【新NISA枠を使う優先順位】新規投資資金?特定口座からの移管?旧NISAからの移管?
2024年からスタートした新NISA制度では非課税枠が大幅に拡大されました。効率の良い投資戦略を立てることで資産を大きく増やしていくことも可能になります。
しかし、多くの方が「効率の良い投資先の優先順位が分からない」と悩んでいるのも事実です。この記事では、新NISAを活用する際の投資先の優先順位や基本戦略について詳しく解説します。
新NISAの非課税枠を無駄なく活用し、さらに資産運用を最適化する方法を知ることができます。
キーポイント
新NISAの前提条件 (00:01:06)
これから新NISAを効率良く利用する方法をお話しする上で前提となる条件があります。
1.すべての資金がマネーセンスカレッジが推奨する全世界投資で運用されていることを想定しています。全世界投資とは世界中の株式や債券、REITなどに分散投資し、リスクを最小化しながらリターンを最大化するものです。この前提に基づき、新NISAの非課税枠をどう活用するかが決まります。
2.推奨ファンド以外で運用している資産を新NISAを機に全世界投資に変更する場合は売却代金を新規投資資金として考えます。全世界投資以外の運用(オルカンのみ、S&P500のみ、高配当株式など)で行っている投資は対象です。*推奨ファンドについては会員制のみでお話しています。
3.サテライト運用はその年のSTEPが終わっても年間投資枠が余っているのであれば新NISA内で購入して下さい。
新NISAの優先順位と理由 (00:05:23)
新NISA枠を有効活用するには、投資の目標=優先順位を明確にする必要があります。この優先順位は以下の3つの基準に基づいています。
- 投資戦略を守る
どのような状況でも、投資戦略を揺るがさないことが最優先です。アセットアロケーションを崩さないようにし、長期的な運用を可能にします。 - 労力を最小限に抑える
非課税枠の管理や投資戦略の変更にかける時間や手間を削減し、効率よく資産を運用する方法を選びます。 - 年間投資枠を最大限に活用する
360万円の年間投資枠を無駄にせず、計画的に埋めることを目指します。
これらの基準に従い、旧NISAや特定口座、さらに新規投資資金をどの順番で活用すべきかが明確になります。具体的な優先順位について説明します。
優先順位1: 年末満期の旧NISAのロールオーバー (00:15:00)
旧NISAで非課税運用されていた資産が満期を迎えると、特定口座に払い出され課税対象となります。この場合、非課税のメリットを失うため、まず最優先でロールオーバーを行うべきです。
ロールオーバーの重要性
ロールオーバーとは、旧NISAで保有していた資産を売却し、新NISAの枠内で再度購入することで非課税のまま引き継ぐことを指します。これにより、投資商品の成長分を含む全額が引き続き非課税で運用可能になります。2024年末に満期を迎える旧NISAの資産は、特に注意が必要です。
例えば、2020年に一般NISAで運用を始めた資産は2024年末で非課税期間が終了します。
この資産をそのまま放置すると特定口座に移管され課税対象となりますが、年内にロールオーバーを行えば新NISAで非課税運用を続けることができます。
ロールオーバーは、非課税期間の延長だけでなく、投資資産の成長をそのまま非課税で享受できる大きなメリットがあります。これを最優先に行うことで、資産を効率的に運用できます。
優先順位2: 新規投資資金(一括・積立) (00:18:14)
新規投資資金とは今持っている現金のことです。この資金がある場合は一括投資・積立投資問わず2番目に優先して下さい。新規の投資資金を空いている非課税枠に投入することで全体の運用資金の総額を増やし、運用効率を高めます。
新規投資資金を活用する理由
- 非課税枠の確保
課税対象の投資では、利益に対して20.315%の税金がかかります。しかし、新NISAの非課税枠を使えば、これを回避でき、手元に残る利益が増えます。 - 早期運用のメリット
