50代からの老後資金戦略シミュレーション【夫婦二人世帯編】

50代からの老後資金戦略をシミュレーションします。

50歳時点で初期資金ゼロの状態でも、投資の力を借りれば老後資金を準備することが可能なのか気になるのではないでしょうか。

今回は50歳から始める場合と55歳から始める場合それぞれの貯蓄率、リタイア年齢、初期資金額などのパラメータを変更しながら、シミュレーションしていきます。

キーポイント

シミュレーションの前提条件(00:01:28)

まず、今回のシミュレーションの前提条件は下記の通りです。

● 家族構成:夫婦2人
● 年齢:50歳
● 退職年齢:60歳(退職金をもらう)
● リタイア年齢:65歳(継続雇用で5年間働く)
● 貯蓄率:手取り収入25%
● 期首の資産額:なし
● 退職後(60歳以降)の運用継続:可能
● 現役時の手取り収入:27万円(ボーナス別)
● 配偶者の収入:年間120万円(扶養内)
● リタイア前の生活費:26万5,000円
● リタイア後の最低生活費:21万2,000円(26万5,000円から1年に2%ずつ減価)
● 運用利回り:5%
● 運用上限年齢:75歳
● 所得代替率:37%

前提条件の補足(00:06:20)

生活費の目安

夫婦2人の場合、手取り収入が35万円ほどあれば生活費約26万円、貯蓄・投資に約9万円となり、平均的な生活ができます。

令和4年(2022年)の家計調査によると、65歳以上の夫婦2人無職世帯の平均支出は23万6,000円です。夫婦2人の社会保険給付22万円から税金や社会保険料が引かれて手取りは19万円程度になります。足りない分は老後資金から取り崩します。

生活費の目安は下記動画の「生活レベル一覧表」を参考にしてください。

リタイア後の生活費

年齢が上がるにつれて活動量が減るため、徐々に生活費が減っていくことが統計データから明らかになっています。大体年齢が1歳上がるごとに生活費が2%減るのでそのように計算しています。

しかし、ずっと下がり続けることはなく、最低限の生活というものがありますので一番下がった金額を21万2,000円と設定しました。

投資の利回り

投資の運用利回りは年利回り5%で固定とします。

これはマネーセンスカレッジが投資教育を始めてから20年間運用し続けた結果から導き出した数字です。長期間安定した投資をしようと考えた場合、これ以上の利回りを出すことは難しいでしょう。

年利回り5%でも積立投資を継続すれば20年で約4倍に増えています。よく投資期間が短いからと焦って株式一辺倒や高レバレッジ商品などハイリスクハイリターンな投資でシミュレーションしようとする人がいるのですが、そのような投資はリーマンショックなどの金融危機があった場合に大きな値下げとなって目も当てられない状態になります。

皆さんには絶対にそうなって欲しくないので利回り5%でシミュレーションします。

運用上限年齢

運用は75歳までで終了し、全て現金化すると仮定します。

75歳以降、認知症を発症率が高くなっていくからです。実際に75歳になった時に認知機能に問題が無いようであれば運用を継続されたらよろしいと思います。

所得代替率

所得代替率とは年金はいくらもらえるかを計算する時に使う数字です。令和6年(2024年)年金財政検証で発表された所得代替率から考えると、マネーセンスカレッジでは最低ラインで37%と考えています。

実際に年金をもらう年齢になったときに経済状況が今より良くなり、37%以上もらえたらラッキーですが、将来のことはわかりませんのでワーストケースでシミュレーションします。

50歳から資産形成を始める場合(00:14:11)

50歳時点で世帯手取り収入が37万円(自分27万円、配偶者10万円)ある仮定します。貯蓄額25%で考えると、月々9万2,500円の投資となります。年間にすると111万円です。

60歳で定年を迎えた後の継続雇用の期間中は、現役世代の60%程度の給料になることが多いです。配偶者が変わらずパートを続けてくれるとすると、世帯手取り収入は「26万2,000円」(27万円×60%=16万2,000円+10万円)となります。

この継続雇用の期間中も年間111万円の積立投資は続けることにします。月々の収入は生活費に消えてしまいますので、退職金やボーナスで補充です。

65歳になった時点でリタイアし、年金受給と老後資金の取り崩しがスタート。統計データによる平均的な年金受給額は2号被保険者と3号被保険者の夫婦2人で合計22万円です。

22万円から税金と社会保険料が天引きされますので、手取り金額は約17万6,000円となります。しかし、これは現在の受給金額です。所得代替率37%で計算し直すと65歳以降の手取り金額は約13万2,000円になります。

年金の手取り金額が13万2,000円だとすると、資産からの取り崩し金額は年間150万円ほどになります。75歳まで運用を継続しますし、だんだん生活費が下がって取り崩し金額は減ります。100歳まで生きたとしても資産は300万円残っている計算になります。

ここまでの毎月の世帯収入、年間投資額、資産からの取り崩し金額を一度整理してみましょう。

  • 50歳〜60歳
    • 世帯手取り収入:37万円
    • 年間投資額:11万円(毎月9万2,500円)
  • 60歳〜65歳
    • 世帯手取り収入:26万2,000円
      (27万円×60%=16万2,000円+10万円)
    • 年間投資額:11万円(毎月9万2,500円)
  • 65歳〜
    • 世帯手取り収入:13万2,000円
    • 資産からの取崩金額:年間150万円(毎月12万5,000円)

50歳時点で老後資金が全く無い場合でも、収入の25%を積立投資していけば老後の生活が破綻せずに100歳まで生きることができることがわかりました。

ただし、この25%には車の買い替えなどの予算は含まれていません。必要であるならばプラスして貯蓄しなければなりません。

退職金がなく60歳以降の運用が不可能な場合は、次の3つの解決策があります。

①貯蓄率を30%に引き上げる

②リタイア年齢を70歳に引き上げる

③初期投資額を350万円以上にする

このうちの2つを実行すれば、100歳まで毎月26万5,000円での生活を維持することも可能になります。

55歳から資産形成を始める場合(00:38:41)

55歳からスタートする場合は、50歳から始める場合と比べて1,500万円の差があることになるので条件も厳しくなってしまいます。

まず、リタイア年齢までの貯蓄率は30%必要です。さらにリタイア年齢を70歳に引き上げる、もしくは初期投資資金として350万円を用意できればなんとか100歳までの生活費を確保できます。

貯蓄率を30%以上にあげるということは、今の生活費を26万5,000円より大幅に減らさなければならないので難しいと思います。55歳からの資産形成でも不可能ではないですが、やはり投資というのはできるだけ早くから始めて欲しいですね。

最後に夢のある話をしたいと思います。もしも55歳時点で1,000万円以上の初期投資資金があり、65歳まで貯蓄率30%で積立投資が継続できるとすると100歳まで26万5,000円の生活費を継続できる計算になります。

90歳時点で1,800万円の資産がありますので、少し生活費を減らせばいくらか遺産を残すことも十できますね。

まとめ(00:48:46)

投資の力を借りれば、50代からでも老後資金を作ることは十分に可能です。

貯蓄年齢が遅くなった場合は、貯蓄率の引き上げ、リタイア年齢の引き上げ、初期投資資金の増額などの対策をすることで老後資金を確保できます。

50代からでも遅くはありません。まずは毎月の生活費や投資資金を明確にするために、ご自身のファイナンシャルプランを考えてみましょう!