自転車乗るなら必ず加入!自転車保険の必要性と選び方の3つのポイント
厳罰化の影響もあり自動車の交通事故は年々減少してきていますが、逆に自転車での交通事故の件数が増加しています。
自転車だからと甘く見て自転車保険は必要ないと考えている人もいますが、たとえ自転車でも事故を起こせば損害賠償で家計を破綻させかねません。
本記事では自転車保険の必要性と自転車保険選びのポイントについて解説していきます。
自転車保険の加入義務化の動きが全国的に広がっている
自転車事故が増加している背景もあり、条例などで自転車利用者に対して自転車保険の加入を義務化する都道府県が増加しています。
国土交通省のデータによると、令和5年4月時点で自転車保険の加入義務を制定しているのは33都府県、努力義務が10道県になっています。
おそらく加入義務化の流れは今後も進行し、全国で加入が義務化される可能性も非常に高くなるでしょう。
自転車だからと甘く見てはいけません。
怪我でも数百万円の損害賠償が発生することもザラにありますし、中には数千万円レベルになる賠償になるケースもたくさん存在します。子どもが高齢の女性と衝突し植物状態になってしまったという事故の裁判では、子どもに支払い能力がないため親に約9,500万円もの損害賠償が発生したという事例もあります。
自動車でも自転車でも同じです。もし自身や家族が加害者になってしまった場合に1回で人生が破綻する危険性があるため、自動車保険は必ず入るようにしましょう。
自転車保険を選ぶ際に重要な3のポイント
本記事では「自転車保険」と呼称していますが、内容自体は「個人賠償責任保険」と同様(保険会社により名称が異なる)のため、自転車の損害保険を探す時は上記いずれかの名の付く保険(もしくは近い名称の保険)を確認し、加入すれば問題ありません。
内容については保険会社によって差異があるため、以下の3つのポイントを押さえて自分に最適な会社を選びましょう。
- 被保険者の対象範囲
- 保険金額の上限
- 示談交渉サービスの有無
被保険者の対象範囲は「家族」を選ぼう
自転車保険の対象範囲は基本的には「家族」を選びましょう。
家族の範囲は本人と配偶者、そして子どもが対象となるのが一般的ですが、場合によっては同居の家族が対象になるなど保険会社で細かな差異が見られます。
そのため、必ず契約内容を確認するようにしてください。
保険金額の上限は「無制限」が望ましい
先に紹介した裁判例でもわかるように、高齢女性との自動車事故で1億円近い賠償が発生しています。
賠償金は被害者の職業や年齢を考慮されるため、もし被害者の方が若かったり、医師だったりした場合は3億円くらいの賠償金も考えられます。
上記を踏まえると自動車保険と同様に金額上限が無制限であるものを最優先に選びたいです。
ただ後述しますが補償が無制限の自転車保険は数が少ないため、他の保険を選んだとしても可能であれば3億円、最低でも1億円の補償がある保険を選びましょう。
保険によっては補償の上限が3,000~5,000万円程度のものもあるのですが、この金額は裁判例では安い金額なので足りなくなる可能性が高いためおすすめできません。
示談交渉サービスは必要不可欠
示談交渉サービスは不要だと思っている方も少なくないですが、示談交渉サービスは絶対につけるべきです。
自分が事故を起こした場合を想像してみましょう。相手に怪我をさせてしまっただけならまだしも、相手を殺めてしまった場合はどうでしょうか。
この時点であなたはほぼ間違いなくまともな精神状態ではなくなっています。示談交渉サービスがない場合、たとえこんな状況でも自分で交渉をすすめるしかありません。
方法としては自分で弁護士を雇って示談交渉を進めてもらうか、自分で遺族のもとに向かって示談交渉を進めるかですが、ほぼ間違いなく自力でやるのは無理なので必ず示談交渉サービスは付けましょう。
これは言い換えると、自転車保険の中には示談交渉サービスが付いていないものがあるということです。
今から自転車保険に入るなら必ず確認して示談交渉サービスが付いている保険に加入し、すでに示談交渉サービスのない保険に入ってしまっているのであればある保険に変えましょう。
自転車保険の加入方法は4つのルートから自分に合う方法を選ぶ
実は自転車保険の加入方法は少し特殊で、自転車保険(=個人賠償責任保険)は単体で加入できません。
そのため、自転車保険はなにかの保険に特約として加入するという方法を取る必要があります。
入り方としては大きく4つのルートがあります。
1.自動車保険に特約として付ける
この場合は名称は基本的に個人賠償責任保険特約となっていることが多いです(保険により独自のネーミングが付いている場合があります)。
自動車保険の特約で加入する点の良いところは完全に示談交渉サービスが付いている点と、保険金額の上限が無制限である保険が多い点です。
実は保険金額の上限が無制限の保険はかなり数が少なく、そのほぼすべてが自動車保険特約での保険にあります。
個人賠償責任保険特約は自動付帯ではありません。
自動車を持っているのであれば、ほぼ必ず自動車保険に加入しているはずなので、保険会社に連絡して個人賠償責任保険特約に加入しましょう。
もし自動車保険に入っていないのであれば特約をつけた上で絶対に加入してください。なぜ自動車保険に加入すべきかは「車を持つなら自動車保険(任意保険)に加入すべき理由と必要な保険・特約」に詳しく解説していますのでチェックしてくださいね。
2.火災保険の特約で加入する
自動車に関しては特に車が必要となる地方に住んでいる方は持っている人も多いでしょうが、交通網が発達している都会だと自動車を持っていない人も多いです。
その場合は火災保険の特約で入るというルートを検討しましょう。
マンションや一軒家を持っている方は火災保険に加入していますし、賃貸の方も家財保険には加入しているはずですね。
