こどもNISA、なにで運用する?
こどもNISAは、お子さんの将来のために資産形成をしていくための制度としてスタートします。ただ、どのように運用していけばいいのかという点については、まだ情報が少なく悩んでいる方が多いのではないかと思います。
この動画では、そうした疑問に一つひとつ答えながら、具体的な運用方法について考えていきます。
こどもNISAのおさらい(1:30)
2027年から始まるこどもNISAは、0歳から17歳までのお子さんが開設できる口座になります。年間投資枠は60万円で、非課税保有限度額は600万円までとなっており、最短でも10年はかかる計算です。こちらは新NISAのルールと同じように簿価残高方式となっているため、元本ベースで年間60万円、全体で600万円まで運用することが可能です。
こどもNISAは大人の積立投資枠の一部として設けられるため、積立投資枠で購入できる商品が購入できることになります。以前に廃止されたジュニアNISAでは個別株式なども購入できましたが、今回新設されるこどもNISAでは長期積立や分散投資に適した一定の投資信託と規定されているため、基本的には投資信託での運用が中心になります。
口座は17歳まで開設できますが、12歳になるまでは引き出しができません。12歳以降になると引き出しが可能になりますが、それはお子さんのために使うものであり、かつお子さんが同意した上で、親御さんが金融機関に対して書類を提出するという手続きを経て行う必要があります。この引き出しの際にも非課税の恩恵を受けられる仕組みになっています。
また2027年からは、大人の積立投資枠の中でも債券ファンドを購入できるようになりました。これまでは株式ファンドやバランス型ファンドは購入できたものの、債券に直接投資することはできなかったため、その点では自由度が増したといえます。
今まで積立NISAで自身の資産運用をしてきた方も、株式ファンドかバランス型ファンドしか選べなかったはずですし、ジュニアNISAの中でも株式を選んで購入する人はそう多くなかったのではないかと思います。ファンドやETFといっても、その中で購入できるものは債券も含まれてはいましたが、多くは株式が中心だったのではないでしょうか。80万円という枠の中で一括購入されるケースも多く見られましたし、5年間保有するのであれば株式ファンドで購入するという選択をされた方も少なくなかったと思います。
こうした背景を踏まえると、2027年から始まるこどもNISAは新制度、新時代の投資の仕方になっていくのではないかと感じています。そうなると、どのような戦略に基づいて投資をしていけばよいのかが悩みどころになってきます。実際にSNSやブログでこどもNISAの運用について取り上げられているものを見てみると、はっきりと銘柄を明言している方は少ないものの、オールカントリーと書いている方がちらほら見受けられます。
制度が始まるまでまだ半年ほどありますので、まだまだ悩みどころというのが正直なところではないでしょうか。とはいえ半年間はあっという間に過ぎてしまいますので、今のうちから考え方を固めておきたいという方も多いのではないかと思います。
オールカントリーは大人にも人気の商品ですから、選ばれるのも当然かもしれません。1本で完結できるという手軽さもありますし、こどもNISAでは12歳以降に引き出しも可能になります。年間投資枠が60万円ということは、積立額としては月5万円になりますので、大学資金の積立としてはかなりの金額になります。
実際に試算してみると、0歳から15歳まで積み立てるとして、月2万から3万円ほど積み立てれば十分間に合う金額ですので、大学資金として積み立てるにはそれ以上に余裕のある枠だといえます。そう考えると、大学資金だけでなく、それ以外の用途にも使えるお金になってくるかもしれません。
会員の方の中には、お子さんの貯蓄について金銭教育という名目でお小遣いをもらったら半分は貯金、半分は使ってよいというルールを設けている方もいらっしゃいます。このチャンネルでも一定期間、お子さんの金銭教育に役立てていただくための仕組みを公開していたことがありますが、その中でも同じような考え方でお話ししていました。
貯蓄そのものを一種の永久貯金として資産運用していくというルールであれば、これほど大きな金額は必要ないとも思います。ただ、そのお金は大学資金ではなくお子さんの貯金であるという前提ですから、目的ごとに整理して考える必要がありそうです。
大学資金のためにこどもNISAを活用する(6:53)
こどもNISAに積み立てるお金が大学資金のためであるということは、制度自体もそうした使われ方をある程度想定していると考えられます。先ほどお話ししたようにこれほど大きな金額は必要ないケースもありますが、短い期間で用意しなければならないとなると、それだけの金額が必要になってくることもあります。そうなると、お金を使う時期がある程度決まってくることになります。こどもNISAから成人のNISAに移行するくらいのタイミングで、引き出すことになるでしょう。
