分配金なし投資信託の配当金の再投資タイミングはいつ?基準価額の正体を知れば積立はもっと加速する 

今回は素朴な疑問についてお答えしていきます。分配金なしの投資信託の中身が株式に投資されている場合、本来であれば配当金が入ってくるはずです。これがいつ、どのように反映されるのかという疑問についてです。

この内容は過去にも回答したことがあり、かなり再生された話題でもあります。投資信託の仕組みの基本でありながら、意外と知られていない部分でもあるので、まずは知識をブラッシュアップしていただきたいという思いで、過去に回答した動画を改めて一緒に見ていきたいと思います。

過去動画より(1:03)

20代の方からのご質問で、分配金の出ない投資信託はファンド内で配当を再投資していると思うが、それが反映されるタイミングがわからない、決算日を迎えても口数が増えるわけでも基準価額が特別に上がるわけでもない、という内容でした。

この疑問を解くには、まず投資信託の基準価額がどのように算出されているかを理解する必要があります。投資信託協会のホームページの説明によると、基準価額とは投資信託の口数あたりの金額のことで、1口1円で運用が開始された投資信託は、1万口あたりの基準価額を公表しています。多くのファンドは設定当初、基準価額を1万円として始まり、そこから金額が増減していきます。

この基準価額は、投資家の資産にあたる純資産総額を、発行されている口数で割ることで算出されます。ファンドの中にあるお金全体を口数で割ったもの、と考えるとわかりやすいと思います。そしてこの純資産総額は毎日計算され、基準価額も1日に1つ必ず公表されます

株式市場では日々刻々と株価が変動しますが、これをリアルタイムで計算するのは現実的ではありません。そのため投資信託ではブラインド方式が採用されており、その日の基準価額は翌日にならないとわからない仕組みになっています。これは計算のタイムラグという理由に加えて、価格が事前にわかってしまうと投資信託を保有している人と売買しようとする人との間で利益相反が生じてしまうためでもあります。

ここまでの説明で分かるように、純資産総額を口数で割ったものが基準価額であり、これは毎日更新されます。つまり、分配金の出ない投資信託の配当がいつ反映されるかといえば、配当が発生したその日ということになります。決算日に反映されるわけでも、口数が増えるわけでもありません。配当が出されていない以上、口数は増えず、基準価額に日々織り込まれていく形になります。

最後に用語についても触れておきます。「基準価格」という表現がよく使われますが、正しくは「基準価額」です。投資信託協会の資料でも「基準価額」と表記されています。「価格」は英語で言うプライス、単に「1個いくら」という意味合いですが、「価額」はバリュー、つまり評価額を意味します。ファンドの中には複数の株式が組み込まれており、手数料なども差し引かれた上で一口あたりの評価額として算出されるため、「価額」という表記が正しいということになります。

試験に出るようなことではありませんが、こうした細かい違いも知っておいていただければと思います。

ファンド内で受けた配当の税制について(6:55)

今回、この動画にたくさんのご質問をいただきました。中でも特に多かったのが、ファンド内で受けた配当の税制についてです。配当金には税金がかからないのか、ファンド運用会社が投資先から100円の配当を受け取る際に20%源泉徴収されて80円がファンド内で再投資され、それを受け取る際にさらに20%課税されるいわゆる二重課税になっているのではないか、というご質問でした。

これはウェブで調べてもなかなか出てこない内容だと思います。まず配当が発生した日にどのような税務処理がされているのか、そしてその後どうなるのかという順番でお話ししていきます。ここではインデックスファンドを前提にお話しします。

日本株式に投資するインデックスファンド、例えば日経平均に連動するファンドの場合、ファンド内で株式が配当を出すとまず所得税が引かれます。税率は15.315%で、引かれた残りの84.685%が配当金としてファンド内の純資産に加算されます。ここで地方税にあたる5%は引かれません所得税には源泉徴収の規定がありますが、地方税については個人以外、つまり法人やファンドのような信託財産に対しては源泉徴収の義務が定められていないためです。

海外のファンドの場合は投資先の国の税制によりますが、代表例として米国株式について説明します。米国株式がファンド内で配当を出した場合、現地税として10%が源泉徴収され、残りの90%が配当金として加算される形になります。つまりこの時点ですでに税金は支払われているということになります。

日本株式ファンドの場合(9:22)