だいたい物件の引き渡し時などに合わせて契約していると思いますが、火災・家財保険は様々なサービスや特約が合わさってパッケージになっているものに契約しているパターンも多いため、自然と個人賠償責任特約に入っている場合もあります。
そのため、まずは加入している保険の内容を確認してみましょう。
確認の際に1点気をつけてほしいのが、示談交渉サービスがついているかどうかを忘れずにチェックすること。
実は火災・家財保険の個人賠償責任特約には示談交渉サービスがついていない場合が多いのです。特約には入っていたけど示談交渉サービスはなかった、というパターンも十分ありえますので忘れずに確認しましょう。
3.クレジットカードの付帯保険で加入する
クレジットカードにはカードに付けられる付帯保険というものがあり、自動で付いてくる保険もあれば任意でつけられる保険もあります。
個人賠償責任保険もクレジットカードに付けることが可能ですが、自動付帯の保険ではないため加入する場合はカード会社に確認してみましょう。
4.傷害保険に特約として付帯し加入する
今まで紹介した3つの加入方法がいずれも難しい場合は最後の手段として傷害保険に特約として付帯し加入する方法があります。
前述したように自転車保険(個人賠償責任保険)は単独で加入できないため、傷害保険を最小の補償内容に設定して特約に個人賠償責任特約をつけて加入します。
余計な保険に入ることになるので4つの加入方法の中では保険料が1番高くなってしまいますが、その中でも安く抑えるのであれば上記の方法がおすすめ。
最近ではコンビニで自転車保険にも加入できるようになりましたが、こちらも厳密にいえば「自転車向け傷害保険」なので実質同じような方法です。
以上の4つが自転車保険の加入方法です。自動車保険での加入がおすすめですが、自分の状況に合わせて入りやすい方法を選びましょう。
通勤で自転車を使用する場合は確認事項あり
個人賠償責任特約は基本的に日常生活用で、約款の中にも「業務遂行に直接起因する場合はお支払いの対象になりません」という旨の内容が盛り込まれています。
そのため、自転車での配達など業務中に発生した自転車事故に関しては対象外となってしまうのです。
ここで気になるのが、通勤で自転車を使用する場合ですね。
最近は自転車で通勤する方も増えてきているため、自転車で通勤する方は「通勤は業務中になるのかどうか」が最大の懸念点となります。
結論から言えば、通勤中の自転車事故は自分の所持している自転車の場合は保険が適用されます。
ただし、会社貸与やシェアサイクルなど自分が所有していない自転車での通勤中の事故は対象に入らない場合もあるため、条件に当てはまる場合は要確認。
そもそも通勤時の自転車事故についての対応については約款を見てもわかりにくい表現になっていることが非常に多い(明言されていないこともある)ため、仕事で自転車を使用するシーンがある場合は念の為事前に確認しておいたほうが安心でしょう。
おすすめの自転車保険
前項で解説した自転車保険のポイントを踏まえた上でおすすめの保険を紹介します。
自動車保険での加入がマスト!おすすめは4つ
自動車保険の特約として付ける自転車保険は家族が対象・保険金額無制限・示談交渉サービスありが比較的安価で実現できる保険がいくつかあります。
他の加入方法でこの条件を満たせる自転車保険は現状ほぼ皆無ですので自動車をお持ちの方はマストの選択肢です。
自動車保険で保険金額無制限・示談交渉サービス付き・家族全員対象が可能な保険は以下の4つ。
- セゾン自動車火災保険「おとなの自動車保険」
- 損保ジャパン日本興和「THEクルマの保険」
- 三井住友海上「GKクルマの保険」
- 東京海上日動「トータルアシスト自動車保険」
保険により誤差はありますが、年間2,000円前後で加入することが可能です。保険により示談交渉サービスが適用されない例や補償の対象から外れる例が異なるため、必ず確認するようにしましょう。
クレジットカードで加入するならおすすめは三井住友VISA「ポケット保険」
クレジットカードであればおそらくほとんどの人が持っている三井住友VISAもしくはJCBのカードで加入すれば問題ありません。
その中でもおすすめは三井住友VISAの「ポケット保険」です。
保険上限が3億円で示談交渉サービスも付けることが可能。JCBの保険だと保険上限が1億円なのでもし両方のカードを持っているのであればVISAで保険に加入しましょう。
楽天カードやイオンカード、エポスカードなど他のカードでも加入することは可能ですが保険料が高いので次点の候補として考えましょう。カードによっては示談交渉サービスがないものもあるので注意です。
手軽さならコンビニで加入できる自転車保険
上記以外の方法でおすすめなのはコンビニでの自転車保険加入です。
どのコンビニも示談交渉サービスや家族の範囲設定もありますが、入るなら保険上限が唯一無制限であるローソンの自転車保険がおすすめ。
セブンやファミリーマートも保険上限は3億円と十分の設定なので利便性で選ぶのもありです。
ただし、コンビニ自転車保険は保険料が年間で4,000円前後と他と比較して金額が高めになりますので、そのデメリットを考慮してどうするか考えましょう。
自転車でも油断禁物!しっかり保険で備えよう
これからもっと自転車保険の重要性が高まっていくため、今後も新しい自転車保険が出てくるかもしれません。
そんな時も今回解説したポイントを押さえて比較すれば自分に最適な自転車保険を選ぶことができます。
万が一事故を起こしてしまっても家計を守れるように万全の補償を準備しておきましょう。
今回の自転車保険の内容は、現在販売中のブックレット「人生は4分割でうまくいく 家計管理編」でも解説しています。興味がある方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。