REIT投資の真実!内部留保がないから不況時に破綻リスクが高いは間違い?

今回は、REIT(不動産投資信託)の内部留保や不況時の破綻リスクについて深掘りします。

特にJ-REIT(日本のREIT市場)における安全性と現代のリスク管理方法を学ぶことで、REITの特性を活かした資産形成が可能です。

質問内容

REITのメリット・デメリットについて解説をお願いします。REIT内に内部留保をほとんどできない特性によって不況時の破綻リスクが非常に高いのではないかと不安があり、アセットアロケーションから除外してしまいました。それでも一部投資をしていくメリットを解説してください。

キーポイント

REITは本当に破綻しやすい商品なのか? (00:01:01)

REITの破綻リスクは一般に思われているほど高くありません。その理由は、運用方法の進化と市場のリスク管理の向上にあります。

リーマンショック以降、REITは財務健全性が大幅に改善されました。

一般財団法人 土地総合研究所によると、2016年ごろから2024年現在までで、平均LTV(有利子負債比率)は44.7%と低水準で、自己資本比率が高まっています

また、高リスクなフォワードコミットメント(開発中物件の購入契約)を廃止し、ブリッジファンドを活用することで、リスクを開発段階で分散する仕組みが一般的になっています。

REITの内部留保が少ないという特性を補い、収益の安定性を確保しながら投資家への分配金が支払われる仕組みが完成しているのです。

そのため、近年のREITというのは破綻しにくい商品になっています。

J-REIT「ニューシティレジデンス」の破綻事例 (00:11:36)

日本のJ-REIT市場で唯一の破綻事例は、2008年の「ニューシティレジデンス」です。このREITが破綻した原因は大きく3つあります。

1つめは、LTV(有利子負債総額÷総資産)が54.8%と高水準だったことで、自己資本比率が一般的なREITと比べて低かったこと。

2つめが流動資産84億円に対して、流動負債が507億円もあったことです。返済期限が迫っている負債が507億円あるので、現状持っている流動資産では支払いができません。何らかの収益やもう一度借金をしなければ返せない財務状況でした。

3つめはNAV倍率(1口当たりの投資口価格÷1口当たりの純資産総額)が0.5程度だったことです。リーマンショックを受けて投資口価格が下がっていました。

これら3つの原因により、公募増資や金融機関から新たな融資を受けられず、現金がないので破綻せざるを得ない状況になってしまったのです。

REITが破綻した場合の特徴と影響 (00:16:06)

REITの破綻は、一般企業の破綻とは異なる特徴を持ちます。

REITは不動産という実物資産を保有しているため完全な損失(全損)にはなりにくいという性質があります。

たとえば、ニューシティレジデンスの場合、破綻後も保有不動産の資産価値が認められ、投資口価格がその後6倍以上に回復しました。

このように、REITは資産価値を背景に回復の可能性を持つ点が特徴的です。

ただし、破綻に至る過程では投資家に心理的負担がかかるため、リスク管理が行き届いた商品を選ぶことが重要です。

現代のREIT運用で進化するリスク管理 (00:21:15)

リーマンショック以降、REIT市場ではリスク管理が大幅に進化しました。

まず、LTVが平均44.7%まで低下し、財務健全性が高まっています。

各投資法人はフォワードコミットメントを使わなくなりました。結果、開発リスクが軽減され、ブリッジファンドの活用で不動産の完成後に購入する仕組みが一般化しました。

また、2024年10月のNAV倍率は0.82(参照:J-REIT.jp)となっており、ここ7年ほどは0.9〜1.5の間で安定しており、収益の裏付けがあることを示しています。これにより、投資家は分配金の安定性を期待できます。

現在のREIT市場は、過去の反省を踏まえた健全な運用が主流となっており、投資対象としての信頼性が向上しています。

そもそもREITとは?投資初心者のための基礎知識 (00:25:58)

REITは、不動産を証券化して小口化した金融商品です。これにより、個人投資家でも少額から不動産市場に投資することが可能になります。

REITの収益構造は、主に賃料収入や物件売却益で成り立っており、その90%以上を分配金として投資家に還元する仕組みが法律で定められています。この分配金があるため、法人税が免除され、投資効率が高い点が魅力です。

さらに、REITは株式や債券と異なる相関性を持ち、ポートフォリオ全体のリスク分散効果を高める役割を果たします。

まとめ (00:34:03)

REITは少額から不動産投資が可能で、安定した収益を得られる資産運用手段です。

過去の破綻事例から学び、現在のREIT市場ではリスク管理が進化しています。内部留保が少ない点についての不安はありますが、現在の運用体制ではキャッシュフローの安定性が確保されており、不況時の破綻リスクは大幅に低下しています。

投資を始める際には、各REITの財務状況や運用方針を確認し、長期的な視点で分散投資を行うことが重要です。特に、ポートフォリオ全体のリスク分散を考慮したアセットアロケーションの中で、REITを賢く活用することをおすすめします。

投資戦略を明確にし、長期的な資産形成を目指して、REITの可能性を最大限に活用してください。