月1万円の積立は意味がない?資産形成は途中から「3倍速」になります 

YouTubeのコメント欄を見ていると、月1万円の投資なんて意味がないというコメントを見かけることがあります。名前を出している人の意見を見かけることもありますが、今回はそうした意見に対してしっかり反論していきたいと思います。

投資で大切なのは資金力ではなく期間の長さだと繰り返し伝えてきました。投資期間はできるだけ長くすることが重要で、これは工夫次第でいくらでも延ばすことができます。たとえば老後が近い人であれば、働く期間を少し延ばしたり、他の資金を先に活用したりすることで、運用期間をできるだけ長く確保するといった工夫が可能です。夫婦であれば選択肢はさらに広がるので、とにかく期間を長くしてほしいと伝えています。

それでも「期間」という考え方がいまいちピンとこないという人が多いようなので、今回は月1万円では意味がないという意見に対して、複利効果を具体的な数字で示していきたいと思います。

毎月1万円、年利7%でシミュレーション(1:48)

増えている実感がないという人は多いのではないかと思います。毎月の積立額を増やせない自分が、世の中的に不利なのではないかとネガティブに捉えてしまう人もいますが、この内容がそうした人たちの勇気付けになればと考えています。

毎月1万円を積み立てた場合、最初の1000万円に到達するまでの期間と、そこから2000万円に到達するまでの期間を比較してみました。毎月1万円を年利7%で運用した場合のシミュレーションです。全世界株式に投資する場合、期待利回りとして7%程度を想定していますが、これはインフレなどを考慮しない名目の数字です。

この条件で計算すると、最初の1000万円に到達するまでには27年7ヶ月かかります。長いと感じる人も多いと思います。20歳から始めても48歳ごろになりますし、30歳から始めれば57〜58歳、40歳から始めるとリタイア世代の年齢に入ってしまいます。つまり70歳近くまで働かないと届かない計算になってしまいます。

しかし、できるだけ若いうちに月1万円からでも始めて、そのまま継続していくと、1000万円から2000万円に到達するまでの期間は8年10ヶ月に短縮されます。積立額はずっと1万円のままです。つまり、追加で入れる元本は最初の1000万円をつくるまでの3分の1で済み、期間としては3.1倍のスピードで到達できるということになります。

動画を見ている人の年齢層は40代後半が多いと思いますが、自分には遅すぎると感じても、ぜひ自分の子どもにこの話を伝えてあげてほしいと思います。皆さんが若いうちにこうした知識を得られなかったのは仕方のないことですが、月1万円であれば無理なく続けやすく、値動きに慣れていない時期に怖い思いをする必要もなく、まとまった資金も必要ありません。基本的にはどんな給料からでも出せる金額なので、極端に言えば高校生でも始められる可能性があります。その意味でも、この期間を活用する余地は十分にあると思います。

ここまでは月1万円でシミュレーションしましたが、毎月の積立額を変えるとどのような結果になるのかも見ていきます。

積立額別に比較(4:37)

毎月1万円の場合は、先述の通り27年7ヶ月で最初の1000万円を超えます。この時点までの元本は331万円です。次の1000万円、つまり2000万円に到達するまでの期間は8年10ヶ月で、当然期間が短くなった分、元本も3分の1程度まで下がります。期間の倍率で見ると3.1倍短縮されたことになります。

これが3万円になると、この「期間の力」がやや弱まってきます。3万円の場合、最初の1000万円に到達するまでの期間は短くなりますが、その分積立中の元本は増えます。これは7%の複利を受けられる期間そのものが短くなるためです。3万円で積み立てた場合、15年6ヶ月で1000万円に到達し、そこから2000万円になるまでは7年3ヶ月かかります。元本は下がっているものの、最初の1000万円がすでに運用され始めているため期間は短くなりますが、倍率としては2.1倍まで下がります。

5万円になると、1000万円到達までの期間は11年1ヶ月まで短縮され、ここまで来るとかなりスピードが早く感じられます。10年というと長く感じるかもしれませんが、長期投資のスタートラインとしてはちょうどよいタイミングとも言えます。10年以上の運用期間を確保してほしいと常々伝えていることを踏まえると、5万円で11年というのは、積立元本665万円に対して1000万円になっているという結果です。たしかに増えてはいますが、これは1000万円という到達額に対して1.5倍程度にしかなっていないということでもあります。月1万円の場合は同じ1000万円に対して元本が3倍に増えているので、期間の長さがいかに効いているかがよくわかります。

2000万円になるまでの期間は6年2ヶ月で、元本は370万円ほど増え、倍率としては1.8倍です。この1.8倍という数字は、期間の比較でも元本の比較でも同じように現れてきます。11年1ヶ月に対して6年2ヶ月という期間の差も1.8倍ですし、665万円に対して370万円という元本の差もほぼ同じ倍率になっています。1000万円に対する665万円という比率で見ても1.5倍程度になるので、だんだんとその差が縮まっていく様子が見て取れます。

7万円、10万円、30万円と積立額を増やしていくと、資金力があればさらに大きな効果を生みますが、期間としては5年ほどで2000万円に到達してしまいます。それでも増えている金額そのものはそれほど大きくなく、貯金とほとんど変わらない結果になってしまいます。資金力があるとスピードは早くなりますが、その分複利の恩恵を十分に受けられていないということになります。

