米国株の仕込み時ってあるの?100年分データで見た長期投資家の本当の答え 

YouTubeのサムネイルで「米国株は今が仕込み時だ」という言葉をよく目にします。

その背景にあるのが、米国の中間選挙です。中間選挙と株価には実際に関係があり、今回はそのことについて解説していきます。

スパンが重要(0:59)

「仕込み時」という言葉を見た時に最も重要なのは、それがどのスパンで語られているかという点です。超短期の話なのか、数ヶ月単位の話なのか、数年単位なのか、あるいは長期投資のスタンスで言っているのかによって、意味はまったく異なります。中間選挙の話であれば、大統領選挙の4年スパンの話です。この4年周期は変わらず、中間選挙が起きれば次の4年後にまた中間選挙がやってきます。

この4年間の中で、どの年が株価の調子がよく、どの年が悪かったかという傾向は、アノマリーとして確認されています。アノマリーとは、因果関係は特定できないものの、統計的に周期性や法則性が見受けられる現象のことです。

出典:Capital Group

今回参照するのは、米国の大手アクティブ運用会社であるキャピタルグループが出したレポートです。1930年から2025年にかけての約100年分のS&P500トータルリターンのデータをもとに、中間選挙の年とそれ以外の年を比較しています。

結果として、中間選挙の年の平均リターンは4.7%、それ以外の年は9.5%と、明確な差が見られます。統計的に有意な差があり、単なる偶然ではなく何らかの原因がある可能性が高いとされています。

出典:Capital Group

月ごとの平均リターンを見ると、中間選挙の年は5月から6月あたりからマイナス方向に推移し、9月から10月頃まで低迷する傾向があります。これは選挙が近づくにつれ不確実性が高まり、投資家がその結果を見届けてから動こうとするためだと考えられます。不確実性は投資家が最も嫌うものであり、それが取引量の減少や株価の低迷につながります。

出典:Capital Group

また変動率についても、中間選挙の年の7月から10月にかけて上昇する傾向が確認されています。変動性が高まるということはリスクが増すことでもありますが、同時にリターンの可能性も高まることを意味します。上に触れればプラスのリターン、下に触れれば損失という両面があります。

出典:Capital Group

さらに、中間選挙後1年間のS&P500のリターンを見ると、平均15.4%という数字が出ています。全年平均の8.3%、中間選挙以外の年の平均7.8%と比べると、およそ2倍近くのリターンが期待できることになります。マイナスになった年もほとんど見当たらないため、中間選挙の時期に仕込んでおくという論理には一定の根拠があります。

一括投資を検討していて、タイミングを迷っているような方であれば、このアノマリーに乗ることも選択肢のひとつです。ただし、過去のデータはあくまで過去のものであり、将来を保証するものではない点は忘れてはなりません

長期投資において”仕込み時”はない(13:43)

長期投資の観点から見ると、「仕込み時」というものは基本的に存在しないと考えてよいでしょう。特に積み立て投資を始めようとしている方や、継続していく上でタイミングを悩んでいる方は、悩んでいる時間があるならすぐに始めた方がよいです。なるべく早く、なるべく少額からというのが基本的なスタンスです。

たとえば1000万円規模の資産形成を目標にした場合、毎月1万円や10万円の積み立て額のブレは誤差の範囲です。ボーナスが入ったタイミングでリバランスをする程度で十分であり、細かいタイミングを気にする必要はありません。毎月自動的に積み立てていれば、安い時には多く買い、高い時には少なく買うドルコスト平均法が自然と機能します

長期的なスパンで見る(14:56)

長期投資で大切なのは、もっと大きなスパンで物事を見ることです。最低でも10年というスパンで考えると、4年周期のサイクルはその中に収まるひとつの波に過ぎません。さらに10年サイクルの上には25年、50年、60年、120年といったより大きなサイクルも存在しています。

世界のGDPとACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)の長期的な推移を見ると、両者は連動しながら右肩上がりに推移しています。短期では乖離することもありますが、長い目で見れば株価はGDPの成長に沿って上昇していきます。しかも株式はGDPよりも強い複利効果を伴って増加していく傾向があります。

10年、20年という大きな流れで見れば、多少のタイミングのズレは大きな影響を持ちません。それよりも、上昇し続けるものに投資し続けることの方がずっと重要です

長期投資・資産分散・時間分散を取り入れる(18:45)

分散投資には資産分散と時間分散の2種類があります。まとまったお金がない方には、一括投資という選択肢そのものがないわけですから、迷わず積み立て投資を今すぐ始めることが答えです。

資産分散については、株式だけでなく債券、リート、金など複数の資産に分散して投資することが大切です。価格変動の大きい株式一本に集中すると、リスクが過大になります。全世界の資産に満遍なく投資するアセットアロケーション運用が、長期投資の基本的なスタンスです。

売り時についても同様です。売るのは使う時です。老後や教育費など、使うタイミングに合わせてファイナンシャルプランに基づいて売ればよく、タイミングを毎回考える必要はありません。あらかじめ計画が決まっていれば、あとは継続するだけです。

投資で一番大切なのは継続することです。継続さえできれば、大抵はうまくいきます。仕込み時を考えることに時間と労力を使うよりも、日々の仕事や家族との時間を大切にしながら、老後の備えは自動的に積み上がっていく仕組みをつくることの方がずっと重要です。

老後への不安は、口でどれだけ「不安じゃない」と言っても消えません。行動することで初めて安心が得られます。今から準備をしているという事実が、不安を和らげてくれます。

まとめ(25:25)

投資の3大原則は長期投資、資産分散、時間分散です。ただし、これらを「長期で投資すれば必ず増える」「全世界分散なら安全」「積み立てていれば暴落がない」と誤解している方も多く、その誤解は危険です。正しい意味を理解した上で実践することが大切です。

「仕込み時」という言葉を見聞きした際には、それが投資なのか投機なのか、どのスパンで語られているのかをきちんと見極めることが必要です。正しい知識を持ち、正しい判断ができるようになることが、長期的な資産形成への第一歩です。

またこちらの動画「《元本割れリスクがなくなる?!》最終的に長期投資が最強である理由」では、リスクとリターンから全世界投資やS&P500をシミュレーションし、長期投資の強みを解説していますのでぜひご覧ください。

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