オルカン+現金で運用するなら必ず知っておきたい4つのこと

オールカントリー(オルカン)と現金の2つで運用している方は少なくありません。アセットアロケーションの一形態として、この組み合わせを選んでいる方も多いでしょう。今回は、その運用において特に知っておいてほしいこと、やっておいてほしいことを4つに絞って解説します。

なお、「オルカン1本でいい」という考え方は、著名な投資家・山崎元さんもおっしゃっていたことです。ただし、山崎さんも合わせて大切なことをきちんと伝えています。その部分が見落とされがちなので、今回はその点も踏まえながら、現金比率を持つ上でのミスリードが起きないようにお話しします。

①生活防衛資金は投資資金に含めない(02:04)

まず大前提として、生活防衛資金は投資資金に含めてはいけません。

例えば、総資産500万円のうちオルカンに250万円、現金に250万円を置いている場合、一見すると50対50の配分に見えます。しかし、その現金250万円の中に生活防衛資金が150万円含まれているとすると、投資に使える現金は実質100万円です。この場合、オルカン250万円に対して投資用現金は100万円となり、比率は約71対29になります。自分では半々だと思っていても、実態は株式に大きく偏っているわけです。

車が故障した、入院が必要になったといったアクシデントは誰にでも起こりえます。そうした時に50万円・100万円単位のお金が必要になり、生活防衛資金を取り崩すと、オルカンの比率が一気に上がってしまいます。しかもその時の相場がどうなっているかは誰にもわかりません。生活防衛資金はいつでも引き出せる状態で別に確保しておき、投資の比率計算には含めないようにしてください

②現金は”リスクゼロ”ではない(03:58)

現金は安全資産と思われがちですが、実はリスクゼロではありません。インフレによって実質的に目減りしていくからです。

現時点では総合インフレ率が1.3%程度あります。一方、預金金利は高いものでも0.4〜0.5%程度にとどまっています。つまり、現金は実質的にはマイナスの資産になりえます。オルカンはリスク資産、現金は安全資産という単純な図式は成立しないのです。

だからといってオルカンだけにするのはリスクが高すぎる。そのジレンマの中で現金を持つわけですが、であれば個人向け国債など少しでも利回りを得られる形にするといった工夫も検討に値します。現金も目減りする資産であることを忘れないようにしてください

③リバランスが必要(05:01)

オルカンと現金を50対50で始めたとしても、オルカンが値上がりし続けると自然と比率は崩れていきます。気づけばオルカン70%・現金30%になっていた、ということは珍しくありません。

アセットアロケーションの本質は、相場が下落した時に現金で買い増しできる余力を持っておくことです。現金比率が下がれば下がるほど、その余力は失われます。さらに、オルカンが大きく上がっている局面というのは、これから大きく下がる可能性が高まっているサインでもあります。だからこそ、上昇局面でこそ現金比率を意識的に高めておく必要があります。

逆に暴落が起きてオルカンの比率が35%まで下がったような時には、現金でオルカンを買い増します。この一括購入は、値下がり中に多く口数を取得できるという点でドルコスト平均法とも同じ効果をもたらします。こうした操作を感情に左右されずに行うためにも、年に1回、誕生日や年始・年末など決まったタイミングでリバランスを実施することが大切です。

④現金比率を上げるほど期待利回りは下がる(06:58)

現金比率を上げることには、もう一つ理解しておくべき側面があります。期待利回りが下がるという点です

オルカン100%の場合、資産全体の期待利回りはおよそ8%です。現金比率を10%ずつ増やすごとに期待利回りはおよそ0.8%ずつ下がり、50対50では約4%まで低下します。この数字を見ると「それなら現金を持つ意味がない」と感じる方も多いでしょう。

しかし、アセットアロケーション運用ではリバランスを行うことで、現金比率をある程度高めても期待利回りの低下を抑えることができます。例えばリーマンショック時にオルカンは約60%下落しましたが、アセットアロケーション運用では下落幅を40%以下に抑えることができました。

オルカン70%・現金30%という配分で期待利回りは5.6%程度になりますが、適切なアセットアロケーション運用であればリスクを大幅に下げながらも7%程度の期待利回りを維持できます。この差異がアセットアロケーション運用の強みであり、金融工学の知見が活きている部分です

まとめ(08:25)

現金比率を設けることの意味は、ただ「安全なお金を持っておく」ということではありません。生活防衛資金を投資資金と混同しないこと、現金もインフレで目減りすることを理解すること、定期的なリバランスで比率を維持すること、そして現金比率を増やすほど期待利回りが下がることを踏まえた上で運用すること、この4点がセットになって初めて意味を持ちます。

特にリバランスをしない状態で現金を持っていても、その意義はほとんどありません。リバランスをしないのであれば、むしろオルカン100%の方が合理的な場面すらあります。現金比率をただ持つのではなく、なぜそうするのかを理解した上で運用することが、投資家としての次のステップにつながります。

またこちらの動画「【放置してない?】NISA口座の3割が未稼働。「とりあえずオルカン」の後にすべき事」では、NISA口座の未稼働の実態と「とりあえず」から次に進む資産設計のヒントを解説していますのでぜひご覧ください。

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