50年住宅ローン急増中!もし組むなら「絶対に備えておくべき」5つのこと

50年住宅ローンが増加しているというニュースが話題になっています。

実際のところどうなのか、そしてもし50年ローンを組むのであれば気をつけておきたいポイントについて解説していきます。

住宅ローンの現状は?(0:42)

出典:住宅金融支援機構

住宅金融支援機構のデータを見ると、50年ローンの割合は確かに大きく伸びています。サンプル数はまだ少ないため断定はできないものの、変動金利や固定期間選択型、そして全期間固定のいずれのタイプにおいても、50年ローンを選ぶ人が増加傾向にあることがわかります。

特に変動金利型では2024年に57.5%という、半数を超える人が50年ローンを選択する結果になりました。2024年時点では40年ローンが50%程度を占めていたことを考えると、これは逆転現象といえます。全期間固定型で見ても、およそ3人に1人にあたる34%が50年を選んでいる状況です

年齢の統計は出ていませんが、銀行が設定する完済年齢の上限はおおむね80歳です。そこから逆算すると、50年ローンを組める最年長は30歳前後となり、実質的には20代のうちに購入している人が中心になっていると考えられます。裏を返せば、今の住宅価格があまりに高騰しているため、50年という長期のローンを組まなければ購入できないという状況に追い込まれているということでもあります。

振り返ってみると、住宅ローンはかつて10年や、そもそもローンを組まずに購入するケースも珍しくありませんでした。それが15年、25年と伸び、やがて35年が主流となり、今では50年という選択肢が現実的になっています。新築で家を購入する層の負担能力自体が下がってきていることの表れともいえるでしょう。日本でも一つの家を一世代限りで使い切るのではなく、二世代にわたって住み継ぐという発想が広がりつつあるのかもしれません。

①住宅ローンは「全期間固定金利」一択(3:28)

50年ローンを組んで実際に返済していくために、まず押さえておいてほしいポイントが五つあります。一つ目は、住宅ローンは全期間固定金利を選んでほしいということです。理由は単純で、変動金利では将来の支払い計画が立てられないからです。125%ルールや5年ルールといった、急激な返済額増加を抑える仕組みを備えた商品もありますが、それでも支払うべき総額そのものが減るわけではなく、むしろ将来的に増える可能性すらあります。変動金利でなければ借りられないという状況であれば、一度立ち止まって考え直すべきタイミングだと思います

この流れは、昭和から平成にかけて住宅ローン破産が増えた時期の状況とよく似ています。もちろん家は生活に欠かせないものであり、マイホームを持つこと自体は選択肢として十分にありです。ただ、将来の見通しが立たないまま家計を破綻させてしまうような借り方だけは避けてほしいと感じます。

固定金利は総支払額が変動金利より多くなりがちだという指摘はその通りです。ただ、10年前や20年前も同じように固定金利を勧めてきましたが、当時の変動金利は1%を切るような水準で、今よりもずっと安いものでした。今の変動金利はすでに1.5%程度まで上がっており、当時の水準を上回っています。今後の金利がどう動くかは誰にも読めませんし、ましてや50年という期間の金利変動を予測することは不可能です。だからこそ、その時々の情勢に振り回されて家計が破綻するリスクは、できる限り避けておくべきだと考えます。

払えなくなったら売ればいいという考え方もありますが、新築で購入した物件を売却した金額だけで残債をすべて完済できるようになるまでには、マンションでも戸建てでも20年程度はかかるとみられます。インフレが続けば多少その期間が前倒しになる可能性はありますが、それでも15年から20年ほどはかかると考えるのが現実的です。

しかもその時点で家を手放せば、また新たにグレードの落ちた住まいから始めることになります。売却はあくまで最終手段の選択肢の一つとして捉え、基本的には完済まで無理なく払い続けられるかどうかを軸に考えてほしいところです。

実際、住信SBIネット銀行の社長が個人としては固定金利一択だと発言したことも話題になりました。金融機関側が変動金利を商品として用意するのは仕事上当然としても、個人としてリスクを取り切れないのであれば固定金利を選ぶのが自然な判断だといえます。それでも統計上は固定金利を選ぶ人は少数派です。最終的には自分自身の判断になりますが、法律相談などの現場を見てきた経験からも、無理な借り方で行き詰まってしまう人が出ないことを願っています。

②家計の「25%」を死守する(7:48)

