老後資金のために50代の45%が選ぶ金融商品。いますぐ見直してください。
どの年代においても老後資金の準備は不安がつきものです。日本人全体がどのような方法で老後資金を準備しているのか、データをもとに解説します。
マネーセンスカレッジをご覧の方であれば、投資を取り入れて準備されている方も多いかと思いますが、より広い視点で日本人全体の傾向を見ていきましょう。
老後資金を何で準備しているのか(0:48)
生命文化センターが発表した「生活保障に関する調査」の2025年版データをもとに話を進めます。この調査は定期的に実施されており、2022年の前回調査との比較も可能です。調査項目は個人年金保険・変額個人・生命保険の括り、預貯金、有価証券などで、準備している方については複数回答が認められています。
全体的に老後資金を準備している方の割合は増加しており、前回比で4ポイント以上増えています。コロナ禍を経て将来への不安が高まったことが背景にあると考えられます。内訳を見ると、増加幅が最も大きいのは有価証券で13.7%まで伸びており、投資への関心が高まってきていることがわかります。一方で最も選ばれているのは依然として預貯金で51.9%、次いで個人年金保険等が42.7%となっており、元本確保型の商品が圧倒的多数を占めています。
性別・年齢別のデータを見ると、男性では40代・50代・60代で個人年金保険等を選んでいる割合が有意に高くなっています。これはバブル期前後に契約したいわゆる「お宝保険」の影響が考えられます。平成元年頃の予定利率は長期で6.25%という高水準で固定されており、当時契約できた方には非常に有利な商品でした。現在50代の方であればギリギリ保有している可能性があります。93年・94年頃までであれば4.75%程度の利率は期待でき、これも十分に「お宝」と言える水準です。
一方で50代の方は投資に向かっている割合が相対的に低く、就職氷河期世代と重なっていることも無関係ではないでしょう。給与の実質的な目減りが続いたこの世代は、投資に向かいたくても向かえない構造的な問題を抱えている可能性があります。
女性に目を向けると、老後資金を準備している割合が男性より高く、特に30代以降では75%近くに達しています。長寿である分リスクが大きいこと、子育てによって年金受給額が低くなりやすいことが影響していると思われます。ただし預貯金の割合が依然高く、30代以降の女性でも51.4%が預貯金で老後資金を準備しています。
また保険を選んでいる割合も全世代にわたって高めで、30代の女性が加入しているのは予定利率1%程度の商品であることがほとんどです。インフレに負ける可能性が高く、30〜40年という長期にわたって積み立てを続けることを考えると、修正が利きにくい状況です。若い世代の中で投資に向かう人とそうでない人の二極化が進んでいると感じます。預貯金で老後資金を準備した場合と有価証券で準備した場合では、将来的に大きな差が生まれることが予想されます。
個人年金保険等が人気な理由(10:01)
個人年金保険が選ばれる理由としては、まず生命保険料控除による節税効果が挙げられます。次に元本保証による安心感、そして保険料が自動的に引き落とされる強制貯蓄の仕組みも支持される理由です。iDeCoも60歳まで引き出せないという点では同様の仕組みであるにもかかわらず、個人年金保険ほど人気がないのは不思議なことです。時代背景も個人年金保険の普及に影響しているでしょう。
貯蓄型保険はいらない(14:26)
貯蓄型保険をお勧めしない理由は大きく3つあります。まず現在の予定利率は1%前後であり、日銀のインフレ目標2%、控えめに見ても1.5%には届きません。20〜30年後に受け取るお金は実質的に目減りしており、例えるならば底に穴の開いたバケツに水を貯めているようなものです。
次に解約返戻率の低さ、つまり資金流動性の欠如が問題です。途中で解約すると損が確定するため継続せざるを得ず、長期間にわたって資金が拘束されます。
3つ目は効率の悪さです。現時点では個人向け国債(変動10年)のほうが利回りが高く、1万円から購入でき1年後には解約も可能です。しかも元本保証で、今後金利が上昇する可能性も高い環境を考えると、個人年金保険より優れた選択肢と言えます。なお、金利が一段と上昇した後に下がり始めるタイミングであれば、高利率を長期固定できる保険は魅力的になり得ます。しかし現在は金利が上昇局面にあるため、長期固定はむしろ不利です。リスクを取れる方であれば、資産運用も取り入れることを検討してみてください。
