【生命保険離れ】解約が過去最高…その保険、本当に必要ですか?
生命保険の解約が急増しているというニュースが報じられました。少し前の話になりますが、3月26日に日本経済新聞が、生保の解約金が3.8兆円となり、四半期ベースで過去最高を更新したと伝えています。
背景として挙げられているのは、金利の上昇です。個人向け国債などの金利が上がったため、そちらへ乗り換える動きが広がっているという内容でした。4兆円に迫る勢いで右肩上がりに増えています。生命保険会社にとっては、解約の増加が課題の一つになっているようです。
投資信託や国債へのマネー流出は本当なのか?(1:15)
解約された資金が本当に投資信託や国債へ流れているのか、家計の金融取引のデータで確認してみました。投資信託や国債、債券に投資された金額は、2024年10月から12月期で2兆6000億円でした。2025年10月から12月期には3兆9000億円となっており、1兆3000億円、率にして約52%も増えています。国債だけを見ても、5000億円前後から7000億円ほどへと約39%増えています。全体としては、およそ5割増という勢いです。
日経新聞が前年同期比で5割増と書いているのも、この数字と整合しています。解約金の増加額と投資資金の増加額もおおむね近い規模なので、解約したお金の多くがこちらへ流れていると見てよさそうです。もちろん全額が移っているわけではありませんが、実感にも合う動きです。
解約されているのは主に貯蓄型の保険です。資産運用の手段として選ばれている金融商品なので、解約してより利回りの高いものに乗り換えるのは自然な行動だと考えています。予定利率が低く設定された保険を解約し、利回りの高い個人向け国債や、新NISAなどを使った投資に資金を移すケースが多いようです。
会員から最初に必ずと言っていいほど聞かれるのが、今持っている保険をどうすればいいかという質問です。その際には、次のように考えてみてくださいとお答えしています。たとえば解約返戻金と同じ額の現金を持っていたとして、その現金でこの保険商品を買いたいと思うかどうかを自分に問いかけてみるのです。買わない、その現金があれば他の資産に運用する、という答えになるなら、解約して次へ進めばよいでしょう。
運用利回りを考えるときは、満期やそのお金を使うまでの期間が目安になります。10年ほどあれば投資に向いた期間といえます。解約返戻金を受け取ると多少の元本割れになることが多いのですが、割れた分を取り返せるかどうかを見るのです。契約によって差があるので、シミュレーションサイトで簡単に試算できます。取り戻せる額が小さくて損得がほぼ同じなら、わざわざ動く価値はありません。逆に大きく上回るのであれば、乗り換えを検討する価値があります。ざっくり計算するだけでも結果は大きく変わりますし、生命保険料控除などの要素も考慮したうえで、最終的にはご自身で判断していただければと思います。
過去には非常に有利な「お宝保険」もありましたが、それ以外で予定利率が低い保険は、乗り換えが進んでいるというのが現状です。付き合いのある保険会社の販売員の方に聞いても、貯蓄型の保険はもう一切売れず、お客様から声もかからないそうです。お客様に運用の方法を教えられないので、保険を勧めることはあっても、その先は案内できないとのことでした。
生命保険は基本的に不要(5:41)
このチャンネルでは、保険は基本的に不要だとお伝えしています。生命保険の多くは死亡保障の保険ですが、お一人様には必要ありません。お子さんのいないご夫婦も、基本的には不要です。どちらかが亡くなっても、残された方が生きていけるからです。
ただし、夫婦のどちらかが専業主婦(主夫)で収入がない場合、働いている方が亡くなると家計が破綻してしまう可能性があります。この場合は保険が必要かもしれません。損害保険についても、車や自転車に乗るなど、生活スタイルに応じて必要なものには入ってください。そうしたものに乗らないのであれば、基本的には不要です。
医療保険を勧められることもありますが、日本には公的医療保険があります。会社員なら健康保険、自営業の方なら国民健康保険に入っていて、自己負担は3割です。さらに高額療養費制度があり、平均的な収入の方なら月10万円程度が負担の目安になります。年間の上限もあるので、ある程度の預貯金や資産があれば、医療保険も基本的には不要だと考えています。
大学を卒業して独立したばかりで、まとまった資金がない方は別かもしれません。しかし、生活防衛資金として1人あたり100万円程度を目安にして、それを超える貯蓄があるなら、基本的には不要です。
死亡保障が必要な人(7:37)
とはいえ、必要な人は必ず入っておくべき保険もあります。生命保険の死亡保障が必要なのは、どんな人でしょうか。判断の基準は、自分にもしものことがあったときに、経済的に困る家族がいるかどうか、言い換えれば扶養する家族がいるかどうかです。
たとえば、お子さんがまだ小さく、奥様が専業主婦で働いたことがない場合を考えてみてください。40代、50代で急に社会に出るのはかなり厳しいはずです。そうした場合には、一定額の保障が必要になります。親御さんを扶養している方にも保険は必要かもしれません。
