楽天証券が進化!投資の「待機資金」どこに置くのが正解?
楽天証券で「らくらくマネー運用」というサービスが使えるようになりました。簡単に言えば、MRFが進化したものです。あわせて米ドル建てのMMFも進化し、これまで対応していなかった自動解約の機能が付きました。
以前から、いずれ作ってくるだろうと見ていた機能です。いわゆる完全版のMRFになったと言ってよいでしょう。数年前のMRFでは、こうした設定はできませんでした。今回は、自動解約をするか、自動買付をするかを、それぞれ設定できるようになり、かなり便利になっています。
「らくらくマネー運用」とは(0:54)
らくらくマネー運用とは、株式や投資信託などを売却したときの資金を、自動的に楽天・マネーファンド(MRF)や米ドルMMFで運用してくれるサービスです。運用中の資金は、株式や投資信託を購入する際の資金としてそのまま使えます。資金を移動させる手間がなく、円資金にも米ドル資金にも対応しているため、待機資金を効率よく活用できます。
資金面では、これまで楽天銀行のマネーブリッジが、預金金利が付く仕組みとして使われてきました。ところが国債などの金利が上がってきたため、預金よりもMRFのほうがよいというニーズが出てきています。MRFの金利は預金よりやや高めになりやすく、1年物の定期預金より下くらいの水準です。
MRFは投資信託の一つなので元本保証ではありませんが、元本リスクをほとんど取らない商品で、これまで元本割れしたことはありません。銀行預金には1,000万円までというペイオフの上限がありますが、ファンドは分別保管されるため、できるだけ安全に運用しつつ金額の上限は付けたくないという資金にも向いています。投資資金は大きくなりがちで、1,000万円を超えるケースも珍しくありません。そうした資金の置き場所としてニーズがあります。
らくらくマネー運用を使うと、楽天・マネーファンドのMRFを自動で解約して購入に充ててくれます。売却した資金は、自動でMRFを買い付けてくれます。昔のMRFを使っていた方にとっては、元に戻ったということになり、懐かしい仕組みです。
米ドルでも同じことができたらよいという声に応えて、米ドルMMFも自動解約と自動買付に対応しました。昔も米ドルMMFで自動解約や自動買付はできたので、これも元に戻った形です。米国株式や米国ETF、金利が上がっている外国債券などを購入するために、ドルコスト平均法で米ドル資金をコツコツ貯めている方もいるでしょう。そうした資金を外貨預金で置いていた方も、米ドルMMFで購入できます。米ドルのまま置いておけるので、為替手数料などを払わずに、連続して購入したり、解約して資金を一度寝かせたりできます。
直近の利回りは、MRFが1.079%、米ドルMMFが3.413%です。米ドルMMFは高い水準です。マネーセンスカレッジが全世界投資のアセットアロケーション運用の話を始め、25年ほど前にサービスを始めた頃と同じくらいの利回りに戻ってきています。MRFはまだ低めですが、当時はもう少し下がっていたはずで、かなり良い利回りになってきました。
外貨建てのMMFは、楽天の米ドルMMF、ゴールドマン・サックス、日興の3つが購入できます。このうち自動解約と自動買付に対応しているのは、楽天の米ドルMMFだけです。金利も高めです。ただし、外貨MMFには過去に元本割れが起きたことがあります。エンロンという会社が破綻した際、これに投資していた外貨MMFが紙くず同然の損失を被ったのです。その中で、野村の米ドルMMFだけはこれを回避しました。できるだけ安全に運用されているものの、制度上は元本割れが起こりうる商品です。この点には十分ご注意ください。
スイープサービスとの比較(6:00)
自動解約・自動買付のサービスと似たものに、銀行のスイープサービスがあります。楽天銀行ではマネーブリッジがこれにあたります。マネーブリッジがなくなるのかというと、そうではなく存続し、併用もできます。
違いは次のとおりです。楽天・マネーファンドのMRFは楽天証券の中で完結し、証券口座内の預かり金をMRFに置き換える仕組みです。一方、自動スイープサービスは、楽天銀行と楽天証券の間でお金をやり取りします。楽天証券で購入するときも、楽天銀行にお金があれば、自動スイープによって購入できます。
併用した場合の資金利用順位(MRF自動解約)(7:04)
楽天証券で円貨の商品を買う場合、資金が使われる順序は決まっています。最初に使われるのは預かり金、つまり証券口座に振り込んだ状態のお金です。次に、自動解約を設定していれば、楽天・マネーファンドのMRFが使われます。それでも足りない場合に、マネーブリッジを設定していれば、楽天銀行から資金を持ってきてくれます。この3段階の順序です。