買った保険どうしたらいい?(17:38)
すでに保険を契約してしまった場合の選択肢は3つです。最も積極的な手段は解約して投資に切り替えることです。2つ目は払い済みにする方法で、以降の保険料の支払いを止め、これまで払った分で保障期間だけを継続するものです。保障額は下がりますが、以降の資金を投資や貯蓄に回すことができます。3つ目はそのまま継続することで、受け取りまで残り期間がわずかな方にはこの選択が合うこともあります。
判断基準は?(18:34)
判断の基準としてまず確認したいのは、残り期間が10年以上あるかどうかです。期待利回り7%で運用した場合、10年間で資産はおよそ2倍になります。つまり現在の解約返戻率が50%を超えていれば、今解約して10年間運用したほうが期待値として有利になる可能性があります。残り期間が短い場合は投資に切り替えてもすぐに資金を使わなければならないため、保険を継続するほうが合理的な場合もあります。
次に、解約返戻率を確認してください。例えば現在45歳で65歳受け取りの保険であれば残り20年あり、7%複利運用で資産は約4倍になります。この場合、解約返戻率が25%を超えていれば投資に切り替えたほうが有利です。加入したばかりで解約返戻率が非常に低い場合は払い済みへの変更が難しいこともあるため、勉強代として割り切って解約し、早期に投資へ切り替えるほうが長期的には得策です。元本確保型の商品にこだわりがある方は、保険を継続しながら新たな資金の一部を投資に充てるという方法も検討してみてください。
お宝保険かどうか(20:27)
自分の保険がお宝保険かどうかは、契約書類に記載されている予定利率を確認するか、保険会社に電話して聞くことで確認できます。ただし保険名に「変額」とついている商品は予定利率が適用されませんのでご注意ください。
具体的な解約ステップ(20:56)
解約を検討する前にまず確認すべきなのは、自分の健康状態です。毎年の健康診断で要検査の指摘があった場合は必ず医療機関を受診してください。保険をやめた後に保険事故が発生するというケースは珍しくないため、健康面の確認は何より優先すべき事項です。
健康面を確認した上で、次に解約返戻金を確認します。保険会社に電話すれば丁寧に教えてもらえます。払い込んだ保険料と比較して、現時点でどれだけ増減しているかも確認しておきましょう。
続いて残り期間を確認し、前述の判断基準に照らし合わせます。解約が決まったら、解約後すぐに投資を開始することが大切です。解約返戻金を預金口座に放置すると手続きが面倒になってそのままになりがちです。解約と投資開始を一気に進めることを意識してください。
保険は必要な分だけ掛け捨てで入る(22:57)
保険の基本は、必要な保障を必要な分だけ掛け捨てで確保することです。お宝保険の時代でさえ、長期国債や定期預金のほうが高い利回りを得られる手段はありました。保険が強みを発揮できるのは、積み立てながら高い予定利率を長期固定できる環境に限られます。
保険が必要な方は、扶養家族がいる方(死亡保障が必要)、生活防衛資金が不十分な方(医療保険が必要)、そして自動車・火災・自転車・個人賠償責任保険など生活リスクに応じた保険が必要な方に限られます。認知症の家族を持つ方は個人賠償責任保険への加入を特に検討してください。それ以外の方には貯蓄型の保険は基本的に不要です。
まとめ(25:04)
老後資金の準備方法を調査すると、預貯金と個人年金保険等が圧倒的に多く選ばれている一方で、投資の割合は少しずつ増えてきています。長期にわたる資産形成を考えるならば、インフレに対応できる投資を取り入れることが重要です。長期投資・資産分散・時間分散の3原則を組み合わせたアセットアロケーション運用が、多くの方にとって現実的な選択肢となるでしょう。
またこちらの動画「老後資金が減るのが怖い人へ。最初に見直すべきは資産運用より年金と生活費」では、年金と生活費の設計で取り崩し不安を減らす考え方を解説していますのでぜひご覧ください。





