合法的に「国保逃れ」をする方法
以前の動画で「国保逃れを合法的にする方法はない」という話をしていましたが、制度を幅広く検討した結果、3つの方法が見えてきましたので、順を追って解説します。
国民健康保険が高い理由(1:06)
国民健康保険料が高くなる主な理由は、前年所得をベースに計算される点と、保険料を全額自己負担しなければならない点にあります。 さらに、均等割という負担が加わることも大きな要因です。会社員として社会保険に加入している場合、保険料は会社と折半になりますが、国保にはその仕組みがないため、実質的に倍近く、場合によっては3倍程度の負担になることもあります。
国保から逃れられる方法①任意継続(2:49)
1つ目の方法は「任意継続」です。 退職などのタイミングで活用できる制度で、最大2年間、それまで加入していた社会保険を継続することができます。在職中に支払っていた保険料の金額を固定した上で継続するため、いきなり国保に切り替えるよりも有利になるケースがあります。
例えば年収約600万円の方が本人1人で計算した場合、国保では年間62万円程度になるのに対し、任意継続では37万円程度に抑えられ、約25万円の節約になります。また、国保にはない傷病手当金が任意継続では受けられる点もメリットです。以前から傷病手当金を受給していた場合はそのまま継続でき、継続期間中に条件を満たした場合にも適用されます。健康保険組合であれば、さらに付加給付が受けられる場合もあります。
ただし、会社負担分も自分で支払う必要があり、全額自己負担となる点はデメリットです。 また2年間という上限があり、それを超えると強制的に資格を喪失します。注意が必要なのは、毎月届く納付書の期限を1日でも過ぎると即座に資格喪失となる点です。
キャッシュに余裕がある場合は数ヶ月分まとめて前払いしておくという対応も可能です。なお、任意継続は社会保険と同じ扱いなので、これまで扶養に入っていた配偶者やお子さんも引き続き扶養に入ることができ、その分の保険料はかかりません。
国保から逃れられる方法②少し会社勤めをする(6:31)
2つ目の方法は、少しだけ会社勤めをして社会保険に加入するというものです。 現在、社会保険の加入者拡大が進められており、原則として週20時間以上働けば社会保険への加入が義務付けられています。
これを応用したケースとして、例えば専業主婦世帯で夫が退職した場合を考えてみます。妻がパートで収入を抑えて働いていたため社会保険に入っていない状況で、夫が退職後に収入がなくなる見込みがあるとします。このとき、妻が週20時間以上働くことで社会保険に加入し、収入と年齢の要件を満たせば、夫を妻の扶養に入れることができます。
扶養に入れれば夫の保険料はかからなくなるため、世帯全体の保険料負担を下げつつ、妻の収入自体も増やせるという効果が生まれます。今まで「壁」を超えないように収入を抑えていた方が、あえて超えることで世帯全体の手取りが増えるケースもあります。
国保から逃れられる方法③扶養に入る(8:06)
3つ目の方法は「扶養に入る」というものです。 配偶者間だけでなく、親を子どもの扶養に入れるというケースも考えられます。制度を知っているかどうかで大きな差が生まれる部分です。
扶養に入るための前提条件として、まず国内に住所があることが必要です。次に、被保険者(扶養に入れる側)の収入によって主として生計を維持していると認められる関係にあることが求められます。収入要件については、60歳未満の方は年間130万円未満、60歳以上または障害者の方は180万円未満が基準となります。
また、令和7年10月1日以降は19歳以上23歳未満の方については150万円未満という特別な要件が設けられます。さらに、親族の関係によっては同居が必要になる場合があります。被扶養者(扶養に入ろうとする側)は75歳未満であることも条件で、75歳以上になると後期高齢者医療制度に移行するため扶養には入れません。
なお、国保の保険料が前年所得に基づいて計算されるのとは異なり、扶養の認定に使われる収入は「将来の見込み額」で判断されます。 退職して収入がゼロになる見込みであればその時点から扶養に入れる可能性がある点が、国保の計算とは異なるポイントです。失業給付なども収入として含まれるため注意が必要です。
同居している場合の判定(11:45)
同居している場合、被扶養者の収入が被保険者の収入の2分の1未満であることが原則的な条件となります。 例えば親の年金が年120万円程度で、子どもの年収が500万円であれば、扶養に入れることができます。
