扶養が外れる?NISAの儲けが社会保険料に与える影響
NISA(少額投資非課税制度)を使って利益が出た場合、それが扶養や社会保険料にどのように影響するのでしょうか。「扶養から外れるのか」や「保険料が上がるのか」といった点は気になるところです。
この動画では、社会保険上の扶養の仕組みや、NISAなどの投資利益がどう扱われるかを詳しく解説します。
質問内容
キーポイント
税制上と社会保険制度上の2つの扶養がある(00:01:12)
扶養には大きく分けて「税制上の扶養」と「社会保険制度上の扶養」の2種類があります。これらは異なる制度で、それぞれの基準や影響範囲が異なります。
税制上の扶養は、主に「配偶者控除」や「配偶者特別控除」が適用される制度です。たとえば、配偶者の所得が一定の範囲内であれば、納税者の税金が軽減されるという仕組みです。
税制上の扶養は「所得」で決まります。所得とは、給与所得や事業所得だけでなく、利益を基に計算されるものです。このため、NISAやiDeCoの利益が含まれるかどうかが論点になりますが、NISAやiDeCoの利益は運用時非課税のため、確定申告が不要で税制上の扶養には影響を与えません。
一方で、社会保険制度上の扶養は健康保険の扶養や公的年金の扶養に関連します。こちらは所得ではなく、継続的な「収入」に基づいて判断されます。
確定申告が必要な場合と不要な場合(00:03:03)
投資で利益が出た場合、税金や社会保険の計算で重要になるのは確定申告の要不要です。
繰り返しになりますが、NISAやiDeCoは運用益が非課税となるため、確定申告は不要です。そのため、NISAやiDeCoによる利益は税制上の扶養や社会保険料の計算に影響を与えません。
しかし、特定口座で運用している場合は注意が必要です。
特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。「源泉徴収あり」であれば証券会社が自動的に税金を計算してくれるため、確定申告は不要です。一方、「源泉徴収なし」の口座では自分で確定申告を行う必要があり、これが扶養や社会保険料に影響を与える可能性があります。
社会保険制度上の扶養は「継続的」な収入で判断(00:06:00)
社会保険上の扶養は、継続的な収入に基づいて判断されます。たとえば、給与収入や年金などはもちろん、遺族年金や障害年金など非課税対象であっても継続的な収入であれば扶養の基準に影響します。そして「投資収入(利子、配当金、分配金など)」も含まれます。
収入金額は130万円未満。この金額を超えると扶養から外れ、自己負担で社会保険に加入しなければならない場合があります。
投資収入は継続的な収入に該当するのか(00:10:29)
社会保険制度上の扶養において重要なのは、NISAやiDeCoなどの投資収入が扶養に影響を与えるかどうかです。
投資収入には、利子や配当金、分配金、譲渡益などさまざまな種類がありますが、これらが「継続的な収入」と判断される場合、社会保険料の計算に含まれる可能性があります。
継続的な収入と判断されやすいのは以下のケースです。
- 継続的な配当金、分配金目的の金融商品の保有
- iDeCoや企業型DCの分割受取
- 継続的な売却による収益
利子収入は、定期的に支払われることが多く、継続的な収入と見なされやすいです。これらが年間130万円を超える場合は、扶養から外れる可能性が高まります。
次に、一時的な収入と判断されやすいケースです。
- 投資信託内の分配再投資
- 年1回の売却による譲渡益
株式や投資信託の売却益(譲渡益)については、年に1回の取引であれば一時的な収入として扱われやすいです。しかし、年に2回以上の売買を行っている場合は、継続的な収入と見なされることがあります。
注意点は課税・非課税の別は関係ありません。たとえNISA口座であっても継続的な収入を得ていると判断されることがあります。
さらに、どの収入が継続的かどうかを最終的に判断するのは、保険者(健康保険組合や協会けんぽ)です。したがって、具体的な状況については保険者に確認することが重要です。
まとめ
社会保険制度上の扶養において、NISAやiDeCoの別は関係ありません。非課税口座でも、儲けが「継続的な収入」と判断されると、扶養から外れてしまい自分で社会保険料の支払いが必要になることがあります。
ただし、基本的に「第1号被保険者(自営業者など)」においてはNISAで利益が出たとしても社会保険料は上がりませんので安心してください。
継続的な収入があるかどうか、扶養から外れることや社会保険料が上がるかどうかを自分自身で判断することは難しいでしょう。必ず保険者に確認し、安心して投資を継続するための用意を行なってください。
「NISAで儲けが出たら、社会保険料は上がりますか?」