さらに今回、12歳以降に引き出しを可能にしているのは、中学生や高校生くらいの年齢を想定してのことです。たとえば部活動で強豪校を目指して遠征をしたり、海外留学やホームステイに行っていろいろな見聞を広めたりする際に、お金を使う場面が出てくるだろうという想定のもと、引き出しを可能にしているという背景があります。そう考えると、その間に使うお金であるにもかかわらず、必要なときに引き出せないと困ってしまいます。
そうした状況で、オールカントリー1本で投資をするというのは、相当リスキーだと感じます。暴落が起きる可能性を考えれば、暴落とまではいかなくても価格が下がってしまう場面はありますし、実際に暴落を受けてしまえば目も当てられない状況になりかねません。特にここ5年、あるいは10年ほどの間に投資を始めた方は、株価がずっと右肩上がりで推移してきた相場しか経験していないため、リスクをあまり感じたことがないかもしれません。しかし、リーマンショックという言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、そうした大きな下落が起きた時期も実際にありました。株式だけで運用していると、そうした局面で非常に大きな下落を受けてしまうことがあるという点をまず理解していただきたいと思います。
過去の暴落(8:57)
オールカントリーワールドインデックス、通称オルカンと呼ばれている投資信託で採用されているインデックスは、過去のショック時にどれくらい下落したのでしょうか。第一次オイルショックではマイナス50%、第二次オイルショックではマイナス30%、ブラックマンデーではマイナス33%というデータになっています。2000年代のITバブル崩壊、いわゆるミレニアムショックではマイナス35%、リーマンショックでも大きな下落を記録しました。コロナショックではマイナス25%、インフレショックではマイナス8%という結果も出ています。
円高や円安の影響で海外で起きた出来事が日本にどの程度影響するかは変わってきますが、おおむね3分の1から、下手をすれば半分以上値段が下がってしまうことになります。つまり、リーマンショックが起きるまでに資産が2倍になっていたとしても、リーマンショックを受けてしまえば元本以下にまで下がってしまうということです。このように、株式は相当値動きが激しいものだということがお分かりいただけるかと思います。もちろんそれだけ増える可能性があるというのも事実です。
しかし、使う用途と期限があらかじめ決まっているお金の場合、相場が思わしくないからといって2年先に延ばそうということはできません。それをお子さんに伝えるわけにもいかないのです。
そうなると、運用を続けながら教育ローンを利用するといった選択肢も出てきますが、その時の金利によっては運用成績が下がっていても金利は下がっていないという可能性もあります。金利が高止まりしている状態で大学入学のタイミングを迎えてしまうと、資金繰りが厳しくなることもあり得ます。
必要な時に必要なお金を用意するための計画を立てることを、ファイナンシャルプランといいます。難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、要は必要な時に必要なお金、たとえば大学入学資金として200万円なら200万円、300万円なら300万円を計画的に用意しておくということです。この下落を受けてお金を引き出せなくなってしまうと計画が狂ってしまう可能性もあるため、株式だけでの運用はあまりお勧めできません。
債券を取り入れたアセットアロケーション運用(11:22)
先ほど少し触れたように、積立投資枠の中で債券運用もできるようになりました。これによってアセットアロケーションを組むことが可能になります。アセットアロケーションを組んだ場合にどのような結果になるのか、こちらのチャンネルで方法論としてお伝えしている全世界投資と比較した図をご用意しました。

リーマンショックの際、株式やリートについては60%から75%程度下落しています。前者は資産を分散して投資していますので、価格変動のリスクは負うものの、下落幅はその半分程度、マイナス38%ほどに抑えられています。
この回復に必要なリターンという点も重要です。たとえば資産が半分まで下がってしまった場合、元の水準に戻すためには100%のリターンが必要になります。しかし下落率が33%程度であれば、必要なリターンはそれよりも少なくて済みます。投資の世界では、大負けをしてはいけないという大原則がよく語られますが、これはそうした理由からです。
実際に回復にかかった期間で見ても、全世界投資では株式だけで運用した場合より短い期間で回復できています。これはリーマンショックという歴代でもかなり大きなショックの中での話で、それでも5年ほどで回復した計算になりますが、株式だけで運用している場合と比べれば回復は早いといえます。
さらに、必要なお金については使う3年前には取り崩しておくべきだというお話をしています。大学資金として運用するのであれば15歳までが運用期間となり、15歳になったら1年目に使うお金については、それこそ毎月取り崩していくというやり方でも構いません。引き出すためには同意書が必要になりますが、売却してそのままこどもNISAの中に置いておくこともできますので、資産としての効率は落ちますが、その時に必要なお金は確実に用意しておくことが大切です。