1月1日から新しい非課税枠が利用可能になるため、早いタイミングで投資を開始することで、時間を味方につけた複利効果を最大化できます。 - 運用資産の拡大
投資資金を新NISA枠で早期に運用することで、資産全体の成長を加速させ、長期的なリターンを高められます。
優先順位3: 特定口座の投資資金の移管 (00:20:22)
次に考えるべきは、特定口座で運用中の資金を新NISAの非課税枠に移管することです。特定口座は配当や売却益が課税対象となるため、非課税枠に移すことで税金を節約できます。
特定口座資金を移管する理由
- 課税の回避
特定口座では、運用益に対して20.315%の税金が課されます。新NISAに移管することで、これを非課税に変更できます。 - 長期的な非課税運用
新NISAの非課税期間は無期限であり、長期的な運用に最適です。特定口座の資金を移すことで、より長い期間の非課税運用が可能となります。
移管の手続き方法
- 資産の売却
特定口座で運用中の資産を売却し、現金化します。この際、売却益に課税される点に注意が必要です。 - 新NISA枠での再投資
売却した現金を新NISAの非課税枠で再投資します。積立投資枠、成長投資枠のどちらを使うかは、投資戦略に応じて選択します。
注意点
特定口座の資産を売却する際、課税される利益が大きい場合には、移管によるメリットを計算してから判断することが重要です。また、商品選択の際には、分散投資を意識してリスクを最小限に抑えましょう。
優先順位4: 新NISAの総枠の開放 (00:21:29)
総枠の開放とは、既存の投資商品の簿価を見直し、損失が出ている場合に売却と再購入を行うことで新たな非課税枠を作り出す方法です。このプロセスは特に損失を抱えている資産に有効です。
総枠開放のメリット
非課税枠を再利用可能に
購入時の価格(簿価)よりも低い価格で売却し、再購入することで、差額分の非課税枠を解放できます。
具体的な例
- 購入価格が100万円の商品が現在80万円になっている場合、この80万円で売却して同じ商品を再購入します。
- 簿価が80万円に更新されるため、20万円分の非課税枠が新たに利用可能となります。
注意点
非課税枠を解放する際、対象となる商品は損失が出ているものに限ります。また、商品を再購入する際には、価格の変動リスクがあるため、タイミングに注意してください。
優先順位5: 来年以降に満期になる旧NISAのロールオーバー(00:25:41)
最後に、翌年以降に満期を迎える旧NISA資産のロールオーバーを行います。満期を迎える前に早めの計画を立てることで、より効率的な資産運用が可能になります。
ロールオーバーを早めに行う理由
- 価格が低い時点でのロールオーバー
資産価値が増える前にロールオーバーを行えば、非課税枠を節約できます。 - 投資効率の最大化
満期後の特定口座移管を避けることで、非課税の恩恵を継続して受けられます。
具体的なステップ
- 満期を迎える旧NISA資産を特定し、運用状況を確認します。
- ロールオーバーを行う資産を決定し、早めに証券会社へ手続きを依頼します。
注意点
ロールオーバーに際して、他の非課税枠の残りを確認し、枠を効率よく埋める計画を立てましょう。
まとめと注意点 (00:29:56)
新NISAを活用する際には、以下の5つの優先順位を守ることが重要です。
- 年末満期の旧NISA資産のロールオーバー
- 新規投資資金(一括・積立)
- 特定口座の投資資金の移管
- 新NISAの総枠の開放
- 来年以降に満期になる旧NISAのロールオーバー
この手順を実践することで、非課税メリットを最大限に享受しながら、長期的に資産を効率よく増やすことが可能です。読者の皆さんも、早速自身の投資計画を見直し、新NISAをフル活用する準備を進めてみてください。
旧NISAのロールオーバーについてはこちらの動画を参考にしてください。
ロールオーバーできない旧NISAはどうしたらいい?つみたてNISA、ジュニアNISAもあわせて解説【2024年版】【きになるマネーセンス798】