【定期1.2%の落とし穴】銀行が今これほど必死に預金を集める本当の理由とインフレに負けない守り方 

定期預金の金利1%が当たり前の時代になってきました。金利が上がってきたことで、預金と投資のどちらにお金を置くべきか、方向性に迷う方も増えているのではないでしょうか。

今回はその背景と、インフレ時代に資産を守るための考え方について解説します。

金利「1%超え」が当たり前の時代へ(2:19)

ネット銀行を中心に、1年もの定期預金で1%を超える金利を提示する金融機関が増えてきました。窓口を持つ地方銀行や信用金庫でも1%超えが目立つようになっています。ザイ・オンラインが2026年5月1日時点でまとめたデータによると、SBJ銀行が1.4%、SBI新生銀行が1.3%(100万円の場合)をはじめ、7位まで見ても1.2%という水準になっています。100万円を預ければ1万円の利息がつく計算で、わずかな金額でも預けられる金融機関もあります。

こうした高金利の影響もあり、預金残高は増加傾向にあります。インフレによってお金の価値が日に日に目減りしていくことを実感した人々が、少しでも金利の高い場所に資金を移し始めているのです。個人向け国債でも1%を超えるとぐっと購入者が増えるように、1%という水準は多くの人にとって一つの目安になっているようです

なぜ銀行は今、これほど必死に金利を上げるのか?(3:48)

日銀はかつて政策金利を極めて低く抑え、量的緩和、いわゆる異次元緩和を続けてきました。しかし、インフレが上昇してきたことを受け、金利を引き上げるフェーズに移行しています。今後もさらなる利上げが予測される一方で、金利を上げると景気が悪化するという懸念もあります。現在はコストプッシュ型のインフレが続いており、円安や原油価格の上昇、食料品の値上がりなど、供給不足に起因する物価上昇が見られます。

国債利回りも軒並み上昇しており、2025年5月15日時点でブルームバーグが示したデータでは、2年債で1.4%台、5年債で約2%、10年債で2.7%、20年債で3.63%、30年債では4%を超える水準となっています。

銀行は預金者から集めた資金を、それより長い期間の債券で運用することで利ざやを得るのが基本的な収益モデルです。政策金利が0.75%前後で、10年債が2.7%程度であれば、その差分が利益になります。かつて金利がほぼゼロだった時代には預金を集めるメリットがなく、金利の引き上げにも積極的ではありませんでした。しかし今は状況が変わり、預金を集めるほど儲かる環境になっています

以前の銀行は手数料収入を主な収益源とし、高金利の定期預金と投資信託をセットで販売するような手法も見られました。今も手数料ビジネスは続けつつ、給与振り込みや年金受け取りのメイン口座として選んでもらうため、ポイント付与や振込手数料の優遇など、利便性を高める戦略も取り入れています。メイン口座として多くの顧客に使ってもらえれば、一定の資金が常に口座に積み上がるため、長期の債券運用にも活用しやすくなるわけです。

銀行預金のリスク(8:54)

定期預金の金利が1%を超えてきたからといって、それで安心とはいえません。現在のインフレ率が3%程度であるとすると、1.2%の金利では実質的に1.8%分の目減りが生じていることになります元本は保証されていても、お金の価値としては毎年少しずつ減り続けているのです

インフレに勝つためには(9:59)

インフレに勝つためには、インフレ率を上回る運用益を得ることが必要ですインフレが今後5年・10年・20年にわたってどう推移するかは誰にも分かりませんが、少なくとも現状の3%程度を上回るリターンが出なければ、リスクを取って運用する意味が薄れてしまいます

資産運用を考えるにあたって大切なのは、お金の使用目的ではなく使用するまでの期間で判断するという考え方です。まず前提として、投資をするかどうかにかかわらず全員が確保しておきたいのが生活防衛資金です。生活費の6ヶ月分、独身の方であれば50〜100万円程度が目安で、家族が増えるほど若干増やすとよいでしょう。ただし、世帯人数が増えても単純に比例するわけではなく、2人なら1.4倍、3人なら1.7倍、4人でようやく2倍程度あれば十分です。

