2024年から新しいNISAが始まります。すでに現行NISA(一般・つみたて)を利用していて、今の金融機関に使いにくさや危うさを感じている場合、今回の制度改正は絶好の乗り換えチャンスです。
本記事では、新しいNISAスタートがなぜ金融機関を変更するタイミングになるのか解説します。金融機関を選ぶ際に重要なポイントもわかるので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
金融機関のおすすめは「SBI証券」
NISAを利用できる金融機関は、証券会社や銀行、信用金庫などを合わせると100社以上あります。その中から自分に合った金融機関を見つけるためには、次の4つの条件をクリアしているかチェックしましょう。
- 投資信託を少額で購入できるか
- 自動引き落としサービスの提携先が豊富にあるか
- キャッシュポジションをかく離して安全に保管できるか
- その他のサービスが充実しているか
まず、100円のような少額から投資信託を購入できる金融機関を選ぶことで、手軽に投資を始めることができます。
自動引き落としサービスは、入金作業などの手間を省くことができるため、投資を長く続けるには欠かせない仕組みです。引き落とし先が豊富にある金融機関なら、銀行口座を新たに開設せずにサービスを利用できます。
キャッシュポジションは、リスクを抑えて運用をするために必要不可欠なものです。キャッシュポジションの資金を生活費などからかく離して安全に保管できる金融機関を選ぶことで、資産を大きく目減りさせずに安心して投資を続けることが可能です。
その他にも「自動売却サービス」や「未成年者口座」の有無など、自分の投資戦略に合うサービスを提供している金融機関なら、より充実した投資生活を送ることができます。
これら4つの基準をクリアしている金融機関を探してみると、実は日本には数社ほどしかありません。
数社に絞った金融機関の中で、特に人気があるのは「SBI証券」か「楽天証券」です。
どちらも甲乙つけがたいサービスを提供していますが、おすすめしているのは「SBI証券」になります。SBI証券はマネーセンスカレッジが推奨する投資方法「全世界投資」を実施でき、サービス内容も豊富です。
そのため、金融機関を変更する場合も「SBI証券への乗り換え」を推奨します。
また、後述していますが金融機関選びでは「事業継続性」も大切です。20年、30年先も投資を続けていくので、経営が安定した金融機関を利用できるとストレスなく投資を続けられます。
金融機関については「はじめての投資は金融機関選びがポイント」の記事に詳しく書いてあるので、選び方を知りたい方はこちらもチェックしてくださいね。
新しいNISAはなぜ金融機関を変えるチャンスなのか?
新しいNISAが金融機関を変えるきっかけになる理由には、主に次の2つがあります。
- 現行NISAから新しいNISAへのロールオーバーができない
- 楽天グループの経営状態が悪い
この2点について詳しく解説をしていきます。
現行NISAから新しいNISAへのロールオーバーができない
新しいNISAでは、現行NISA(一般・つみたて)からのロールオーバーができません。
現行NISA制度のロールオーバーとは、一般NISAなどで非課税期間が終了した場合に、保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移管する手続きです。ロールオーバーをすることで、一般NISAなら非課税期間を最長10年まで伸ばすことができます。
ただし、非課税期間が終わる前に金融機関を変更するとロールオーバーができなくなるという問題がありました。
たとえば、楽天証券を利用して一般NISAで2017年に金融商品を購入すると非課税期間は2022年末までです。
その後、運用途中の2018年に楽天証券からSBI証券に口座変更した場合、非課税期間が終わる2022年は翌年のNISA枠にロールオーバーできなくなるのです。
金融機関が変わっているためロールオーバー先の枠がなく、非課税期間が終わったあとは特定口座に移すなどの対応を取る必要があります。そのため、現行NISAでは安易に金融機関の変更ができなかったのです。
しかし、新しいNISAでは現行NISAからのロールオーバーがそもそもできません。
現行NISAで購入していた金融商品を新しいNISAへ移すためには、非課税期間終了後に売却をして、新しいNISAで再度同じ商品を購入することになります。
ということは、売却時と購入時の金融機関が変わっていたとしても新しいNISAには影響がありません。
楽天証券で購入していた商品を売却して、SBI証券で開設した新しいNISA口座で同じ金融商品を購入するという方法を取ることができます。
楽天グループの経営不振
2024年から新しいNISAが始まるタイミングで、楽天グループの経営状態が悪化していることも金融機関を変更するきっかけになる理由です。
何十年後も投資を継続するためには、利用する金融機関の事業が継続していることが大切です。利用途中に金融機関が破綻した場合、他の金融機関へ移管するための手続きには時間やお金がかかってしまいます。
楽天グループは2022年12月期の決算で過去最大3,700億円の赤字を計上したことを発表しました。楽天証券や楽天市場などは好調ですが、楽天モバイルによってこれほどの赤字を生み出しました。
さらに、今後も楽天モバイルへの投資を継続する予定です。この楽天モバイルの影響が楽天証券にまで及んでいくと、今と同じレベルのサービスを提供し続けられるのかわからなくなります。
というのも、現在の楽天証券は伸び悩んでいる状態です。
