【日経平均7万円突破】リーマン底値から10倍。「資産が半分以下」大暴落の追体験 

今週、日経平均が7万円を突破しました。リーマンショックのどん底から比べると約10倍という、大変喜ばしい水準です。ただ、上がれば上がるほど、もし同じような暴落が起きたらどこまで下がるのかという不安も芽生えてきます。投資経験が長い方ならご存知のように、相場は下がっている時よりも上がっている時のほうが怖いものです。

ここ最近、日経平均はずっと上昇を続けており、大きな下げらしい下げを経験していない状態が続いています。そのため、リスク管理の必要性は理解していても、実際にどう対処すればよいか分からないという方や、株をやっていれば上がり続けると楽観的に考えている方も少なくありません。

リーマンショックを実際に体験したことがないために、リスクを軽視してしまい、いざ暴落が来たときに「こんなはずじゃなかった」と投資を辞めてしまう方が多いのも事実です。今回は、その追体験を通じて、大暴落がどれほどの破壊力を持つものかを感じ取っていただければと思います。

リーマンショックとは(4:14)

リーマンショックの前には、サブプライム問題の発覚があり、そこから下落が始まりました。リーマン・ブラザーズが破綻した後の下落が最も大きかったのですが、実は下落自体はその前からすでに始まっていました。起点となる直近の最高値は2007年7月9日の日経平均終値1万8261円です。そこから大底となったのが2009年3月10日の7054円で、下落幅は1万127円、下落率は61.4%にのぼります。この間、1年8ヶ月もの長期にわたって下がり続けました。

現在の日経平均7万円を基準に同じ下落率60%を当てはめると、4万2000円下落して大底は2万8000円という計算になります。3万円を割り込む水準です。同じ規模のショックが必ず起きるとは言えませんが、人類が経験した下落として、それと同じ程度の事態を想定しておくことは重要です。同時に、その恐怖から投資を控えてリスクを取れなくなれば、インフレへの対応など資産運用そのものが成り立たなくなります。正しく恐れることが大切です。

2007年7月9日(7:49)

時代を約20年前に戻します。2007年7月9日、日経平均は1万8261円をつけていました。チャートを振り返ると、1985年頃からのバブル期、その崩壊後の長い低迷、2000年のITバブル、そしてその崩壊という大きな波がありました。

1995年にMicrosoftがWindows 95を発表し、パソコンが一般家庭に普及し始めました。インターネットへの期待が株価を押し上げ、2000年に向けてNASDAQやS&P500も急上昇します。しかし当時のインターネット企業の多くは赤字続きで、バブルは2000年に崩壊しました。その後、日本株は低迷を続け2003年に大底をつけましたが、そこから急激な上昇が始まり、2007年7月9日の高値へと続いていきます。この起点からリーマンショックの追体験が始まります。

リーマンショックの予兆 2007年8月17日(11:39)

高値をつけた約1ヶ月後の2007年8月17日、サブプライム問題が発覚し、株価が3日連続で年初来安値を更新するという動きが出始めました。この時点での下落率は約16.4%で、終値は1万5273円でした。

長期上昇相場の中での一時的な調整と見られ、当時はそれほど問題視されませんでした。サブプライムローンとは低所得者向けの住宅ローンであり、それを優良な住宅ローンと混ぜ合わせて債券として売り出すという複雑な金融商品が開発されていました。金融工学によって「安全でAAAだ」と売られていたものの、中には毒が混じっていました。きれいな水に毒を混ぜたことで全体が毒になってしまったような状態です。

しかし当時は、その実態がよく見えていませんでした。その後もじりじりと下落が続き、前回高値を超えられないまま最安値を更新していくという動きが繰り返されました。

世界の連鎖安パニック 2008年1月22日(15:28)

2008年1月22日、日経平均は1万3000円を割り込みました。高値からの下落率はマイナス31%です。大きな上げのないまま一気に下がり、終値は1万2573円となりました。中国やインドなど当時好調だったアジア地域の株価も日本以上に急落し、全世界で連鎖安が起きました。この日は旧東証一部の銘柄の97%が下落するという全面安となり、投資家の間ではリスクオフ、つまり投げ売りの状態が進みました。

世界で何が起きているのか原因がよく分からないまま、大手証券会社の破綻がちらつき始めるという状況でした。日本の金融機関もサブプライム関連商品を購入していたらしいという話が出始めましたが、その影響の実態はまだ把握できていませんでした。

ベアー・スターンズ実質破綻 2008年3月17日(18:15)

2008年3月17日、アメリカの大手証券会社ベアー・スターンズの実質破綻が発表されました。ドルも急落し、当時の為替は95円台という円高水準になっていました。この時の日経平均終値は1万1787円で、高値からマイナス35.5%の下落です。リーマンショックはまだ始まっていないにもかかわらず、すでに資産の3分の1以上が消えていました。

公的資金による救済を行うかどうかで議論が起きました。投資家がリスクを取って投資した以上、破綻の損失も受け入れるべきというモラルハザードの観点から批判もありましたが、結果的に政府の仲介によって救済されました。この救済への批判が、後のリーマン・ブラザーズ破綻時に政府が不介入を決定した大きな要因の一つになったとも言われています。

市場はいったん戻る 2008年6月5日(21:25)

2008年6月5日、日経平均は1万4341円まで回復しました。高値からはマイナス22%で、底値から約3000円、13%程度の戻しです。中央銀行が市場に流動性を供給し、主要な金融機関も資本増強を進めたことで、集団的なパニックは一時的に落ち着きを取り戻しました。投資家としては、もう底を打ったのかもしれないという安堵感が生まれた局面です。これ以上大手が潰れることはないだろうという雰囲気もありました。しかし、それは長くは続きませんでした。

