iDeCoと企業型DCが重複しているときの加入年数の計算方法

確定拠出年金には、企業型(企業型DC)と個人型(iDeCo)の2つのタイプがあります。

従来、どちらか一方にしか加入できないケースが多かったのですが、2022年の法改正により、規約変更をせずとも企業型DCとiDeCoの同時加入が可能になりました。

今回は、企業型DCとiDeCoに重複して加入している場合の加入年数の計算方法や、退職後の資産移管に関する手続きについて詳しく解説します。

質問内容

「企業型DCとiDeCoの両方に加入しています。退職時にiDeCoに資産を移管できると聞きましたが、それは本当でしょうか。また、その場合、加入年数はどちらが優先されるのでしょうか?」

キーポイント

退職時に企業型DCの資産をiDeCoに移管できる(00:00:58)

会社を退職後に企業型DCの資産をiDeCoに移管することは可能です。これは「ポータビリティ制度」と呼ばれる制度によって行います。

ポータビリティ制度は、iDeCoや企業型DC利用時に退職や転職をした際、資産を他の年金制度に移管することを認める仕組みです。退職しても資産を柔軟に運用し続けることができます。

手続きは、まず企業型DCの運営管理機関に連絡しiDeCoに移管するための書類を取得します。その後、iDeCoの運営管理機関(証券会社や銀行など)に資産を移管する手続きを行います。

加入年数の計算方法(00:04:11)

企業型DCとiDeCo両方に加入している場合、加入年数がどのように計算されるか把握しておきましょう。

今回の質問では退職所得控除額の算出に必要な「加入年数」について回答します。

基本的に、企業型DCとiDeCoの加入年数は通算されます。加入年数は、原則掛金を拠出した期間です。

通算される期間は次のとおりです。

  • 企業型DCの加入者期間
  • iDeCoの加入者期間
  • 退職金から確定拠出年金に資産を移管した場合はそれまでの勤続期間
  • 企業年金などから確定拠出年金に資産を移管した場合は企業年金などの加入期間

ただし、加入者期間の中で拠出しなかった期間は算入しません。そして期間は重複しません。60歳以降の期間は算入します。

老後資産設計の柔軟性(00:09:56)

最近の法改正により、確定拠出年金制度はさらに柔軟になり、年金の受け取り方や老後資金の設計が自由になりました。iDeCoは65歳まで加入し続けることができ、企業型DCの資産を移管しながら運用を継続することが可能です。

また、年金受け取りを繰り下げることで、より多くの年金を受け取ることも可能です。

こうした柔軟な制度を活用することで、自分に最適なリタイアメントプランを立てることができます。

退職金と確定拠出年金を組み合わせて、効率的に資産を活用することも一つの選択肢です。

まとめ

iDeCoと企業型DCに重複して加入している場合、加入年数の計算方法や退職後の資産移管手続きは非常に重要なポイントです。

特に、重複期間が通算年数に含まれないことを理解しておくことが必要です。

老後の資産設計において、確定拠出年金をうまく活用し、柔軟なプランを立てることが安心した老後生活につながります。

老後の資産設計・出口戦略の詳細は以下の記事をご覧ください。