アメリカ中間選挙3つのシナリオ。株価どうなる?円高・円安?

アメリカの中間選挙がまもなく始まります。トランプ大統領が大敗する可能性も言われており、今回は例年以上に注目されています。中間選挙とは何か、何が決まるのか、決まると市場はどうなるのかを、個人投資家の視点で解説します。

中間選挙とは(1:14)

中間選挙は、大統領の任期4年の真ん中にあたる2年目に行われる選挙で、大統領そのものは選ばれません。対象となるのは上院、下院、州知事です。上院は100議席のうち3分の1が2年ごとに改選され、今回は補欠選挙を含めて35議席が入れ替わります。下院は任期が2年のため、435議席すべてが改選されます。日本でいえば、上院が参議院、下院が衆議院に近い存在です。

州知事選は36の州と3つの準州で行われます。中間選挙では、大統領と反対の政党が下院で議席を伸ばしやすい傾向があります。2年間の政策への不満が、大統領を止めるための反対票に向かうためです。

連邦議会・大統領・州の役割(4:29)

アメリカは州がそれぞれ国のような存在で、その集まりが連邦を成しています。連邦議会は予算と法律を作る機関ですが、議員は党議拘束が緩く、与党議員が大統領に反対票を投じることも珍しくありません。大統領は行政府の長で、軍の最高司令官として軍事と外交に強い権限を持ち、議会が可決した法律への拒否権もあります。一方で、予算を伴う国内政策では議会の顔色をうかがう必要があります。今回はカリフォルニア州で税制に関わる住民投票も同時に行われ、その動向にも注目が集まっています。

上院:州ごとの情勢(7:27)

今回改選されない65議席の内訳は、民主党34議席、共和党31議席です。改選分の情勢まで含めると、民主党側が48議席、共和党側が47議席、接戦が5議席という見方になっています。過半数は51議席ですが、50対50なら副大統領が議長として1票を投じるため、共和党の勝ちです。つまり共和党は、優勢な議席を守ったうえで、接戦5議席のうち3議席を取れば多数派を維持できます。

注目しているのはテキサス州です。データセンターは現在、全米の10%程度がテキサスにあるとされ、計画がすべて実現すると70%が集中するとも言われます。ただ、データセンターは雇用が少なく、地元に税金も落ちにくい一方で、電力や水を大量に使うため、住民には嫌われがちです。それでも国としては中国とのAI競争に負けられず、利権を持つ人もいるため、テキサスの上院選は接戦になっています。

下院の情勢集計(11:49)

下院は共和党にとってかなり厳しい情勢で、よほど押し戻さない限り、民主党が過半数を握る見通しです。最近は上院と下院がねじれることが多く、債務上限が引き上げられず政府機関が閉鎖されるニュースが毎回のように流れます。他国のことながら、そういう国なのだと感じさせられます。

3つの結果と1つのリスク(12:51)

結果は、3つのケースに1つのリスクを加えて考えるとよいでしょう。ケース1は、上院も下院も共和党が維持するトリプルレッドで、これまでの政策がむしろ加速します。ケース2は、上院が共和党、下院が民主党のねじれ議会で、おそらく現在の市場が織り込んでいる姿です。この場合は新しい法律が通りにくく、債務上限の引き上げも拒否されかねませんが、大統領の行政権限は残るため、税や軍事は変わりません。

ケース3は上下両院を民主党が取るブルーウェーブです。ブッシュ政権の時代に、その反動からオバマ政権が生まれた流れが思い出されます。議会の牽制力が強まって新しい法律はほぼ通らず、大統領の拒否権との対立が深まります。加えて、トランプ大統領が結果を認めないというリスクがあり、ほぼ間違いなくそう言い出すと見ています。軍の派遣といった物々しい発言も出ており、以前のように敗北宣言でノーサイドとはならない可能性があります。

ケースごとの市場の動き(16:30)

ケース1では、AIや半導体への投資が加速し、政策停滞への懸念が消えるため、株価は上がると考えられます。一方で財政悪化が懸念され、債券価格は下がって米国の金利は上昇します。為替はドル高円安が続き、トランプ大統領の本音はドル安でも政策は結果的にドル高を招くものばかりです。ただし、米国債への不安から長期金利が急騰し、何らかのショックが起きる可能性もあるため良い結果とは言い切れません。

ケース2では、新たな債務支出や減税が難しく、財政拡張ができなくなるため、米国の金利はゆるやかに下がると見ています。日本は利上げ方向で、消費者物価も2%を超えているので、金利差が縮小してドル安円高に向かいます。ただし、その動きは急激ではないかもしれません。債務上限をめぐる政府機関の閉鎖で混乱が続くことも考えられます。

ケース3では、AI規制が一気に進みます。アメリカで免許証の画像が1億3000万人分流出した可能性があるという報道もあり、AIの安全性が問われやすくなるからです。金利は急低下し、為替も急激な円高になる可能性があります。トランプ大統領は残りの2年間、ほぼ何もできないレームダックになりかねません。