二つ目の準備は、手取り収入の25%以内に住居費を抑えることです。借りられる金額と返せる金額は別物だという点を強く意識してほしいと思います。銀行は年収の7倍から8倍程度まで貸してくれることが多いですが、それをそのまま借りてしまうと返済負担率は25%を軽く超えてしまいます。

QGSというターゲットシステムの考え方では、手取り収入の25%以内に固定費、つまり住居費と生命保険料を収めることを目安としています。マイホームを購入する世帯は子どもがいるケースが多く、必然的に死亡保障も必要になります。掛け捨てであれば大きな負担にはなりませんが、団体信用生命保険に加入していれば万一の際の住宅ローンは実質ゼロになるとはいえ、夫婦二人分の保険料でも月5000円から6000円程度はかかってくるでしょう。

これに加えて住宅ローンの支払い、マンションであれば修繕積立金や管理費、戸建てであれば駐車場や固定資産税なども発生します。これらすべてを含めて25%以内に収めるのは、実際にはかなり厳しい水準だといえます。

家計調査のデータを見ると、実際の返済負担率は16%程度に抑えられているケースが多いようです。これは裏を返せば、多くの人が返済負担率を抑えるために35年ではなく50年ローンという選択をしている可能性を示しています。35年ローンでは返済負担率が25%を超え、30%近くになってしまうケースもあるため、それを避けるために50年を選んでいるのだとすれば、毎月の支払いという観点では合理的な判断ともいえます。ただし総支払額という別の問題は残ることになります

③「退職金」を今すぐ調べる(10:06)

三つ目は、20代であっても今すぐ退職金の見込み額を調べておくことです。就業規則や賃金テーブルを確認すれば、将来の昇給なども踏まえたおおよその金額は計算できます。ところが、フィデリティ退職・投資教育研究所の調査によると、退職金を受け取る1年前になっても金額を把握していない人が83.8%にのぼるというデータがあります

20代で50年ローンを組むと、完済は80歳になります。しかし、今の20代が60代・70代になる頃、平均寿命が今よりそこまで伸びていないことを踏まえると、実際に働ける年齢はせいぜい75歳程度が現実的なラインになりそうです。早期に引退したいと考える人が多いことも合わせると、住宅ローンの返済期間が5年から10年ほど残った状態で定期収入がなくなってしまう可能性があります。

年金でカバーするという考え方もありますが、年金額自体が下落傾向にあることを踏まえると、本来は退職までにローンを完済しておきたいところです。その不足分を補う手段として退職金を当てにするケースは今も多いと思いますが、ここで気をつけたいのは、退職金という制度自体がなくなりつつある企業が増えている点です。

たとえば王子ホールディングスのように、退職一時金制度を廃止して基本給に上乗せする企業が出てきています。月々の手取りを増やすための工夫であり、確定拠出年金として引き出さなければ手取りが増える仕組みでもあるため、今後こうした流れは主流になっていくと考えられます。会社の制度が変わる可能性、転職の可能性なども含めて、柔軟に対応できる準備をしておく必要があります。

④リフォーム費用を見積もっておく(12:56)

四つ目は、リフォーム費用をあらかじめ見積もっておくことです。30歳で契約し80歳完済のプランで50年ローンを組んだ場合、60歳を迎える頃には築30年の家に住んでいることになります。今の建材や工法であれば当時ほど老朽化が進んでいない可能性はありますが、その間に地震や風水害など予期せぬ出来事に見舞われるケースは十分にあり得ます。

特に戸建ての場合、マンションのような大規模修繕積立金の仕組みがないため、自分でリフォーム費用を準備しておく必要があります。

マンションであれば強制的に積立が行われ、鉄筋コンクリート造は比較的長持ちするといわれていますが、それでも10年から15年ごとの大規模修繕は避けられません。戸建ての場合、サイディングのコーキングや屋根の劣化などは着実に進みますし、給排水管も経年劣化が進みます。キッチンや水回りの設備更新なども含めると、必要なリフォーム費用は数百万円から1000万円規模になることも珍しくありません。この金額を見越した貯蓄を計画しておくことが大切です。

⑤家の性能を調べる(15:13)

五つ目は、購入する家そのものの性能を調べておくことです。時間はそれほどかかりませんし、住宅の性能について解説している動画も数多く出回っているので、50年、100年もつ家とはどういうものかを事前に調べておくことをおすすめします。こだわればこだわるほど建築価格は上がっていきますが、その中でできる範囲でできるだけ性能の高い家を選ぶためには、施工会社に任せきりにせず自分自身でもチェックする姿勢が欠かせません