使い方はいろいろあります。たとえば、マネーブリッジの設定を切っておき、投資資金は楽天証券に入れてMRFで運用する方法があります。その中で投資していくやり方です。
一方、楽天銀行も含めて全部が投資資金だと考えるなら、マネーブリッジを設定しておけば、購入できないという事態は起きなくなります。楽天銀行に投資資金を振り込むだけで、一連の流れが完結します。
MRFと銀行預金は、通常はMRFのほうが金利は高いといわれます。ただ、そのときにどちらが高いかを見て使い分けることもできます。
自動買付の優先順位(8:32)
続いて自動買付です。こちらにも条件や優先順位があるので確認しておきましょう。自動買付とは、売却代金が預かり金として入ったあと、それを自動的にMRFの購入に充てるサービスです。
自動買付の金額は、同一受渡日の国内株式と投資信託の売却代金の合計額です。振り込んだ資金が対象ではなく、売却代金が自動で買い付けられます。
注文が発注されるのは、受渡日の前営業日の16時です。売却を発注した時点や約定した時点ではありません。その後に株式の取引などをすると状況が変わってしまうため、タイミングは一度確認しておくとよいでしょう。
注意書きにもありますが、自動買付の時点で預かり金が買付予定額より少ない場合は、預かり金の範囲内で注文が成立します。そのため、売却後にお金を引き出したとしても、残った範囲内で購入してくれます。
米ドルMMFには為替リスクがついてくる(10:06)
ここまで円のMRFの自動解約と自動買付を見てきましたが、米ドルMMFにも同様のサービスが生まれました。ただし、米ドルMMFには為替リスクがついてきます。
たとえば、1ドル160円のときに100万円をドルに換えて外貨MMFを買うと、約6,250ドルになります。これを年3%で1年間運用すると、6,438ドルです。ドルベースでは3%のプラスです。ところがその間に為替が160円から150円に変わると、円換算では96.6万円になり、マイナス3.4%となってしまいます。利息よりも為替の動きのほうが大きいため、為替の影響が基本的に勝ちます。これが逆に動けば大きく儲かりますが、円高方向に動くと、円建てでは目減りしてしまいます。
さらに、税金や手数料を考えると、話は複雑になります。特に最高裁の判例が出たため、税金の扱いはより複雑になりました。税金については関連動画で解説しているので、そちらも合わせてご覧ください。為替リスクがあることと、税金の計算が面倒であることを踏まえ、外貨で運用する場合は十分に気をつけてください。
マネーセンスカレッジでは、外貨建て商品は基本的に必要ないとお話ししています。使うこと自体は否定しませんし、好きにしていただいて構いません。ただ、基本的にはおすすめしていません。長期投資をしている方が待機資金を活用するためのサービスとして、MRFや外貨MMFがある、という位置づけです。
長期投資をする人にとって「待機資金」とは何か(11:30)
待機資金とは、どのようなお金でしょうか。たとえば、まとまった資金があり、それを時間分散して、ゆっくり投資していくとします。マネーセンスカレッジでは5年かけて分散することを勧めていますが、その投資を待っている資金が待機資金です。
ただし、1年以上待たせることになるお金なら、MRFももちろん良いものの、もっと期間の長い商品も候補になります。期間が決まっているなら、新窓販国債の2年や、個人向け国債の3年も使えます。金利を比べながら、MRFと使い分けてください。
待機資金は、基本的に元本確保型の商品で扱うのが原則です。せっかくリスクを取らずに時間分散をしようとしているのに、待機資金で元本割れしてしまうと、時間分散の意味が台無しになります。その意味では、MRFは厳密には元本保証ではないものの、これまで元本割れしたことがなく、元本割れしないように運用されているので、対象の一つになります。1年以内に使うお金の置き場として、普通預金より良い選択肢でしょう。ぜひ活用してみてください。
まとめ(13:01)
MRFも基本的には債券運用です。債券運用の基本は、使うまでの期間です。購入代金も含めて、使うお金として考えてください。
MRFはいつでも解約でき、いつでも買い付けできます。普通預金の感覚で使えるもので、証券会社の普通預金版と考えるとよいでしょう。1年以内に購入する資金としては、MRFが適しています。2年先以降に使う資金については、個人向け国債なども利用するとよいでしょう。
またこちらの動画「【最高裁判決】外貨建て投資はもう必要ない。“円建て投資で十分”な理由とは?」では、外貨建て投資で為替差益への課税が生じる取引や、複雑な税金の計算を避けるために円建て投資を選ぶ考え方を解説していますのでぜひご覧ください。