アメリカ政府系住宅金融公社2社が破綻 2008年9月6日(23:48)

2008年9月6日の土曜日、アメリカ政府系の住宅金融機関であるファニーメイとフレディマックの破綻の噂が広がりました。市場が閉まっている週末のうちに、月曜日の取引開始までに対応策をまとめなければブラックマンデーに匹敵する大暴落になるという懸念が報じられました。この時点の9月5日終値は1万2212円で、高値からマイナス33%でしたその後、この2社に対しても救済案がまとめられていきましたが、次に待っていたのがリーマン・ブラザーズの破綻でした。

リーマン・ブラザーズ破綻 2008年9月15日(25:25)

2008年9月15日、1850年創業のウォール街を支えてきた名門証券会社リーマン・ブラザーズが破産法の適用を受け、経営破綻しました。負債総額は6300億ドルという史上最大の倒産劇でした。翌日の日経平均は3月の安値を更新し、終値1万1609円、高値からマイナス36%という下落になりましたその日1日の下げ幅は605円安で、それ自体は極端な数字ではなかったものの、ここからほぼ毎日のように下げ続ける終わりの始まりとなりました。

日経平均終値最安値更新 2008年10月27日(27:19)

リーマン破綻からの1ヶ月間、相場はひたすら下げ続けました。2008年10月27日、日経平均終値はバブル後の最安値も更新し、7162円をつけました。高値から約60%の下落です。現在進行形で底が見えない状態が続き、大手銀行の株にはストップ安がつく日も続きました。1日の値幅制限で下げ止まっても、翌日には窓を開けて再び下落するという繰り返しでした。原因の全容もつかめないまま、大企業の連鎖倒産への不安、金融決済の滞りへの懸念など、さまざまな波及効果が重なり合っていました。

バブル崩壊後最安値 2009年3月10日(29:40)

その後も低迷が続き、2009年3月10日、日経平均はダブルボトムを形成しながら終値7054円という大底をつけました。高値からマイナス61%という下落です後から振り返ればここが大底だったと言えるのですが、当時その現場にいた投資家が底打ちを確信できる状況ではまったくありませんでした。サブプライムを発端に何が起きているのか、ここまで来ても全容がつかめないままでした。

相場が急反発 2009年6月12日(33:26)

大底から3ヶ月が経過した2009年6月12日、相場は急反発しました。この3ヶ月で約43%上昇し、7000円台から3000円以上値を戻しましたが、高値からはまだマイナス44.5%の水準でしたチャートとしてはダブルボトムを形成して底打ちと見ることもできますが、ファンダメンタルズから楽観視できる人はほとんどいませんでした。当時のセミナーへの参加者はリーマン前に比べて激減し、悲観の極みとも言える雰囲気が漂っていました。しかしその後、相場は再び高値を目指すことができず、しばらくは低迷が続きます。

東日本大震災 2011年3月11日(36:45)

大底から約2年後の2011年3月11日、東日本大震災が発生しました。その4日後の3月15日、日経平均は前日比1015円安、下落率10.55%という記録的な暴落を記録し、終値は8605円となりました。これは市場の歴史に残る大暴落として今も語り継がれています。日本株はさらに低迷の時代に入りましたが、2013年に発足した安倍内閣のもとでアベノミクスが始まり、急激な上昇に転じていきます。

リーマンショック以来 戻り高値更新 2013年2月6日(38:42)

2013年2月6日、日経平均はリーマンショック以来の戻り高値を更新し、終値1万1339円をつけました。一般にメディアがリーマンショックからの回復と表現するのはこの時点を指し、破綻から約4年半とされています。しかし投資家の立場から見れば、2007年の高値から見るとまだ大幅に低い水準であり、含み損を抱えたままです。4年以上かけてようやくここまで来たに過ぎません。本当の意味での回復には、さらに時間が必要でした。

リーマンショック前の最高値更新 2015年2月18日(40:48)

2007年7月9日のサブプライム問題前の高値を超えたのは、2015年2月18日のことです。起点から実に7. 6年、約8年の歳月がかかりました。この間に、世界的な金融危機、大手金融機関の連続破綻、リーマンショック本体、政権交代と民主党政権、東日本大震災という数々の出来事が重なりました。S&P500やオールカントリーなども同様に最大60%程度の下落を経験し、回復にはほぼ同じ期間を要しています。

投資の世界では、人間がドローダウンに耐えられるのは最大で33%程度と言われています。今回振り返ったリーマンショックの下落はその水準をはるかに超えており、多くの投資家が途中で退場を余儀なくされました。積立投資を続けていた方であれば2010年頃のピーク時点でそれなりに回復し、アベノミクス期にはプラスに転じていたと思われますが、それでもこの長い低迷期間を乗り越えることが決して簡単ではないことは、数字が物語っています。

まとめ(46:26)

今回の内容は皆さんを脅すためのものではありません。過去の暴落を追体験することで、自分がその状況に置かれたとき、投資を続けられるかどうかを今一度考えていただきたいのです。もちろん、同じ規模の暴落が必ず起きるとは言えません。過去が将来を保証するものでもありません。

しかし、同規模の事態を想定してリスク管理を考えることは、長期的な資産運用において欠かせない視点です。こんな下落があっても投資を続けるためにはどんな方法があるのか、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。

またこちらの動画「【債券不要論は正しい?】株式と債券の組み合わせが暴落に強い理由」では、暴落に備えるための資産配分や債券の考え方をデータで整理していますのでぜひご覧ください。

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