では、これが二重課税になるのかという点についてです。日本株式ファンドの場合、引かれた所得税15.315%は決算時にファンド内へ還付される形になります。正確には現金が戻ってくるというより、会計上の処理として所得税額控除という仕組みが使われ、ファンド内に全額が加算計上されます。これによって基準価額に影響が及ぶ場合は、決算のタイミングで純資産総額に反映され、その分だけ基準価額がプラスに動くことになります

外国株式ファンドの場合(10:14)

米国株式の場合は状況が異なります。海外で源泉徴収された税額については、それを国内で還付するタイミングがなく、取られたままになってしまいます。ただし2020年以降、分配金のある米国株式ファンドについては制度が変わりました。

例えば100円の配当があった場合、現地で10%が源泉徴収され、90円がファンド内に残ります。この90円が分配金の原資となり、分配金が支払われる際に日本国内で個人であれば20.315%が課税されます。本来、個人が米国株式を直接保有していれば外国税額控除が使えますが、ファンドを通じて受け取っている場合はこの控除が使えず、結果として二重課税になってしまうという問題がありました。

そこで2020年1月1日から、ファンド内で二重課税を調整する制度が導入されましたこれにより分配金を受け取る際の税負担が軽減されるようになっています。まだ6年ほど前に始まったばかりの比較的新しい制度です。なお、NISAの場合は分配金があっても非課税であるため、外国税額控除の仕組み自体が発生せず、現地で徴収された10%は取られたままになります。

まとめると、日本株式ファンドは決算時に所得税額控除によってファンド内の資産に直接還付される形になるため、基準価額がその分押し上げられ、二重課税にもなりません。地方税については源泉徴収されません。外国株式ファンドで分配金があるタイプは、分配金が出るタイミングで二重課税の調整が行われ、外国税額控除を受けたのと同様の処理がなされた上で分配金を受け取ることができます。自分で確定申告などの手続きをする必要がないため便利な仕組みです。

一方で、分配金がなくファンド内で再投資される場合や、そもそも国内で分配金に対する課税が発生しないケースでは、調整の元となる税金自体がないため調整機能が働きません。そのため外国税額控除も使えず、米国現地で徴収された10%は還付されないまま基準価額が押し下げられた状態になります。これはファンド内だから税金がかからないはずだと勘違いされがちな部分ですが、実際にはこうした仕組みになっています。

なお、ファンド内での株式売買については源泉徴収の対象ではなく、投資家自身がファンドを売却した際に特定口座や確定申告を通じて課税される形になるため、ファンド内での売買時点では課税されていません。総じて、税の繰り延べ効果はあり、特に国内株式については税制上有利であるといえます。

ファンド内で受けた配当が再投資されるタイミング(14:34)

続いて、ファンド内で受けた配当が実際にいつ再投資されているのか、そしてそれを示すデータがあるのかというご質問です。運用会社に取られていても分からないのではと疑ってしまう、というご意見もありました。

結論から言うと、配当はまずファンド内の現金として積み上がります。配当が発生したからといって、その金額に合わせてすぐに構成銘柄をその日のうちに買い増すわけではありません。ファンドは解約に備えて一定の現金を保有しておく必要がありますし、新規の資金流入への対応、指数の構成銘柄の入れ替えや浮動株調整、日経平均であれば修正平均による比率変動への対応など、さまざまな要因を踏まえて運用されています。これらをその都度細かく売買していては効率が悪いため、先物なども活用しながら調整が行われています。

つまり、配当が入った金額をそのまま同じ比率で買い付けているわけではなく、そこには運用会社のノウハウが反映されています

具体的には、前日の現金残高に資金流入と配当金を加え、そこから解約に伴う支払いを差し引いたものが当日の現金残高になります。この現金残高が大きくなりすぎると、投資されていない資金が増えることになり、インデックスからの乖離、いわゆるトラッキングエラーにつながります。現金のまま置かれている資金は市場の上昇についていけないため、運用成績がインデックスを下回る要因になってしまいます。

このトラッキングエラーがどの程度発生しているかは決算時の運用報告書を見ることで確認できます。1年間でどの程度乖離があったのかを見ることで、効率的に運用されているかどうかを判断することができます。つまり再投資のタイミングやその方法が適切だったかどうかは最終的な運用成績、つまり決算のタイミングで確認できるということになります。運用会社が配当を着服しているようなことがあれば、トラッキングエラーが継続的に拡大していくはずですので、そうした心配は基本的に不要だと考えられます。

ファンド内で配当を受けるとインデックスとの乖離が起きる?(18:20)