最後に、結果を認めない混乱が起きた場合は、ドル、金利、米国債がバラバラに動くおそれがあります。流動性が止まってスプレッドが開き、為替や株式が大きく飛ぶことも考えられます。経済にとって最悪なのは、見通しが立たないことです。結果がギリギリになるほど、フェイクニュースや異議申し立て、再集計で社会が混乱します。一番望ましいのは、誰の目にも分かりやすい結果になることです。

カリフォルニア州の住民投票(24:58)

カリフォルニア州では、プロップ40という提案の住民投票が行われます。純資産が10億ドル以上の人に、5%の税金を一度だけ課すというもので、10億円ではなく10億ドルですから、とんでもない大富豪が対象です。背景には、ビッグテック企業が集まりながら、州自体は潤っていないという不満があります。2026年1月1日時点の居住者が対象で、2026年末の資産評価額をもとに、2027年に納税させる仕組みです。

可否の見通し(26:26)

世論調査では賛成52%、反対46%で、可決されそうです。ただ、同じ選挙のプロップ41と42は40と相反する内容を含み、すべて通ると矛盾が生じます。裁判所が声明を出しており、40が否定される可能性もあって、かなり混乱しています。

富裕税案から市場へ伝わる3つの経路(27:17)

この税には、いくつか問題があります。5%を払うために株を売る人が出れば、株式市場に影響が及びます。カリフォルニアで新たに起業する人が減る可能性や、課税が過去に遡ることによる裁判の可能性もあります。データセンターへの不動産重課税のような動きが出ることも考えられます。ここで強調したいのは、直ちに株価が下がると言いたいのではなく、社会の分断と混乱が起きているということです。

全世界投資の考え方(28:06)

全世界に分散投資する立場では、依存している地域、資産の役割、運用できる期間の3点を押さえておきたいところです。日本に住み円で生活している以上、日本にもそれなりの割合を持つことが大切です。資産のほとんどが海外で日本が5%程度だと、為替の影響を強く受けます。大儲けはできなくても、どこにも依存しない戦略が転換期には必要です。

直近で使うお金を投資しておくのは問題があり、使う3年前までには取り崩してほしいと考えています。全世界投資ならすでにバランスが取れていて、動く必要はありません。ここまでの話は強制ではなく、あくまで老婆心です。投資は自己責任ですが、こんなはずではなかったと言われないよう、注意喚起としてお伝えしています。

オルカン1本・S&P500 1本をどう点検するか(30:30)

オルカンやS&P500を1本だけ持っている人は、為替の影響をそのまま受けます。特にブルーウェーブでは急激な円高が起こりえて、いま150円から160円の水準が130円程度まで進む可能性もあります。過去には10円や20円の円高は普通にあり、為替は侮れません。円建てのファンドでも、中身の大半がアメリカ資産なら、為替と株安のダブルパンチを受けます。為替が3割、株式が3割下がれば、掛け算なので資産は半分近くまで減りうる計算です。結果が出てから動くのも一つですが、混乱の中で売らざるを得ない事態は避けたいので、いまのうちに安全策を取るのも一案です。

円預金・個人向け国債だけなら(32:51)

円預金や個人向け国債だけの人は、インフレに弱いという問題があります。金利は上がっていますが、税引後では物価上昇に勝てておらず、5年もの以外は難しいのが現状です。日本の株価も半導体やAI関連が牽引しているため、安全資産だけを持つのも危険です。極端に偏らず、真ん中を通るバランス感覚が大切です。

半導体・テーマ投資に集中しているなら(34:03)

AIや半導体といったテーマ型に直接集中投資している人もいるでしょう。かなり怖いと思いますが、分かったうえで賭けるのであれば止めません。ただ、今回の選挙はその先を占う選挙でもあるので、特に気をつけてください。

選挙前に整えておく3つのこと(34:32)

選挙前には、使う時期と必要な円資金の確保、地域・通貨・資産の偏り、配分の点検と積み立ての見直し条件を確認しておきましょう。資産配分を決めた全世界投資や、GPIFのような4分散で運用している人は、特に気にする必要はありません。結果を待って、年末に向けた動きに注意すれば十分です。短期的な動きに付き合わず、長期的な運用を心がけてください。

まとめ(35:22)

選挙は11月3日に現地時間で行われ、開票が終わるのは4日目、場合によっては5日目になるかもしれません。3つのケースと1つのリスクをお話ししましたが、選挙は水物で本当にどうなるかは分かりません。下院が赤で上院が青になる可能性もゼロではありませんが、今回は外しました。想定どおりに市場が動くとも限らないため、注意深く見ていく必要があります。だからこそ、選挙の前にはポジションをフラットに戻しておくことがとても大切です。

またこちらの動画「新NISA開始後、オルカン・S&P500を上回った最強インデックス」では、期間によって変わる株式インデックスの運用成績をランキングで比較し、将来の成長先が読めない中で大切にしたい考え方を紹介していますのでぜひご覧ください。

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