楽天証券の「NISAらくらくお守り保険」は本当に必要?公的保障と比較して徹底解説!

楽天証券が新たに発表した「NISAらくらくお守り保険」は、万が一の収入減少時に積み立て投資を継続するための保険です。
日本初の試みとして注目されていますが、本当に必要な保険なのか、経済的合理性があるのか気になるところです。

本記事では、保険の内容、公的保障との比較、そして加入するかどうかの判断基準について詳しく解説していきます。

キーポイント

楽天証券が発表した「NISAらくらくお守り保険」とは? (00:00:55)

楽天証券が発表した「NISAらくらくお守り保険」は、病気やケガで働けなくなる場合を想定した投資家向けの新しい保険商品です。この保険の特徴は以下のとおりです。

  • 毎月の所得を保証:病気やケガで働けなくなった際に、一定額の給付金が受け取れる
  • 精神障害も補償対象:メンタルヘルスの問題で働けなくなった場合も保障される
  • 医師の診断不要で加入可能:加入のハードルが低く、申し込みが簡単
  • 楽天ポイントが貯まる:楽天証券らしいユニークな特典
  • 最短1分で申し込み可能:Web上で手軽に申し込める

この保険は、「就業不能保険」の一種で、通常の保険よりも安価で加入できる団体保険形式となっています。楽天証券の口座とNISA口座を持っている人が対象となり、就業不能になっても投資継続をサポートするコンセプトです。

しかし、本当に投資を続けるために保険が必要なのでしょうか?

「NISAらくらくお守り保険」は本当に必要?投資資金と保険の関係 (00:02:00)

投資は基本的に「余剰資金で行うべき」とされています。つまり生活に必要な資金を確保したうえで、余ったお金で投資をするという考え方です。

しかし「NISAらくらくお守り保険」は、収入が途絶えたときでも投資を継続できるようにするものです。一見魅力的ですが、保険金をもらうということは、すでに保険事故が発生している状態であることを忘れてはなりません。

したがって、収入が途絶えたときにまず考えるべきは、投資の継続ではなく生活の立て直しです。
つまり保険に加入するよりも生活防衛資金を確保する方が得策でしょう

就業不能保険とは?一般的な特徴と楽天の保険の違い (00:02:56)

就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった場合に一定期間収入を補償する保険です。楽天証券の「NISAらくらくお守り保険」もこのタイプに該当します。

一般的な就業不能保険は、例えば30代男性が月20万円の保障を受ける(最長で60〜65歳くらいまで)場合、月額4,000〜5,000円くらいの保険料を支払うことになります。

ちなみに全人口のうち保険事故として認められる確率は約2%未満です。この事実から鑑みると、修業不能保険が本当に必要かどうかは疑問です。

ここで大切なのは、この保険料が将来的な不安を払拭するために支出すべきなのか、他にもっと経済的合理性の高い方法はないのかを精査することでしょう。

保険に入る必要はない (00:05:36)

日本には充実した公的保障があるため、多くの場合は民間の保険に加入しなくても生活を維持できます

ただし、以下の2つのケースでは公的保険以外に保険に加入しておいた方がよいかもしれません。

一つ目は、自分がいなくなると生活に困る扶養家族がいる場合は、死亡保険が有効です。

もう一つは、収入がなくなった時に当座をしのぐための生活防衛資金(目安は3〜6ヶ月分の生活費で、100万円くらい)が不足している方です。

公的保障とは (00:07:52)

サラリーマンが働けなくなった場合は、加入している健康保険から傷病手当金が支給されます。
最長1年半、給与の約66%(手取りの約80%)が支給されます。この間、会社は法律上、従業員を解雇できないため職を失うリスクもありません。

仮に1年半が経過しても傷病が治癒しないとか障害が残った場合は、つづいて障害年金が支給されます。

さらにそれでも生活が難しい場合は、生活保護もあります。

これらの制度を考慮すると、ほとんどの人は追加の保険に加入する必要がないことがわかります。

ただし自営業者はサラリーマンに比べると公的保障が少ないため、就業不能保険に入る選択肢もあるでしょう。あるいは、会社を法人化して公的保障を手厚くする方法もあります。

5,000円を毎月積立投資したらだうなる?(00:16:09)

仮に民間保険に支払うはずの5,000円を毎月7%の複利運用で積立投資した場合、10年後には約90万円になると考えられます。
さらに20年後は250万円、30年後には600万円弱、40年後には1,200万円に達します。

こう考えると、就業不能になるかわからない中で保険料を支払うより、月に5,000円でもNISAで積立投資をした方が、現実的には旨みがあると考えられます。

まとめ

「NISAらくらくお守り保険」は新しいタイプの保険ですが、公的保障と比較すると加入の必要性は低いと言えます。生活防衛資金を確保し、公的保障を理解することが、投資家の皆さんにとってはより経済的合理性に優れた選択につながるでしょう。

まずは、保険に頼らない資金管理を目指すことが大切です。

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