この生活防衛資金は運用するお金ではありません。必要な時にすぐ引き出せる状態にしておくことが重要で、目安として24時間以内に引き出せることが条件です。個人向け国債や投資信託はこの条件を満たしません。普通預金か、すぐに解約できるネット定期預金に置いておくことが基本です。急な入院などのアクシデントに備えるためのお金ですから、流動性を最優先に考える必要があります。

生活防衛資金が確保できて初めて、運用を考える段階に入ります。

長期投資の運用期間(13:14)

長期投資の目安となる期間は10年以上です。期間が長ければ長いほど元本割れのリスクは下がり、より安心して運用を続けられます。利益が出るかどうかは保証できませんが、元本を割るかどうかは多くの人にとって最も重要な関心事であり、期間を延ばすことでその確率は下がっていきます

運用に向いている代表的な資金は老後資金で、次に挙げられるのが教育資金です。子どもが0歳の時から積み立て始めれば18〜21年後の大学費用として活用でき、十分な運用期間を確保できます。

インフレ率がどれほど高くなっても、一般的には長期的に見て1.5〜2%程度に収束するとされており、中央銀行もインフレ目標として2%を掲げています。全世界への分散投資を長期で続けた場合、過去23年間での利回りは年率7%程度という実績があります。インフレを4%以上上回るリターンが得られている計算で、インフレが加速する局面ではさらに良好な結果が出ることもあります。

1年超10年以下のお金(14:50)

生活防衛資金を超えて、かつ10年以内に使う予定のあるお金については、運用には向かないため貯蓄で対応するのが基本的な考え方です5年後に使う予定のあるお金を今から投資に回すのは、元本割れリスクが高く、専門家として推奨できるものではありません。インフレで目減りすることと元本割れはどちらも資産の毀損ですが、少なくとも元本割れが起きていることは実感しやすく、精神的なダメージも大きいものです。

インフレ負けを完全には防げないとしても、目減りする分だけ多めに貯蓄することで必要な金額をカバーすることは可能です。たとえば5年後に100万円必要な場合、インフレで105万円必要になるとすれば、最初から105万円を目標に貯蓄すればよいというわけです。

また、1年超10年未満の期間でも、個人向け国債は一つの選択肢になります。3年・5年の固定金利型であれば定期預金より金利が高い場合もあり、元本確保型で国が保証している安心感もあります。いつ使うか分からない資金については、キャンペーン定期預金や高金利の普通預金なども活用できます。

まとめ(17:55)

最近では1年もの定期預金で1.2%を超えるキャンペーンが多くなっており、短期的な資金の置き場所としては良い選択肢の一つです。生活防衛資金のような短期資金も、少しでも高い金利で運用することには意味があります。ただし、定期預金だけで資産形成を完結させることはできません。インフレが続く限り、元本保証の商品だけではお金の価値の目減りを防ぐことはできないからです。

インフレに打ち勝つには、インフレ率を上回る利回りを長期の運用で目指す必要があります。そのための鍵は長期投資・資産分散・時間分散の三つを組み合わせることであり、運用期間は10年以上が目安です。10年以内に使う予定のあるお金は貯蓄で準備し、使う予定のない・時期が決まっていないお金については、できるだけ早く運用を始めることが大切です。

早く始めるほど運用期間が長くなり、将来のさまざまな資金ニーズに対応できる余裕が生まれます。貯蓄と投資・資産運用を上手に組み合わせることで、将来の目標を叶えやすくなります。

またこちらの動画「株高円安インフレの今だからこそ投資を始めるべき理由」では、投資を続けられる仕組み作りのポイントを解説していますのでぜひご覧ください。

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