投資で「頑張る」が意味をなさない5つの理由
はじめに
投資を始めると多くの人が「より高いリターンを得るために努力しなければ」と考えがちです。しかし投資で頑張ることはあまり意味がありません。
この考え方は特に労働や日常の感覚とは異なる投資の特性を理解するうえで非常に重要です。5つの理由を通じてなぜ投資で「頑張る」が不要なのかを掘り下げていきます。
投資のリターンには「平均」がある (04:58)
投資のリターンには市場全体のメカニズムに基づいた一定の「平均」が存在します。一般的に投資家が期待できるリターンは年率5%から8%程度。極端に高いリターンは長期間にわたって維持することが困難です。
具体的な例としてもし10%の確実なリターンが保証される金融商品が存在したとします。その場合、多くの投資家が競ってその商品を購入するため価格が上昇し結果的にリターンは下がってしまいます。このように市場の需要と供給によって最終的にはリターンが均されていくのです。
また世界全体の経済成長率は年率2%から4%程度と言われていますが、これを超えるリターンを生むのは資本収益率の力です。しかしこの資本収益率を活かした投資をしても結局のところ平均的なリターンに収束します。そのため過剰な努力をしても市場の平均以上の成果を得るのは非常に難しいのです。
タイミングを狙った売買はプロの領域 (10:46)
「株価が上がりそうだから買う」「そろそろ下がるだろうから売る」といったタイミングを狙った投資行動はいわゆる「投機」に該当します。投機は短期間で利益を得ることを目的とした取引ですが、これを成功させるにはプロフェッショナル並みの技術や知識が必要です。
この投機の難しさはF1レーサーに例えられます。F1レーサーになるには幼少期からの訓練や特別な才能、スポンサーの支援が必要です。同じように投機で成功を収めるためには市場の歪みを見抜く鋭い目や勇気、リスクを取る覚悟が必要不可欠です。さらに投機の世界での競争相手は世界中のプロフェッショナル。自分が有利に立つためには彼らを上回る分析力や行動力が求められるため、一般の投資家が気軽に踏み込める領域ではありません。
投機には再現性がない (13:23)
投機の成功には運やその時の市場環境が大きく影響します。そのため一度成功したとしても同じ手法が将来にわたって有効である保証はありません。市場の歪みを利用して利益を得る方法は往々にして寿命が短いのです。
例えば新たな取引手法が注目されると多くの投資家がその方法を模倣し、やがて市場に取り込まれて効果が薄れてしまいます。このように投機の手法は一時的に有効であっても長期間にわたって安定したリターンを得られるものではないという特性があります。
平均を超えるには膨大な努力が必要 (16:27)
投資で市場の平均を超える成果を出すには莫大な時間とエネルギーを費やす必要があります。これは新しいビジネスを立ち上げるのに似ています。市場の歪みを見つけそれを解消するアイデアや方法を考え実行に移す。このプロセスには多くの試行錯誤が伴います。
また投資の世界では十分な知識や経験、資金管理能力が求められます。さらにその努力が報われる保証もありません。このため特別な熱意や情熱がなければ市場の平均を上回る成果を目指すのは非現実的と言えるでしょう。
利回りを上げるより支出を下げるほうが簡単で効果的 (19:25)
投資でリターンを上げる努力をするよりも日々の生活の支出を抑える方が簡単かつ効果的です。例えば1000万円を運用して1%のリターンを増やすことと月に1万円を節約することでは、得られる成果に大きな差はありません。さらに後者の方が再現性が高く実行しやすいのです。
特に投資初心者にとっては無理にリターンを上げようとするよりも日常生活の支出を見直し、堅実な資産形成を目指す方が現実的です。
まとめ
投資で「頑張る」ことの意味が薄いことは投資の本質を理解することで初めて納得できるものです。市場の平均リターンに収束するという投資の特性を踏まえれば、投資で無理に頑張る必要がないことが分かります。
まずは投資の土台を築くことが重要です。そして家計をコントロールすれば人生の中の資産形成ができるのです。
家計のコントロールについては、こちらの動画「《家計簿完全ガイド》家計管理は難しくない!気持ちがラクになる家計管理の考え方【家計を学ぶ004】」をぜひ参考にしてみてください。