NISA新制度2年目の課題:日本株への誘導は正しいのか?
本記事では、NISA新制度2年目の課題として浮上している「日本株へのインセンティブ付与」の是非について考察しています。
NISA口座の開設数が減少する一方、米国株への資金流入が加速している現状を踏まえつつ日本株投資の潜在力や将来性について深掘りします。
投資初心者から長期投資家まで資産運用を検討する全ての方に役立つ情報が満載です。
キーポイント
NISA口座開設数減少の背景(00:00:30)
2024年1月にNISA新制度がスタートした際、口座開設数は急増しました。しかし、その後は徐々に減少し2024年10月には14万件まで落ち込んでいます。
20歳以上の約7割の日本人が依然としてNISAを活用していない状況です。
メディアでは「日本株へのインセンティブをつけるべき」という論調が目立ちます。背景には、外国投資信託(特に米国株)への資金流入が過剰で日本株への投資が限定的だという懸念があります。
NISA改革案の改革は必要?(00:02:59)
現場は、米国株にNISA全体の買い付け額の3割、投資信託に半分、そしてもう半分は日本市場とそれ以外に投資されているのであれば極めて健全な状態と考えられます。
確かに現在の日本株は米国に比べて割安なため、もう少し投資されて良いかもしれません。
ただ最近では日本市場の盛り上がりが顕著で、低評価だったNISA開始当時では考えられなかった水準に達しているのも事実です。
日本株は「バリュー株」が多く、今後の成長ポテンシャルを秘めています。特に、世界のトレンドに乗る企業や新技術を活用する企業には大きな期待が寄せられます。
投資の神様ウォーレン・バフェットが日本の商社株に投資したことで、一気に日本株の見直しが進みました。これを機に、海外投資家の関心も高まっています。
AI時代とインターネット黎明期(00:06:47)
AIの時代はインターネット革命に似ていると考えられます。1995年のWindows95の登場がIT革命の幕開けであったように、AIもまた新しい時代の幕開けです。
日本はプラットフォームを創設するのは得意ではありません。しかし、それを活用して進化・普及させるのは得手です。
国が過度に介入せずに民間が自由に開発・導入できる環境を整備すれば、日本発のAI技術を海外にも展開することによって国際競争力が高められるはずです。
日本も捨てたもんじゃない(00:10:07)
日本はインフラ事業が強みであり、それを諸外国に販売しつつ国の成長を支援する力があります。
とはいえ決して100%信頼できるわけではありません。特に円安の現在ではドル建てで資産を保有している方が有利な面もあるでしょう。
したがって日本株だけに特化するのではなく、アセットアロケーション運用(全世界投資)を基本としてバランスのとれた投資をすることが大切です。
こうした考えから改めて現状を分析すると、国内外に程よくバランスがとれた投資割合が維持できていると考えられます。
ドメスティックリスク(00:12:11)
「ドメスティックリスク」とは、自国にしか投資しないことによる危険性を意味します。
その考えからすると、インセンティブで無理に日本株へ誘導することでかえって投資家の判断が歪む可能性があります。投資家が自由に判断できるようにして市場の健全な成長を促すことが、最善の道でしょう。
長期投資家としての目線を持つ(00:13:24)
長期投資家としては特定の資産に偏るのではなく、適切な資産分散(アセットアロケーション)が重要です。
そのためにも今後、国は日本株へと意図的に誘導するのではなく、むしろ規制を緩めて使いやすい制度設計をしていくべきでしょう。
そうなればインセンティブをつけなくても魅力ある日本企業への投資が自然と行われるようになるはずです。
まとめ
NISA改革案における日本株へのインセンティブ議論は、投資家の自由な選択を歪める可能性があります。日本株の魅力が自然に高まれば、投資家は自ずと日本株に資金を向けます。
NISA制度の今後の進化に期待しつつ投資家自身が冷静かつ柔軟な判断で資産運用を行うことが、より豊かな未来への第一歩となるでしょう。
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