2023年2月に発表されたSBI証券の決算資料をもとに、大手ネット証券会社の「口座開設数」と「預かり資産残高」のグラフを作りました。
口座開設数は、SBI証券と楽天証券が圧倒的なシェアを誇っています。
預かり資産残高もSBI証券と楽天証券が飛び抜けています。ただし、楽天証券よりもSBI証券のほうが約1.5倍ほど多くなっています。
口座開設数は、多ければ多いほど顧客を管理して維持するための「コスト」が必要です。預かり資産は、多ければ多いほど手数料が入ってくるので「利益」につながります。
楽天証券は顧客数が多い割にSBI証券ほど預かり資産が多くありません。つまり、顧客を維持管理するための費用が多くかかってしまい、利益があまり増えていかない状態なのです。
この状態が今後も継続していくなら、楽天証券はSBI証券にどんどん差をつけられると考えています。楽天モバイルへの投資も考えると、これからも改悪が続く可能性もあるでしょう。
一方で、SBI証券は口座開設数と預かり資産残高を年々伸ばしており、新生銀行などの地方銀行と業務提携を始めるなど非常に堅実な経営状態です。
何十年も先を見据えた経営をしているので、今後も業界のリーディングカンパニーとして安定的に事業を継続していくでしょう。
このように今後の楽天グループに不安が残るため、新しいNISAが2024年から始まることを機に金融機関の変更を検討してみてはいかがでしょうか。
証券会社が潰れると移管手続きに時間と労力がかかる
「今の証券会社が破綻しても分別管理されているから問題ないのでは?」と思われる方もいらっしゃいます。
証券会社は「投資家から預かった資産」と「証券会社が保有する自社の資産」を分けて管理しなければなりません。これを分別管理と呼び、法律で定められています。
分別管理には、次のような資産が対象です。
- 投資信託
- 株式
- 債券
- 預り金
- 信用取引補償金
- 先物、オプション取引証拠金
これらの資産は分別管理され、証券会社が潰れたとしても守られます。もし万が一、分別管理がされていなかった場合、日本投資者保護基金によって上限額(1,000万円)まで保証されます。
しかし、あなたの資産は守られていても破綻後に別の証券会社に移すための手続きには時間やお金が必要です。
また、金融機関を使い続ける中で「破綻する可能性がある」と不安に思うことは、精神的に悪影響です。小さなストレスでも、積み重なると投資を辞めたくなる原因になることがあります。
そのため、現状に何かしら不満がある場合は、新しいNISAをどの金融機関で今後利用していくのかきちんと考えていきましょう。
SBI証券と楽天証券のどちらにするか悩んでいる方には『SBI証券と楽天証券はどっちがいい?カギは2社の「事業継続性」』の記事がおすすめです。過去の破綻事例や2社の事業継続性などについて細かく解説をしています。
新しいNISAに合わせた金融機関の変更手続き
2024年から始まる「新しいNISA」を現在と異なる金融機関で始めるためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。
2023年にNISA口座を保有している場合、2024年になるとその金融機関で自動的に「新しいNISA口座」が作成される予定です。
たとえば、2023年末までSBI証券でNISAを利用していると、2024年にもSBI証券で新しいNISA口座が自動で開設されます。基本的に手続きなどは不要です。
そのため、現在利用している金融機関に不満などがない場合は、特に手続きなどをせずに2024年からの新しいNISAを待っておきましょう。
変更できる時期は2023年10月〜12月初旬まで
新しいNISAに合わせて金融機関を変更するためには、2023年10月以降〜12月初旬までに変更元と変更先の両方の金融機関で手続きが必要です。
変更する手順は次のとおりです。
- 変更元の金融機関にNISA口座の変更を申し出る
- 変更元の金融機関から「勘定廃止通知書」を受け取ります
- 変更先の金融機関に「勘定廃止通知書」「NISA口座開設申込書」「本人確認書類」を提出する
順番に沿って手続きをすることで、2024年から変更先の金融機関で新しいNISAをスタートできます。具体的な手続きに関しては、ご利用中の金融機関にお問合せください。
ただし、2023年12月を過ぎると変更元の金融機関で新しいNISA口座が開設されてしまいます。積立設定によっては、2024年1月分の買い付けを新しいNISAで行うことがあります。
現行NISAでも同じですが、税制上の問題から金融機関の変更ができるのは年に1回のみです。
もし2024年分の買い付けが新しいNISAで起きた場合、2024年は金融機関の変更ができません。したがって、2025年に新たに金融機関を乗り換えることになります。
何十年先を見据えて新しいNISAを使う金融機関を選ぼう
現在利用している金融機関に不満がある場合、新しいNISAは金融機関を変えるチャンスです。
現行NISAからのロールオーバーができず、近年人気の楽天証券も業績が伸び悩んでいます。
ストレスなく投資を続けるためには金融機関は大切なので、2023年のうちに変更をして、2024年の新しいNISAから新たな金融機関で投資をしていきましょう。
ただし、新しいNISAに合わせた金融機関変更は2024年10月から12月初旬までです。変更できる期間が短いので、早めに手続きができるように今のうちから準備を始めておきましょう。
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