《その投資、大事な資産を失うかも…》50代がやってはいけない投資&やるべきこと5選

50代、60代になってお子さんが巣立ったことで経済的にゆとりが出てきたり、定年が近づいてきて老後についても考えていく中で、投資を始めてみようと考える方も多くいらっしゃいます。

そのような投資初心者に向けて、投資をする上で気をつけてほしいことを「やってはいけない投資」と「やるべきこと」の2つに分けてお話します。

やってはいけない投資の具体例は5つあり、一括投資、一点集中投資、高リスク投資、詐欺的な商品、自分で判断できない投資です。リスクとリターンの関係性についても解説しています。

やるべきことは「老後資産設計」です。家計の見直し、将来の支出の計算など、具体的な手順を解説します。

キーポイント

やってはいけない投資(00:01:34)

投資は世の中の経済状況に乗っかってその恩恵を受けるということです。自分の事情(元本割れはしたくない、高利回りを得たいなど)を優先してしまうと失敗します。

投資を成功させる上で重要なことは、長期投資、資産分散、時間分散を必ず守ることです。

以下に挙げる5つの「やってはいけない投資」は、上述した3つの基本ができていないのでおすすめできないのです。

● 一括投資

今まで貯めてきたお金や退職金を全て投資してしまうと、値下がりした時に精神的に耐えられなくなってしまいます。いままで「自分は大丈夫だ」と言って一括投資をしてしまい、いざ値下がりした時に狼狽売りしてしまう人をたくさん見てきました。

たった1%の値下がりでも、1,000万円投資していれば10万円です。期待利回り5%だとすると、資産がマイナス15%になる可能性は普通にありえます。150万円のマイナスに耐えられるでしょうか?

また、高値づかみになるのではないかと考えてなかなか投資を始められない人もいます。

老後までの投資期間があまりないからと焦って投資してはいけません。多額の投資資金が手元にある場合、5年間(60ヶ月)ほどかけて時間分散しましょう。

● 一点集中投資

一つの投資商品に全資産を投じてしまうことです。万が一その投資先が倒産したり、大幅な下落が起きたりすると資産が全てなくなってしまいます

何種類かのファンドを購入して資産分散しているつもりでも、実際は偏っているという場合もあります。例えばS&P500とオールカントリーの2つに分けているような場合です。この2つはどちらも株式ファンドでほとんどがアメリカです。

よほどの知識と選定眼があれば別ですが、資産分散が投資の基本であることを忘れないでください。

● 高リスク投資

ハイリターンな商品は裏を返せばリスクも高いということです。ここで言うリスクとは「価格変動リスク」です。投資したお金が増えたり、減ったりする変動の幅です。

元本割れしない商品=無リスク資産です。個人投資家が購入できるものは個人向け国債変動10年があります。この商品の利息は2024年7月現在で約0.005%となっています。

これ以上の利回りを求める場合は基本的には利回り1%につきリスクが4%と考えます。つまりリスクは利回りの4倍です。

商品を選ぶ際にはリスクも理解して判断する必要があります。

● 詐欺的な商品

詐欺ではないけれど、仕組みを理解していなければ詐欺のように感じる商品も実在します。

代表的なものは毎月分配型投資信託です。毎月決まった割合で配当が得られるのですが、元本を削って配当しているだけの場合もあるのです。

口頭で説明されていなくてもパンフレットには明記されているはずです。50歳と言うことは、いろいろな世の中の酸いや甘いも経験されてきているのではないでしょうか。何もかも手放しで信じるのではなく、自分で調べて理解した上で投資しましょう。

● 自分で判断できない投資

投資において他人に判断を委ねてはいけません

いまはインターネットでなんでも無料で学べる時代です。マネーセンスカレッジのYouTubeチャンネルや公式サイトでも投資の方法論について十分お話ししています。

それなのに「〇〇に投資するのはあっていますか?」「〇〇の投資方法はどうですか?」と言う質問が後を絶ちません。

理解した上で他人に任せるのはOKですが、自分が理解できない、判断できないものに投資するのは危険です。

やるべきこと(00:36:16)

50代でやるべきことは老後資産設計、つまりファイナンシャルプランを立てることです。老後になってから慌てても間に合いません。

まだ考えたことがない方はもちろん、既に用意できているという方も、抜けている点がないかぜひもう一度考えてみてください。

<老後資産設計の手順>

1)家計の見直し

まず、今の生活がどのようなレベルなのかを把握しましょう。

年金は今の収入より大幅に少ないですので、今のままの生活を続けようと思ったら多額の自助努力が必要になるかもしれません。

関連動画を参考にしていただければ自分自身で家計診断が可能です。

2)将来の支出の計算

今思いつく範囲の金額を全て書き出してみましょう。関連動画の概要欄に無料で使える計算表のテンプレートがありますのでぜひ活用してください。

3)退職金の確認

80%を超える人が退職1年前までに退職金の金額を知らないというアンケート結果がありますが、会社には退職金規定というものがありますので勤続年数などから計算することができるはずです。

わからなければ総務や人事の方に問い合わせてみると教えてもらえると思います。

4)年金額の確認

毎年誕生日付近に日本年金機構から届くハガキに書かれています。また、ねんきんネットにアクセスすればいつでも概算の年金額を知ることができます。

注意しなければならないのは、表示されている金額から税金や社会保険料が引かれるということです。実際に手元に入るのはおおよそ8割程度になります

5)年金受給開始時期の検討

年金には、繰上げ支給と繰下げ支給という年金の開始時期を選べる仕組みがあります。

65歳を基点として、65歳より前からもらい始める場合は繰上げ支給と言います。この場合、1ヶ月繰り上げるごとにマイナス0.4%の年金となります。

65歳より後にもらい始める場合が繰下げ支給です。繰下げ支給の場合は66歳以降75歳までの期間で1ヶ月繰り下げるごとにプラス0.7%となります。10年間繰り下げた場合、84%の増額となりますが、その間の生活費をどのように工面するかを考えなければなりません。

自分の資産と、基本の年金額がわかったら年金の開始時期を考えることができます。税金対策についての関連動画もありますのでぜひご覧ください。

まとめ

50代、60代になってから投資で失敗して資産が大きく目減りしてしまうと老後の生活が破綻してしまいかねません。

今まで投資をしたことがないという方は、やはり王道中の王道の投資方法で始めてほしいと思います。

また、今まで老後資金について考えたことがない、まだ十分な金額ではないという場合は急いでとりかかる必要があるでしょう。投資を使えば確かに貯蓄の速度は上がりますが、ウルトラCとか万能でバンバンお金が増えるようなものではありません。そのようなものは世の中に存在しないのです。

まず今日からできることは、今の自分の生活レベルを確認し、将来の生活について考えてみることです。

豊かな老後生活のために共に行動していきましょう!