特に重要なのは屋根や壁などの構造部分です。ここは後から手直しが利きにくく、プロであっても見落とすことがあり、施工の粗さから雨漏りにつながるケースも見られます。雨漏りが起きれば家全体の耐久性に関わる問題に発展しかねません。最近ではガルバリウム鋼板を使った屋根も増えており耐久性は高い傾向にありますが、施工方法によっては長持ちしないこともあります。

軒のない設計なども後々のトラブルにつながりやすいポイントです。家づくりは知識が必要な分野であり、施工会社を信頼することは大切にしつつも、自己防衛のためにある程度の知識を身につけておくことが望ましいといえます。家は三軒建ててようやく満足のいく一軒にたどり着くとよくいわれるほど奥が深いものです。自分の親世代が建てた家で感じた不満なども参考にしながら、同じ失敗を繰り返さないよう性能面をしっかり調べることをおすすめします。

そもそもマイホームは必要?(17:58)

ここまで五つの準備を挙げてきましたが、正直かなりハードルが高いと感じた人も多いのではないでしょうか。全期間固定金利、手取りの25%以内、20代からの退職金確認、30年先を見据えたリフォーム費用、そして家の性能調査。どれも簡単なことではありません。だからこそ、そもそも今マイホームが本当に必要なのかを一度考えてみてほしいと思います。

人生における自由な選択肢を持っておくことは、それ自体に価値があります。20代のうちに無理をしてマイホームを購入する必要は必ずしもありません。家を買うこと自体を否定しているわけではなく、たとえば子どもを持たない選択をした夫婦がその時点でマイホームを購入するのであれば、それは十分に理にかなった判断です。要は、次善の策として賃貸を選ぶという発想があってもいいということです

50歳になった今でも、80歳完済で組めば30年ローンはまだ組めます。20年や30年という比較的短い期間であれば金利も抑えられますが、50年ローンは期間が長い分、金利も高くなる傾向があります。

実家は持ち家ですが、正直なところ性能面で満足できる出来だったとは思えません。冬は寒く、設計面でも今なら改善したいと思う点が多くあります。だからこそ、自分で家を建てるならこういう家にしたいという理想も持っています。

実際に住宅の建築方法についてもかなり調べてきましたが、調べれば調べるほど、今すぐ持ち家を持つ必要はないという結論に至っています。これは知識がないまま持ち家を否定しているわけではなく、しっかり調べた上での判断です。もちろんそれでも購入したいという人を止めるつもりはまったくありません。あくまでリスクの取り方の違いだと捉えています。

50年ローンは非常に長い期間にわたる契約です。その間には人生の状況も大きく変わっていきます。子どもを望むタイミングが変わることもありますし、結婚や離婚、再婚によって家族構成が変わることもあり得ます。こうした変化に柔軟に対応できるかどうかは、家を持つかどうかを考えるうえで重要な視点です。

賃貸であれば収入の増減やライフステージの変化に応じて住み替えができる自由度がありますが、持ち家は50年という長期間、その場所に縛られることになります。自分自身の幸せと向き合った上で、それでも持ち家を選ぶというのであれば、その判断は十分に尊重されるべきものだと思います。

まとめ(20:52)

マネーセンスというのは、経済合理性と感情の両方を大切にすることだと繰り返し伝えてきました。経済的な合理性だけで考えれば、あえて持ち家を持たないという選択肢もあり得ます。それでもマイホームが欲しいという気持ちがあるなら、その選択自体は何も問題ありません。大切なのは、賃貸という選択肢もあることを理解した上で、それでも持ち家を選んだと納得できるかどうかです。その覚悟を持てるだけの人生観や幸福感を、購入前にしっかり固めておいてほしいと思います。

親からの援助を受けて50年ローンを運用しながら最終的に完済できるケースもあれば、親の他界後に実家を売却してまとまった資金で購入するケースもあるでしょう。50年ローンを組みながら並行して積立投資を行い、インフレの進行を見越して早めに購入しておくという考え方も一つの合理性ではあります。ただし、将来住み替えようとした際には、その時点でのインフレが進んだ物件価格や家賃を負担することになる点も忘れてはいけません。

今回はさまざまなケースを挙げながら解説してきましたが、ここまでの準備を難しいと感じる人は多いはずです。それでも準備をしておいて損はありませんので、一度立ち止まって自分自身の状況と照らし合わせながら考えてみてほしいと思います。

またこちらの動画「《7割の人が該当!?》退職金の〇〇を知らずに老後破綻する人の共通点」では、退職金の現状や今すぐ確認すべきポイントを解説していますのでぜひご覧ください。

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