インド株好調、それでも全力投資しない理由

インド株への注目が急上昇しています。成長率6%超と世界トップクラスの実績を誇りアメリカをも上回るポテンシャルに期待が集まります。しかし本当に今インド株に全力投資すべきなのでしょうか。

本記事では注目の背景から冷静な投資判断の理由までを専門的視点でわかりやすく解説します。インド株への投資を検討している方、将来の資産形成に関心がある方に最適な内容です。

キーポイント

インド株がランキング上位に入る理由とは?(00:00:00)

出典:マネックス証券:NISAに関する調査結果

マネックス証券のNISAに関する調査結果というデータを見ると、人気銘柄ランキングでインド株が3位と5位にランクインしました。背景には人口増加や高いGDP成長率、そして割安感への期待があります。特にインドは中国を抜いて世界一の人口を持ち今後の経済成長が注目されています。

米国に匹敵する成長力を持つインドの経済(00:01:04)

出典:マネックス証券:iFreeNEXT インド株インデックス

成長率の観点から見るとインド株はこの5年間でアメリカ株に迫るパフォーマンスを見せており、各国の収容株価指数の5年間リターン推移(2019年9月30日~2024年9月30日)のデータを見てもわかる通り代表的な株価指数「Nifty50」は米国に引けを取らない動きをしています。中国経済が停滞する中でインドは安定した成長を維持し続けていることも投資家にとって魅力です。

また米国株の成長性が広く認識されてきた一方でインドはまだ成長の余地があるとされる点もポイントです。こうしたポテンシャルが評価され、今後の値上がりを狙う投資家にとってインド株が有力な選択肢となっています

出典:国際通貨基金:世界経済見通し成長率予測

国際通貨基金の出した世界経済見通し成長率予測のデータを見ると、インド経済は2024年に6.5%という世界トップクラスのGDP成長率を記録しました。今後2025年、2026年もそれぞれ6.2%、6.3%と高水準を維持する予測が出ており世界平均の2倍に達しています。これによりインドは世界の成長を牽引する存在となっています。

出典:PwC:インド、中国の実質GDP成長率

中国と比べても著しい成長率を誇ることがわかります。コロナ禍で大きく下がったものの、中国はその後成長率が下がったのに対し、インドは持ち直して高い成長率を維持しています。

マネーセンスでのインド株の位置づけ(00:07:17)

マネーセンスではインド株に対して前向きな姿勢を持ちつつもあくまでインデックス投資を通じてバランス良く保有する戦略を採用しています。インドは新興国株式を代表する存在の一つでありMSCIエマージングマーケット指数の中でも約20%を占めるなど、重要な構成要素となっています。

かなり大きな割合をインドに対し投資していますが単体で投資してはいませんこれはどんなに魅力的に見える国でも戦争や大国との関係など将来的なリスクを完全に予測することは不可能だからです。

投資は常に「まんべんなく分散すること」が基本であり、一部の国に全力投資するのは避けるべきです。今後も新興国の成長が期待される中でインド株の存在感は確かに増していますがあくまでバランスを重視した投資判断が重要です。

成長期待の裏にあるインドの構造的課題(00:10:34)

インド経済は今後も高成長が見込まれていますがその背景には解決すべき多くの課題もあります。まず地政学的なリスクとして中国との水資源問題がありこれは長期的に影響を及ぼす可能性があります。また国内の宗教や民族の多様性は一枚岩になりづらく国家運営にとっての大きなハードルとなっています。

さらにインドは多くの人材をIT分野で輩出しているものの製造業や農業などの産業基盤はまだ未発達です。インフラ整備も地域差が大きく都市部と地方の格差が顕著です。

1人当たりGDPは約2,600ドルと非常に低く、成長率が高くても生活水準が急速に向上しているとは言いがたい状況ですこのようにインドの経済成長には期待できる面がある一方で、慎重な見極めが必要な現実的な課題も抱えています。

インフラ未整備が成長の足かせに(00:14:05)

インドの経済成長を支えるためには基礎インフラの整備が欠かせません。しかし現在のインドでは地域によるインフラ格差が大きく特に南インドではATMに現金がない、高額通貨の認識すらないといった状況が存在します。これは先進国とは比べ物にならないレベルの経済基盤の未整備を示しています。

経済発展には製造業や物流の発展が不可欠でありそのためには道路や港湾、電力インフラ、そして法整備が必要です。これらはまだまだ発展途上であり外資を誘致するための制度も十分ではありません。

インドの高成長を支えるには、金融・物流・法制度などあらゆる分野での整備が今後の課題です。それを乗り越えることができれば、インドは本当の意味での経済大国へと近づくことができます。ですが、現状では投資家はそうしたリスクも含めて判断する必要があります。

まとめ

インド株は新NISAの成長投資枠において注目される存在であり高い経済成長率と人口ボーナスを背景に、今後の展望には大きな期待が寄せられています。しかしその一方で国内のインフラ不足や社会的・地政学的な課題も多く安易な全力投資はリスクを伴います。

投資においては一部の魅力的な市場に偏るのではなく全世界に分散されたインデックス投資を通じて堅実な資産形成を行うことが大切です。インド株への投資を検討している方は、成長性とリスクを天秤にかけながら冷静な判断で投資戦略を練ることが求められます。

またこちらの動画「Q 台湾有事が起きたとき、新興国株式はひきあげた方がいいのか」では台湾有事がもし起きた場合の新興国株式の扱いについて解説していますのでぜひご覧ください。