利回り3.5%の日本国債が買える時代に。買うのはあり?なし?
SBI証券のサイトで、利回り3.5%の日本国債を購入できることが紹介されていました。
魅力的に感じる方も多いと思いますので、「これは買うべきなのか、それとも見送るべきなのか」という素朴な疑問について考えてみます。
利回り3.5%の日本国債を買うのはあり?なし?(1:12)
SBI証券で販売されているのは既発債です。20年債と30年債が対象で、第89回の利付国債の参考利回りは3.535%となっています。ただし税引き後になると2.83%まで下がります。20年債であれば3.135%、税引き後は2.49%ほどになります。
結論から言えば、個人が「生債券(個別債券)」として購入する場合、満期まで保有することが基本的な姿勢となります。その利回りがご自身のファイナンシャルプランやインフレ率を上回ると判断できるなら、選択肢として「あり」と言えるでしょう。
ただし、20年・30年という運用期間があるのであれば、一般的な投資運用の方が期待利回りの面では有利です。また、現在は金利が上昇局面にあるため、今の水準で長期間固定してしまうのは得策ではない可能性があります。とはいえ、全体の資産配分のなかで一定割合を個別債券として保有しておくことには意味があります。リバランス時にも売却しない前提で持てる分、例えば全体の3割程度を上限として組み入れるのが現実的です。
金額の目安としては最低でも数百万円から、場合によっては1,000万円以上の規模感になります。購入単位はおおむね10万円程度を見ておくとよいでしょう。
資産配分において国際債券を組み入れている場合、株式が値上がりする局面では相対的に債券の割合が自然に下がってきます。そのような際に債券を個別で保有していると、リバランスの際に売却が必要になるケースも出てきます。長期債を個別で持つ際は、この点も念頭に置いておく必要があります。
安定した資金の置き場として国債を検討する方もいます。例えば子どもが生まれたばかりで大学費用として確保したい場合、20年債であれば税引き後2.49%の利回りがあり、インフレに一定程度は対抗できる水準です。ただし、こうしたケースでも現在が金利上昇局面であることは忘れてはなりません。
日本国債30年の利回り実績(6:31)

出典:SBI証券
過去10年間の30年債利回りのグラフを見ると、利回りは一貫して上昇傾向にあります。現在は3.5%を超えていますが、これが天井かどうかはまだわかりません。4%に到達してもおかしくない状況とも言えます。日銀としては金利を上げたくない事情もありますが、それでも金利上昇局面であることに変わりはなく、まだ頂点には達していない可能性があります。利回りが下落に転じてから検討するというのが、より賢明なタイミングかもしれません。現時点で長期債を固定するのは、やや慎重に考えた方がよいでしょう。
個人で買える国債の種類(7:25)
個人が購入できる国債には大きく3種類あります。個人向け国債、新窓販国債、そして既発債です。
個人向け国債は、固定3年・固定5年・変動10年の3種類があります。1万円以上1円単位で購入でき、毎月募集されています。1年後以降であれば途中換金も可能で、元本割れが起きない仕組みになっています。最低金利も保証されており、個人のみが購入できる商品です。購入価格は100円につき100円で計算しやすいのも特徴です。
変動10年は金利上昇局面では利回りが上がっていくため、現在のような環境では注目度が高い選択肢です。動画作成時点(4月上旬)の利回りは、変動10年が1.55%、固定5年が1.79%、固定3年が1.51%ほどとなっています。
新窓販国債は2年・5年・10年の固定金利商品で、5万円以上5万円単位での購入となります。こちらも毎月募集されていますが、入札結果によって販売価格が変動します。金利が市場の水準より低い場合は98円などの割引価格で販売されることもあります。法人も購入可能で、途中換金は市場での売却となるため元本割れのリスクがあります。上限は3億円です。10年債の利回りは2.4%程度、2年債は1.4%程度です。税引き後では2%を下回るため、インフレに対してのプラスアルファは限られます。
既発債は残存3年から40年まで幅広く対象となり、証券会社が仕入れているものを購入する形です。いつでも購入できる点が魅力ですが、利回りは固定で途中売却時には損失が生じる可能性があります。SBI証券では20年債・30年債が購入可能で、野村証券などは品揃えが豊富とされています。
すべての国債に共通する点として、利払いは年2回(半年ごと)で、満期時には100円につき100円(額面通り)が返還されます。
途中売却を考える場合は注意が必要です。金利が1%上昇すると、債券価格は必ずしも1%下落するわけではなく、残存期間が長いほど価格変動は大きくなります。つまり長期債を途中売却しようとすると、大幅な損失になりかねません。個人の方が途中売却を前提に長期債を保有することは非常に難しく、基本的には満期まで保有できる期間の債券を選ぶことが重要です。
選択肢が増えていい時代になった(15:41)
20数年前は、日本国債について語る時代が来るとは思っていませんでした。選択肢が増えることは非常に良いことです。ただ、選択肢が増えると迷いも増えます。大切なのは、長期的な視点で資産運用・貯蓄を考える際の基本的な考え方を持っておくことです。
現時点では短期的にも長期的にも金利上昇局面にあると見るのが自然です。さらにインフレを加速させるような政権の姿勢もあることから、20年・30年の長期債についても、まだ利回りが上昇する余地は十分にあります。今はそのタイミングではありませんが、ニーズがあるのであれば、満期まで保有することを前提に購入を検討してみてください。
使い道が決まっていないお金がある場合、目的だけでなく「いつ使うか」という期間で考えることが大切です。使う時期が決まっていて元本を絶対に守りたいという方、あるいは価格変動がストレスになるという方であれば、20年債などを活用することも選択肢の一つです。
まとめ(18:11)
国債も含めた金融商品は、「買うか買わないか」「どれを選ぶか」という最終判断の前に、投資戦略があり、さらにその前にファイナンシャルプランがあります。国債があるからどうしようかと考え始めても、答えはなかなか出てきません。まず「いつ使うお金か」「いくら必要か」「使う時期はずらせるか」といったことを明確にし、そこから逆算して金融商品を選ぶというステップが基本です。
必要最低限の金額(ニーズ)は安全な商品で確保し、それ以上の部分(ウォンツ)は投資で増やすという考え方も一つの方法です。例えば大学費用として最低400万円は確実に確保したいが、理想は700〜1,000万円という場合、確実に必要な400万円は国債で保全し、残りの差額分は運用で目指すという分け方もできます。
ファイナンシャルプランを作るのが難しいと感じる方もいますが、基本を押さえれば誰でも作れるものです。FP資格の勉強も有効ですし、専門のサービスを活用することも一つの方法です。老後の資産設計を起点に考え、そこから逆算してマイホーム・教育費・車など各ライフイベントをオプションとして積み上げていくというアプローチが、資産形成の基本的なセオリーです。
またこちらの動画「【反則級】元本割れしない投資商品?!個人向け国債のお得な使い方6選」では、元本割れしない個人向け国債の活用法を目的別に解説しているのでぜひご覧ください。





