【特定口座 →新NISA】移行して得する人、損する人の違いとは?

2024年から始まった新NISA。今年の年間投資枠が余っている場合に特定口座からの乗り換えが選択肢に上がることがあります。

ただし、課税口座である特定口座から新NISAへの移行には注意が必要です。この移行による税金や運用効率の変化は、将来の資産形成に大きな影響を与えます。

本記事では、新NISAと特定口座の違いや乗り換えたほうが良い場合、乗り換えないほうが良い場合について具体的な条件を詳しく解説します。

キーポイント

新NISAと特定口座の違いとは? (00:00:01)

新NISAは投資家にとって税制メリットが大きく、特定口座で運用するよりも非課税での運用枠が広がる点が特徴です。しかし、新NISAには1800万円の生涯投資枠という制限があり、計画的な運用が求められます。この枠は簿価でカウントされ、利益や損失は影響しません。

特定口座は、税金が運用益に対して20.315%課税されるのが一般的であるため、運用期間が長いほど課税額が増加します。そのため、特定口座の資産を新NISAに移行することで税金を削減できる可能性がありますが、利益が発生している場合は税金を先に支払う必要があります。

税金を最小化するための投資の目的 (00:02:11)

マネーセンスカレッジでは、投資の目的として「税金を払わずに運用する」ことを重視しています。税金は運用益の20.315%が課税されるため、利益が増えるほど支払い額も増加します。

例えば、運用益が100万円の場合、20万円以上の税金を納める必要があります。この金額は、投資計画において大きな差を生む可能性があるため、非課税で運用する新NISAは有力な選択肢となります。

税金を最小化するには、課税対象になる資産を減らすことが重要です。この点で、損失や利益がほとんどない資産を新NISAに移行することをおすすめします。

特定口座から新NISAに乗り換えたほうが良い場合 (00:05:15)

以下の条件をいずれか一つでも満たす場合、特定口座から新NISAに移行するのが有利です。

  1. 金融商品の含み損またはトントンの状態: 含み損がある場合は課税されないため、移行がスムーズです。
  2. 新NISAの生涯投資枠が埋まらない場合: 生涯投資枠が未達であれば、特定口座の資産を早期に新NISAに移行する方が税金を抑えられます。
  3. 新規投資資金がない場合: 新NISAの枠を埋めるための新規資金が不足している場合、特定口座の資産を活用するのが得策です。

これらの条件は、多くの投資家が当てはまる可能性が高く、特定口座に利益がある場合でも移行する価値がある場合が多いです。

利益率20%までのケースで乗り換えが有利な理由(00:12:00)

上記の条件のひとつ目「金融商品の含み損またはトントンの状態」について、もう少し条件をゆるくした場合に、利益率が20%までであれば基本的には新NISAへの乗り換えをした方がいいと言えます。

  1. 利益率20%以下であれば誤差レベルの損益
    • 利益率が20%までの資産は、新NISAへ移行する際に課税されても、長期的な運用で十分カバー可能。
    • 仮に多少の税金を支払うことになっても、移行後の非課税運用による恩恵が大きい。
  2. 時価ベースの計算で判断
    • 時価を100%としたとき、含み益が20%以下(例えば100万円の時価に対し20万円の利益)であれば、課税された分を補うのにさほど時間がかからない。
  3. 利益率が高い場合との比較
    • 利益率が高い場合(例: 80%)では課税額が大きくなるため、新NISAに移行しないほうが有利になることがある。
    • 一方で、20%以下の場合は移行による損失は微小であり、非課税運用のメリットが上回る。
  4. 「迷うなら移行」で良いケース
    • シミュレーションによると、利益率20%以下の資産を移行した場合の損失はほぼ誤差に収まるため、移行を迷う必要はない。

乗り換えないほうが良い場合の条件 (00:15:56)

一方で、以下のケースでは特定口座に資産を残した方が有利です。

  1. 新NISAの生涯投資枠が早期に埋まる場合: 新規投資資金が潤沢な場合、特定口座の資産を保持した方が税金を抑えられることがあります。
  2. 金融商品の含み益が高い場合: 含み益が大きい場合、移行時に支払う税金が多額になるため、特定口座での運用が有利となることがあります。

これらの条件は、高収入や大規模な投資を行う一部の投資家に該当します。

前回の動画に寄せられた質問への回答と注意点 (00:23:22)

前回の動画「《新しいNISA乗り換え方法》特定口座から新NISAに乗り換えたほうがいい場合、乗り換えないほうがいい場合【きになるマネーセンス523】」に寄せられた質問に回答します。

視聴者からの質問1: 高配当株の場合はどうすべきか?

高配当株の取り扱いについては、以下の条件で判断するのが良いと解説されています:

  • 含み益が出ていない場合:課税されないため、新NISAへ移行するのが有利。
  • 利益率が20%以下の場合:移行時の課税は誤差レベルに収まり、新NISAへの移行が推奨される。
  • 生涯投資枠が埋まらない場合:新NISAの枠を活用する方が税金対策として有利。

ただし、高配当株は配当そのものが課税対象となるため、全体の運用計画を考慮することが重要とされています。

視聴者からの質問2: 特定口座から一般口座に移してNISAに入れる方法は有効か?

この方法には以下のポイントがあると解説されています:

  • 移管そのものには課税されないが、一般口座で売却すれば譲渡益に対して課税される(所得税15%、住民税5%、復興税0.315%)。
  • 申告不要制度(年間20万円以下の利益非課税)を活用できる場合もあるが、住民税部分は非課税対象にならず、確定申告が必要。
  • 手間がかかるため、金額が少ない場合は「費用対効果」が低くなる可能性がある。

特定口座を一般口座に移行してから売却することで税金を抑える方法もありますが、手間がかかったり、住民税の申告が必要になったりします。一般口座での売却は、所得税の免除が可能ですが、住民税5%の申告が求められる点に注意が必要です。

また、少額の利益であればこの方法が有効ですが、大きな利益を得ている場合は新NISAへの移行が最善となることが多いです。

まとめ

新NISAの活用は、税金を最小限に抑えながら資産運用を効率的に進めるための強力な手段です。多くの場合は特定口座から新NISA口座への移行をおすすめします。

本記事では特定口座から新NISAに移行する条件や注意点を解説しましたが、個別の状況により判断は異なります。より具体的な助言が必要な場合は、マネーセンスカレッジの有料会員サービス「チーム7%」を利用することで、最適な資産運用計画を立てることが可能になります。