リスクがあるからこそリターンが生まれるわけですが、リターンだけに目を向けるのではなく、リスクが実際に発現してしまった時のことも考え、必要な分だけ安全な運用に切り替えていく必要があります。また使う前にはリスク性の高い商品から外しておくという運用方法も求められます。
かつてのジュニアNISAと比べると、こどもNISAは60万円という枠の中でオルカンを購入して1本で済ませるという考え方もあるかもしれません。しかし積立投資枠の一部となったことで、600万円という大きな枠の中でリバランスも十分に可能になりました。お子さんの未成年者口座の中にある特定口座を使ったとしても、非課税で運用できる可能性は十分にあります。
アルバイトなどで基礎控除を使ってしまっているケースもあるかもしれませんが、それでも十分に活用の余地はあると思います。リバランスについて初めて聞いたという方は、こちらのチャンネルでも解説していますので、そちらの動画もぜひご覧いただければと思います。
運用を簡単にしたいという気持ちは分かりますが、それは結局のところ大人の都合だと思います。大切なお金が減ってしまうリスクがある以上、大人の目線でしっかりと考え、お子さんのための大事なお金にこそ、しっかりと安全対策を講じていただきたいと思います。
親御さん自身がオルカン1本で運用している場合は、おそらくお子さんの分もオルカン1本になってしまうことが多いのではないでしょうか。親御さんがアセットアロケーション運用に理解がない場合、そうした運用になりがちだと感じます。株式相場が好調な今はそれでも問題ないように見えますが、いざ下落を受けた時に「こんなはずじゃなかった」とは言ってほしくありませんし、それを言い訳にもしてほしくありません。
アセットアロケーション運用については、投資における基本的な戦略であり、いわば世界の常識ともいえるものですので、知らなかったでは済まされない部分もあると思います。
老後資金のためにこどもNISAを活用する(16:42)
こどもNISAを老後資金として活用したいという方もいらっしゃいます。以前、月5000円の積立で5000万円残せますという動画も14万回ほど再生されましたが、そこでお話ししたように、こどもNISAの枠を当面使う予定のないお金として運用することも可能です。使う予定のないお金であれば、100%オルカン1本という選択も、かなりお勧めとは言えないまでも、一つの考え方としてはあり得るかもしれません。
お子さんが18歳になれば、そのお金は自分自身のお金として運用できるようになりますので、お子さんにもアセットアロケーション運用という考え方を身につけてもらえるよう、日頃から話をしておくとよいのではないかと思います。
運用方法については高校1年生の家庭科の授業でも取り上げられていますが、そこでもぜひアセットアロケーション運用について教えてほしいと感じています。ファイナンシャルプランニング技能検定という国家資格の試験内容にも、アセットアロケーション運用は含まれています。年金運用でも実際に用いられている考え方ですので、教育の中にもっと組み込まれてよいのではないかと思います。
まとめ(18:04)
お子さんの大学資金や留学資金といった目的でこどもNISAの枠を使おうとしている方は親御さん自身の投資枠がすでにほとんど埋まっている状態であることが多いと思いますので、ある程度安全性を重視した運用を心がけ、債券も加えたアセットアロケーション運用をぜひ取り入れていただきたいと思います。
積立投資枠の中では金やREITといったファンドは設定されていないため、こちらのチャンネルでお伝えしている全世界投資の完全なバランスを組むことはできませんが、それに近いバランスを組むことは十分可能です。設定がない資産クラスについての対処法についても会員制度の中でお話ししていますので、リスクは比較的抑えられると考えています。
運用の利回りは多少下がるかもしれませんが、それでもオルカンと現金だけの組み合わせと比べれば下落幅は大きく抑えられますので、お子さんの大切なお金だからこそ、こうした方法論もぜひ学んでいただければと思います。
老後資金として活用する場合は100%オルカン1本という選択もなくはないと思いますが、基本の戦略としては4資産均等分配のような考え方をお勧めします。ジュニアNISAの頃はリバランスができないという制約がありましたが、今回は積立投資枠の一部となり600万円という枠がありますので、リバランスも十分可能です。お子さんの未成年者口座の中の特定口座を活用すれば、非課税で運用できる可能性も十分にあります。
アルバイトなどで基礎控除の枠を使ってしまっているケースもあるかもしれませんが、それでもリバランスという選択肢は十分に活用できると思います。運用を簡単に済ませたいという気持ちは理解できますが、それはあくまで大人の都合であり、大切なお金が減ってしまうリスクがある以上、大人の目線でしっかりと考え、お子さんのための大事なお金にこそ、それ相応の安全対策を講じていただきたいと思います。
またこちらの動画「2027年こどもNISA決定!月5000円で子どもに5000万円を残す方法」では、児童手当を活用した積立シミュレーションを解説していますのでぜひご覧ください。





