変動金利のリスクを理解せよ!住宅ローンの勘違いと正しい知識
はじめに
日本では長らく低金利時代が続いてきましたが、現在は日銀の金融政策が転換しつつあり、今後は金利の上昇が避けられない状況になっています。
しかし多くの人が住宅ローンを組む際に「変動金利」を選択しており、金利上昇のリスクを正しく理解していないケースが少なくありません。
本記事では住宅ローンの金利タイプとそれぞれのリスク、特に変動金利に潜む危険について詳しく解説します。
また過去の金利上昇事例から学び、今後の金利の動向を考慮した上で最適な住宅ローンの選択肢についても紹介します。
キーポイント
金利のある世界への移行と住宅ローンの重要性 (00:00:00)
日本はこれまで30年以上の低金利・デフレ環境にありました。
しかし、現在は世界的なインフレの影響を受け、日銀も金利を引き上げる方向へと舵を切り始めています。
これは、今後住宅ローンを借りる人やすでに借りている人にとって無視できない変化です。
しかしながら銀行等のアンケートでは「住宅ローンの仕組みについてよく知らない」と回答する方の数が意外と多いです。
特にこれから住宅ローンを組む方は、変動金利や全期間固定金利、あるいは部分固定金利が良いか、よくわからず迷われているのではないでしょうか。
変動金利の仕組みとよくある勘違い (00:01:33)
多くの方が「変動金利は金利が下がる可能性があるからお得」と考えています。しかし、この考えには大きな誤解があります。
変動金利の基準となるのは、「短期プライムレート(最優遇貸出金利)」です。銀行はこの金利をもとに住宅ローン金利を決定します。
金利が下がった場合、その対象となるのはあくまで新規で借りる人のみです。
よくある勘違いとして「変動金利なら市場の金利が下がれば自分の金利も下がる」 というものがあります。
これは実際には、借りた時点でのディスカウント率が固定されているため、借り換えをしない限り下がりません。
変動金利のリスクとは?5年ルールと金利上昇の影響 (00:05:08)
変動金利には「5年ルール」という仕組みがあります。
これは金利が上がっても、5年間は月々の返済額は変わらない、というものです。
このルールは一見すると家計の負担を抑えられて安心できる仕組みに見えますが、これにより金利が変わらないと思い込んでいる人がいるのが問題です。
返済額が変わっていないだけで、実際には上昇した分の金利負担は増えています。
最終的にこのしわ寄せは返済の終盤に来ます。返済期間の延長や、一括返済を求められるリスクもあります。
過去の金利上昇から学ぶ!バブル期と現在の違い (00:08:30)
1980年代のバブル期、日本の政策金利は約10年間で 1%から8.5%まで急上昇 しました。もし現在、同じような金利上昇が起これば、住宅ローンの負担は想像以上に増えます。
例えば、1000万円を1%で借りると、年間の利息は10万円ですが、8.5%になると85万円になります。これに耐えられる家庭は少ないでしょう。
金利はこのようにドラスティックに変化するという事実を理解しておく必要があります。
変動金利の返済金額は借りた時点では決まっていない (00:11:23)
これから「金利のある世界」へ入ると、返済総額は増加する可能性が高まります。
その際は、繰上げ返済をすれば良いという考え方もあるでしょう。
しかし、金利は政治や日銀総裁の裁量によって決まるため、いつ、どれくらい変動するか読めません。
長期間を変動金利で返済するのは、相当リスクが高いでしょう。いくらプロに頼んでファイナンシャルプランを立てたところで、長期的に見るとその読みが当たる保証はありません。
とくに35年ローンともなれば、将来の金利を予測するのは極めて困難でしょう。
住宅ローンの賢い選び方と固定金利の重要性 (00:14:05)
住宅ローンには、「変動金利」「固定金利(5年、10年など選択方式)」「全期間固定金利」の3つのタイプがあります。
変動金利よりも 全期間固定金利 の方が安心です。理由は以下の通りです。
- 総返済額が最初から確定している
- 金利が上昇しても返済額が変わらない
- 長期的な資金計画が立てやすい
ただし、住宅購入の支払金額については、金利以外に固定資産税や都市計画税、修繕費、地震保険などの総額を見積もったうえで賃貸と比較する必要があります。
若年層の住宅購入について (00:16:28)
20〜30代での住宅購入はおすすめしません。
この年代は、家族構成や環境が変化しやすいです。住宅を購入すると、環境変化に伴い売却や賃貸といった対応が必要になります。
さらに先では、子どもが増えたり、巣立ったりするとスペースが現実にマッチしなくなるリスクもあるでしょう。
こうしたことを総合的に考えると、早期の住宅購入は推奨できません。
時代が変わったという認識をもつ(00:20:15)
これから先は、インフレになります。その変化は少しずつのように思えても、ある時期に急激に金利上昇が起きる可能性があるでしょう。
その時点で変動金利から固定金利に乗り換えようとしても、すでに固定金利は上昇しているため要注意です。
そのため、すでに変動金利で借りている方は、この機会に固定金利への乗り換えを検討するのもよいでしょう。
変動金利を継続する場合でも、将来的な金利がどこまで上がると家計破綻リスクがあるかを把握しておくことをおすすめします。
まとめ
今後、金利のある世界に移行する中で、変動金利のリスクを十分に理解して慎重に住宅ローンを選ぶことが重要です。
固定金利の選択や、適切な資金計画を立てることが、将来の家計破綻を防ぐポイントになります。
関連動画「住宅ローン金利に変化あり。返済中の人、これから買う人の注意点【きになるマネーセンス348】」では、住宅ローン金利についてわかりやすく解説しています。住宅購入に際しての注意点をさらに詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。