金利が上がると損するって本当?債券・株価との複雑な関係を解き明かす


一般的に、金利が上昇すると既発債(既に発行されて市場に出回っている債券)の価格を下落させると考えられがちです。しかし、実際の経済を見ると既発債の価格が上昇する場合もあります。

金利上昇が債券と株式にどのような影響を与えるかについて詳しく説明しています。債券投資について理解を深めて、安全で安心な投資を継続できる知識を身につけていきましょう。

質問内容

一般的に金利が上がると既発債は下落しますよね。そして、金利上昇によって企業も融資などを減らし、業績は伸びずに成長は鈍化する認識です。ということは、株式も債券も下げ幅は違えど、同じく伸び悩むということになるのでしょうか?

キーポイント

金利上昇と既発債価格の関係(00:03:19)

一般的には金利上昇は既発債の価格を下落させると考えられがちですが、実際にはロールダウン効果により、既発債の価格が上昇する場合があります。

ロールダウン効果とは、時間の経過とともに残存期間が短くなり、より低い金利の債券と比較されるため、価格が上昇する効果のことです。

ロールダウン効果の説明
出典:PIMCO

金利が緩やかに上昇する場合、このロールダウン効果が働き、既発債の価格が上昇することもあり得ます。

金利上昇が企業業績と株価に与える影響(00:07:20)

基本的に金利上昇が起こる状況はインフレを鈍化させたい場合です。インフレが加熱することを防ぐために金利を上げ、企業の融資を減らし、業績の伸びを鈍化させます。

ただし、必ずしも株価が下がるわけではありません。金利が上がり業績は伸び悩んでいる場合でも、株価が上昇することがあるのです。企業が借入金で設備投資をし、利益を上げられれば、金利上昇に関わらず株価は上がる可能性があります。

このように株価の動きは金利だけでなく、景気動向や企業業績、需要動向などさまざまな要因に左右されます。

金利と債券価格、株価の関係の複雑さ(00:13:58)

金利が上昇すれば債券価格は下落し、株価も下がるという単純な関係ではありません。時間の経過が重要であり、金利は景気の後追いで動くため、株価が先に上昇し、その後金利が上昇するケースがあります。

金利上昇局面では債券運用が難しくなりますが、金利が高止まりすれば新規投資が減り株価が下がることも考えられます。

一方、金利が下がれば債券価格は上昇し、株価も景気回復期待から上昇する可能性があります。金利、債券価格、株価の関係は一様ではなく、時間経過や景気動向などの要因によって異なる動きをします。

まとめ

金利上昇が債券や株式に与える影響は単純に考えられるものではありません。さまざま要因が複雑に絡み合っています。

したがって、金利上昇=債券価格下落、株価下落と短絡的に考えるのではなく、市場環境や個々の企業の状況などを総合的に判断することが重要です。

動画では、金利と債券価格、株価の関係についてさらに詳しく解説されています。市場の状況を理解し、適切な投資判断を行うためのヒントが盛り込まれていますので、ぜひ参考にしてください。