これも基本的でありながら重要なご質問です。配当がファンド内で再投資されると、参照しているインデックスの値動きから乖離していくのではないか、という内容でした。

インデックスには、配当を織り込んだものと配当落ちを反映したもの、つまり配当が出た分だけ株価が下がった状態をそのまま反映するものの2種類があります。代表的な例として、日経平均株価の構成銘柄のいずれかが配当を出した場合、株価は基本的に配当分だけ下落します。日経平均株価はそのまま平均を取る指数のため、配当の再投資を行っておらず、その分だけ下落の影響を受けます。

一方でファンド側は配当をファンド内で再投資しているため、次第に日経平均株価そのものとは連動しなくなり、ファンドの基準価額の方が上回っていく形になります。この差を埋めるために、配当を含んだ新しい指数が作られています。日経平均の場合は日経平均トータルリターンインデックスがこれにあたり、日経平均に日経配当指数を加算したものとして設計されています。

実際に、日興アセットマネジメントで販売されているファンドには、日経225インデックスファンドと日経平均インデックスファンドという似た名前のファンドがあり、前者は日経平均株価に連動し、後者は配当込みの日経平均トータルリターンインデックスに連動するファンドとして作られていました。しかし2023年7月から、両方とも日経平均トータルリターンインデックスに連動するよう変更されています。

名前が似ているために紛らわしいファンドでしたが、中身としてはきちんと配当が再投資される設計になっており、見た目の指数との差だけで判断すると誤解を招きやすい部分でもあります

積立投資との関係(21:59)

もう一つ、以前から気になっていたというご質問です。配当が基準価額に反映されるのであれば、積立投資は損をしてしまうのではないか、という内容でした。一括投資であれば最初に購入した後は配当を含めた基準価額で評価されるだけで済みますが、積立投資の場合は追加投資のたびに配当込みの基準価額で購入することになるのではないか、という疑問です。

この点については、言葉を正確に使うのであれば「積立投資」ではなく「分割投資」と呼んだ方が近いかもしれません。積立投資は毎月の給料の一部などを使って、その時できる最大限の投資を継続的に行っているだけであり、確かに配当が出た後の基準価額で購入することにはなりますが、それ以外にどうしようもありません。高くなっていくと信じるのであれば購入を続ければよいですし、そう思わないのであれば購入しなければよいだけの話です。

一方で分割投資、つまりまとまった資金をあえて時間を分けて投資する場合は、少し話が異なります。最初に購入した分は配当を受け取れますが、時間を分散して購入する場合、確かに配当を取りっぱぐれてしまう部分はありますし、配当込みの基準価額で購入することにはなります。ただし時間分散を行う理由は、配当の取りっぱぐれを気にしているからではなく、価格変動リスクを抑えたいからです。

価格が高いタイミングでまとめて購入してしまうリスクを避けるために時間を分けているのであって、配当面での多少のマイナスがあったとしても、価格変動によるリスクの方がはるかに大きいため、そちらを優先して分散投資を行っているということになります。

こうした質問が出てくる背景には、最近の株式インデックスが右肩上がりの値動きを続けてきたことがあると考えられます。投資すれば必ず上がっていくものだと勘違いしてしまっている方も少なくないようです。

実際には過去に大きな暴落もありましたし、そこまで甘い世界ではありません。経済合理性の観点からは一括投資の方が有利だとされることもありますが、上がっているときほど高値掴みを怖いと感じる方もいらっしゃいますし、相場には波がある以上、暴落の可能性は常にあります。高値掴みや元本割れが怖いと感じる方は、迷わず時間分散を選ばれるのがよいと思います。

まとめ(25:01)

投資の基本原則としては、長期投資、資産分散、時間分散の3つが昔から言われています。積立投資自体はこの原則と切り離して考える必要はなく、その時にできる最大限の一括投資を継続的に行っているだけであり、結果として時間分散になり、価格変動リスクを抑えながら投資を続けられているということになります。

まとまった資金があれば一括投資の方が資金効率は高くなるかもしれませんが、そうした資金がないからこそ積立投資を行うのであり、それによって価格変動リスクの軽減にはつながっています。高値掴みや元本割れが怖いと感じる方は、迷わず分散投資を選んでいただければと思います。投資は継続することが何より大切だと考えています。

またこちらの動画「Q 分配金が無い投資信託の配当金が再投資されるタイミングはいつでしょうか?【複利運用されるタイミング】」では、分配金なし投信の配当が反映されるタイミングを解説しますのでぜひご覧ください。

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