ここでいう扶養は、法律上や社会保険上の扶養という意味ではありません。経済的に守らなければならない家族がいるかどうか、という意味です。そういう方がいるなら、保険に入っておくとよいでしょう。
入り方としては、掛け捨ての保険をお勧めします。今回の解約ラッシュの対象になっている積立型、つまり貯蓄型の保険は一度契約するとやめにくいのが難点です。途中でやめると減額されてしまい、これまで払った保険料が全額戻ってくるわけではありません。一部には戻ってくる商品もありますが、それなら自分で運用したほうがよいでしょう。保険の保障は掛け捨てで、必要なときに必要な額だけ入るという考え方がよいと思います。
必要な保障額の計算方法(9:04)
必要な保障額は、次のように考えます。まず、もしものことがあった場合に、それ以降にかかる支出をすべて書き出します。遺族の生活費としては、住居費や食費、光熱費などがあります。お子さんがいれば、大学卒業までの教育費も必要です。住宅ローンや葬儀費用も加えます。葬儀費用は数百万円に上ることもあるので、含めておいてください。
次に、入ってくるお金を書き出します。遺族年金には遺族基礎年金や遺族厚生年金があります。現在の預貯金もあります。配偶者が働いて得る収入も入ってきますし、死亡退職金や企業からの弔慰金があればそれも含めます。支出から収入を引いた額が不足額なので、その不足額をカバーできるだけの保険に入れば十分です。
この書き出しが難しいという方は、生活費から考えてもかまいません。たとえば夫婦と子ども2人の4人世帯で、子どもが大きくなっていれば、貯蓄や投資を含めた生活費は平均的な家庭で月50万円ほどでしょう。子どものいる世帯の収入が税引き前で700万円超というデータもあるので、妥当な金額だと思います。
1人亡くなると3人世帯になるので、生活費を引き直します。4人世帯で月50万円の家庭は3人になると43万3000円ほどで済みます。この金額と、残された配偶者の収入を比べます。1馬力になるので収入だけでは足りないでしょう。そこに遺族年金を加えても、まだ足りないはずです。この不足分を、毎月の死亡保障として受け取れるようにします。
こうした保障に向いているのが収入保障保険です。もしものことがあった月から、65歳までなど決められた期間にわたり、毎月10万円や15万円を受け取れる保険です。これに入っておけば、家計の不足分を埋められるので、生活を今までどおり続けられます。
残るのはお子さんの教育費です。目安は簡単で、私立文系・自宅から通学というパターンなら、1人あたり1000万円ほどを見込み、22歳までの定期保険に入れば対応できます。私立の中学や高校に通う場合や、理系・下宿の場合は、もっとかかる可能性があるので、その分は上乗せしてください。
収入保障保険で選べる月額は10万円、15万円、20万円といった幅で、定期保険なら1000万円、1500万円、2000万円といった幅です。ざっくり計算した不足額を上回る額を選べば、基本的には十分に機能します。不足額を下回る額で入ってしまうのは避けてください。
遺族年金(13:14)
遺族年金の金額が分からないという方も多いと思います。仕組みが複雑なので、確かに分かりにくいですね。しかも、2028年以降に制度が改正される予定です。まだ決定はしていませんが、今後は変わっていきます。
改正後の話ではありませんが、現行制度の遺族年金については、すでにYouTubeで解説しているのでそちらをご覧ください。
まとめ(14:12)
生命保険の解約が進み、解約されたお金が投資信託や国債に流れているのではないかという話でした。流入額の規模は解約金の規模と近いので、かなりの程度当たっていると考えています。
会員制でもこれまで入っていた保険をどうするかという相談をよく受けます。若い方の場合は、解約して運用するほうが経済的に合理的だという判断になることが多いです。死亡保障が必要な場合は、別に掛け捨てで入り直してください。扶養する家族がいないのに死亡保障付きの保険に入っている方も見かけますが、もったいないと感じます。そうしたケースでは、解約して運用することも検討する価値があります。
解約して運用したらいくらになるのかは、ぜひ計算してみてください。10年以上の期間があれば、元本割れを取り返せることが多いと思います。解約返戻金が分からない場合は、保険会社に電話で問い合わせればたいてい教えてもらえます。
保険は掛け捨てで入るものであり貯蓄型で入るものではないというのはこのチャンネルで常にお伝えしていることです。浮いた保険料は手元に置き、新NISAなどで運用すれば資産形成をより加速させることができます。ぜひ検討してみてください。
またこちらの動画「《生活レベルの考え方》2人→3人 家族が増えた時の生活費どうすればいい?」では、新婚夫婦や子どもが生まれる家庭に向けて、家族の人数に応じた生活費の考え方と、出産を見据えた家計管理について解説していますのでぜひご覧ください。





