで続くケースもあり、その返済に充てる目的で分配金を活用しようとしている可能性があります。
投資で重要なのは、インカムゲインとキャピタルゲインを合わせたトータルリターンです。現時点の評価額が元本を上回っているかどうかを確認することが大切で、分配金を加えた上でプラスになっているかを判断の基準にしてください。評価額が元本を超えた状態で分配金も増えていくのが理想的な姿です。
定期売却サービスの活用(11:00)
一定の現金収入が必要であれば、毎月分配型投資信託を選ぶ必要はありません。
SBI証券や楽天証券では手数料無料の定期売却サービスが利用できます。
たとえば毎月2万円をインデックスファンドに積み立てながら、評価額の3〜4%を定期的に取り崩すという方法が考えられます。毎月2万円を積み立てて年間24万円になった場合、その4%は約1万円、月額にすると約800円です。これはつまり、積み立て額を800円減らして1万9,200円にし、残りの800円を手元に置くのと実質的に同じです。毎月分配型投資信託を使うと、この仕組みのために高い手数料を払っていることになります。それならば低コストのインデックスファンドを自分で定期売却する方が合理的です。
また、毎月分配型投資信託はアクティブファンドやREITなど特定の資産に偏ったものが多く、資産分散の観点からも問題が生じやすいといえます。投資は本来、長期で取り組むものです。1か月や1年で確実に利益が出るものではなく、10年・20年・50年といったスパンで考えることが基本です。過去10年は比較的好調でしたが、長期的には大きく下落する局面も必ず訪れます。そのサイクルを乗り越えながら資産を育てていくのが長期投資の本質です。
まとめ(14:58)
資産形成において最も効果的なのは、利益を再投資して複利効果を活かすことです。特に20代は時間という大きな武器を持っています。最初は月5,000円や1万円からでも構いません。少額でも長く続けることで感覚がつかめ、徐々に積み立て額を増やしていけます。正しい資産分散と時間分散を取り入れた長期投資を継続できれば、着実に資産を築いていくことができます。毎月分配型を保有している20代・30代前半の方は、今一度、元本と評価額の関係を確認してみてください。
またこちらの動画「【NISAでも要注意!】実は分配金の9割が元本取り崩し…毎月分配型の真実」では、分配金の仕組みや手数料の注意点を解説していますのでぜひご覧ください。