ただし、夫婦の場合はお互いの収入が近いこともあるため、2分の1を超えていても認められるケースがあります。夫婦間では年収の多い方が被保険者、少ない方が被扶養者と認定されるという運用が制度上定められており、2分の1の条件は比較的緩やかに見られる場合があります。実際の認定は保険者が行いますので、詳しくは窓口で個別に確認することをお勧めします。
別居している場合の判定(14:13)
別居している場合も収入要件は変わりませんが、生計維持関係の証明に条件が加わります。 別居の場合は、扶養に入れる側から入ろうとする側への仕送りが必要です。仕送り額が扶養に入ろうとする方の収入を上回っていることが判定基準となります。仕送りの事実は振込履歴や通帳のコピーなどで証明が必要となるため、現金ではなく振込で行うことが重要です。
年金を受給しているケースでは金額が大きくなることもあり、仕送りがその額を上回るのはハードルが高い場合もあります。一方、65歳からの年金受給を繰り下げているなど、一定期間収入がない状況であれば、仕送りだけで収入要件と仕送り要件を同時に満たせる可能性があります。
同居が必要かどうか(親族別)(16:44)
扶養に入れる際、同居が不要な親族は配偶者、子ども、親、兄弟姉妹です。 これらの関係であれば、別居していても先に述べた要件を満たすことで扶養に入れることが可能です。一方、叔父・叔母、甥・姪、さらにその配偶者など、三親等以内の親族であっても上記以外の関係に該当する場合は同居が必須となります。例えば、子どもが先に亡くなり、残された配偶者が義理の父母を扶養に入れたいというケースでは、法律上の親族関係が変わるため同居が必要になります。
扶養に入れるメリット・デメリット(18:02)
子どもが親を扶養に入れる場合の注意点として、高額療養費の上限額が変わる可能性があります。 高額療養費の自己負担上限は被保険者、つまり扶養に入れる側の年収によって決まるため、子どもの収入が高い場合、親がすでに高額療養費の対象となっていると、上限額が上がってしまうことがあります。国保の負担は減っても医療費の上限が上がり、結果的に損になるケースも考えられます。
また、保険が変わると高額療養費の「多数該当」がリセットされる点も注意が必要です。多数該当とは、同一年度内に高額療養費が3回以上発生した場合に4回目から自己負担上限が下がる制度で、保険が切り替わるとこの回数がゼロに戻ります。
一方でメリットもあります。同じ世帯内で高額療養費を合算できる制度があり、70歳以上は年齢を問わず全額合算が可能で、70歳未満は各医療機関ごとに2万1000円以上の自己負担があるものを合算できます。親と子どもの双方に医療費がかかっている場合は、合算することで全体の自己負担が下がる可能性もあります。どちらの影響が大きいかをしっかり計算した上で判断することが重要です。
その他のテクニック(20:37)
国保には7割・5割・2割の軽減制度があります。 生活保護世帯やそれに近い収入の方が対象となりますが、基礎年金のみで収入が少ない自営業者の方や、退職後に年金受給を繰り下げて資産の取り崩しで生活している方などは、この軽減制度を使える可能性があります。詳細は自治体の窓口で確認してください。
また、業種によっては国民健康保険組合(国保組合)に加入できる場合があります。医療関係者、建設関係者、土木関係者、食品関係者、市場関係者などは、地域ごとに国保組合が存在することがありますので、独立・自営業として活動される方は一度確認してみる価値があります。
まとめ(22:14)
今回紹介した合法的に国保を回避・軽減できる3つの方法をまとめます。
1つ目の任意継続は退職時に検討できる制度で、保険料の比較をした上で有利な方を選ぶことが大切です。2つ目の少し会社勤めをして社会保険に入る方法は、本人だけでなく配偶者がパートの労働時間を増やすことで世帯全体の負担を下げられる可能性があります。3つ目の扶養については、配偶者間だけでなく親を子どもの扶養に入れるケースも含め、収入要件や同居・別居の条件をしっかり確認することが必要です。
実際に扶養の認定を行うのは保険者ですので、中小企業の場合は協会けんぽ、健康保険組合がある場合はそちらに問い合わせることをお勧めします。制度を正しく知っているだけで得をするケースもありますが、デメリットも存在しますので、十分に計算・検討した上で慎重に進めてください。
またこちらの動画「【200万円追徴も】「国保逃れスキーム」が厚労省のメスで完全終了」では、国保逃れスキームの違法判断基準やペナルティを解説していますのでぜひご覧ください。