投資で資産形成をしようという話をすると、根性論のように聞こえると言われることがありますが、むしろ資金力だけでどんどん積み立てていく人の方が力技だと感じます。複利の恩恵というよりも、貯蓄力そのものによる結果だからです。もちろん、5年間で毎月30万円を積み立てて2000万円に到達できるのであれば、その後の運用期間が長ければ長いほど大きな力を発揮します。全力で積み立てていく方針を選んでいる人にとっては、それも一つの目標だと思います。

ただ、毎月30万円というのはかなりの金額なので、無理をしてというよりも、もともと貯めていたお金を運用に回しているケースが多いはずです。そうであれば、それまでの間、資金を運用に回せていなかった分、資金効率が悪かったとも言えます。人生全体で見たときにどうなるかまで考えたことがある人は、あまり多くないのではないかと思います。

実際に20代で大学を卒業し、初任給をもらったタイミングから月1万円でも始めていれば、期間は長くなりますが、同じ2000万円をつくるのに必要な元本は450万円ほどで済み、4倍以上に増えていることになります。少額から積み立てを始めることの意味はまさにここにあります。複利の効果を理解していないと、資産形成についての本質的な話はできないとさえ感じます。

なぜ少額積立ほど加速倍率が大きいのか(9:40)

なぜ少額の積立ほど加速倍率が大きくなるのかというと、最初のうちは積立額そのものが資産形成の主役になっていますが、期間が長くなり資産が増えてくると、運用益が主役に入れ替わっていくためです。500万円から1000万円あたりから複利の力を実感できるようになるとよく伝えていますが、まさにその通りの結果が数字にも表れています。

運用益を主役にしていく必要があり、その意味では先に1800万円ほどを貯めた人がその後も運用を続けていくケースは非常に強く、その後はずっと運用が主役になり続けます。主役の期間はできるだけ長い方がよいのですが、お金には限りがあり、毎月の給料も有限で、今の生活も楽しみたいという事情もあります。そうなると積立額はどうしても小さくなりがちですが、小さいからといって諦める必要はなく、運用益が主役になるまで耐え続けることが大切です。

そうして続けていくことで、積立が主役だった時期から運用益が主役になる時期へと切り替わるタイミングで、非常に大きな変化を体感することになります。ただ、この変化を体感していない人がとても多いのが実情です。NISAを使っている人の中でも実際にこの体験をしている人は少数派で、金額としても1000万円以下の人がほとんどですし、老後資金としても中央値は1000万円程度にとどまります。

だからこそ、この体験をしたことがある人自体が少ないのですが、実際に体験すればどれほど大きな力を持つかがよくわかります。ぜひ多くの人にこの体験をしてほしいと考えています。投資を文化にしていくというミッションを掲げて活動していますが、実際に体験すれば「なぜもっと早く始めなかったのか」と感じるはずです。だからこそ、少ない金額からでも始める価値は十分にあると考えています。

誤解してはいけない点(11:37)

ここまで話してきた内容について、誤解してほしくない点がいくつかあります。まず、資金力よりも期間が大切だと伝えていますが、資金力があり、なおかつ期間も長く確保できるのであれば、それがもっとも強い組み合わせであることは間違いありません。毎月30万円を積み立てられる人は、その分リカバリー力も高いので、月1万円の人が優れていて30万円の人が不利だというわけではなく、その点は正しく理解してもらいたいと思います。

また、今回のシミュレーションは利回り7%で計算していますが、7%が毎年保証されているわけではありません。過去25年ほどの運用実績を平均するとおおむね7%を上回っているため、期待値としてはこの水準を想定していますが、それでも将来を保証するものではなく、あくまで過去の結果に基づく参考値です。毎年の相場は一定ではなく、コンスタントに右肩上がりで増えていくわけでもありませんが、それでも少額の積立には意味がないという考え方は明らかな誤りだと強く伝えたいと思います。

まとめ(12:39)

結論として、少額積立の弱点は資産が増えないことではなく、増えている実感を得られるまでに時間がかかることです。これは年収や毎月の生活費によっても感じ方が変わり、月々の生活費に相当する利益、あるいはボーナス相当の収益が出てくるくらいの規模になって、ようやく大きく動いたと実感できるものです。ここ数年の運用実績を見ると年率で2桁台の伸びも珍しくなかったので、300万円程度の資産規模でもそうした実感を得られる場面はあったはずです。ただし、それはたまたまの結果かもしれないという規模でもあります。

一方で、1000万円に到達するまでの期間をかけて積み立ててきた人は、相当な自信を得られるはずです。投資家としての経験も長く積んでいるので、その時点での積立額はその人にとってのある程度まとまった金額になっているはずで、その経験値には非常に大きな価値があります。しかも、その後もずっと運用の恩恵を受け続けられるので、そこから先はできるだけリスクを抑えた安全な運用を心がけてほしいと思います。

投資における複利効果は期間によってもたらされるものであり、その期間を耐えることが難しい部分ではあります。ただ、入金力がある人はその分を自分の力で埋め合わせて増やしているように見えても、実際には投資に資金を回しているからこそ増えているという面もあります。それでも構わないと思う人はそのままで良いと思いますが、増えている量を左右しているのはやはり期間の長さだということを踏まえると、少額だからといって投資を諦める必要はまったくありません。

今は投資信託も100円から購入できる時代になっており、いずれはもっと少額から始められるようになるかもしれません。そのくらい手軽な金額から始められるものなので、周りの意見に振り回されず、自分の人生を着実に前に進めていってもらえればと思います。

またこちらの動画「【資産を増やす】初心者が絶対に守るべき!NISA活用10ヶ条」では、NISAの基本から投資枠の使い分け、長期投資のポイントまで初心者向けに解説していますのでぜひご覧ください。

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