老後の資産設計を成功させる!年金の「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」の選び方
老後資産設計において「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」は避けて通れない重要な選択肢です。この選択が将来の生活に大きな影響を与えるため、正しい情報を元に判断することが求められます。
本記事ではそれぞれのメリットとデメリットを分かりやすく解説し、老後の生活が破綻しないための計画方法をご紹介します。読者の皆さんが、自分に最適な選択を見つける一助となれば幸いです。
キーポイント
年金受給の選択肢と現状の課題 (00:00:00)
年金の受給には「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」の2つの選択肢がありますが、9割以上の人が65歳で受給を開始しています。
しかし選択肢の理解が不足している場合、損をする可能性があります。そこでまず繰り上げ受給と繰り下げ受給の基本を整理しましょう。
- 繰り上げ受給: 年金を65歳より早く受け取り始める方法。60歳から受給可能ですが、金額が減額されます。
- 繰り下げ受給: 65歳以降に受け取りを遅らせる方法。受給開始を遅らせるほど、年金額が増えます。
現在の年金制度には財政的な問題が深刻化しており、将来的な受給額の減少が予測されています。そのため受給のタイミングを慎重に選ぶことが重要です。
繰り下げ受給のメリット・デメリット (00:01:30)
メリット
- 年金額の増加: 繰り下げた1か月ごとに0.7%(2022年以降は0.6%)増額。75歳まで繰り下げると最大84%増額されます。
- 長寿リスクへの対応: 長生きした場合、総受給額が増えます。
デメリット
- 税負担の増加: 増えた年金により、住民税や社会保険料の負担が上がる場合があります。
- 加給年金の受給不可: 配偶者や18歳未満の子供がいる場合でも、加給年金は受け取れません。
加給年金とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が、65歳到達時点で、その方に生計を維持されている配偶者や子(18歳未満または1級・2級の障害状態にある20歳未満)がいる場合に加算される年金です。
長寿の可能性が高い場合は繰り下げが有利ですが、すべての人に適しているわけではありません。
繰り上げ受給のメリット・デメリット (00:03:50)
メリット
- 早期受給で安心感: 生活費を早く確保できるため、特に60歳で引退する人には有利です。
- 減額率の減少:2022年4月から減額率が0.5%から0.4%に減少し最大で24%減と減額自体が少し緩和されました。
- 住民税非課税世帯への道: 収入が減ることで非課税世帯となり、各種社会的支援を受けられる可能性があります。
デメリット
- 総受給額の減少: 減額率が最大24%(2022年以降)で、長生きするほど不利になります。
- 生活費不足のリスク: 減額された年金では老後の生活費を賄いきれない可能性があります。
年金受給のタイミングを損得で考えるべきではない理由 (00:06:30)
年金受給のタイミングは損得だけで考えるべきではありません。本質は「老後生活が破綻しないこと」にあります。
年金受給のタイミングは老後資産設計、つまり老後の生活費+もしものことがあった際の突発的な支出がまかなえるかどうかという観点から考える必要があります。理由としては
- 長期的な生活費の安定: 年金は生活費の基盤です。必要な額をまず把握することが重要です。
リスク管理: 老後の突発的な支出やインフレに対応できる計画が求められます。
老後資産設計の重要性と具体的な計画方法 (00:08:30)
老後生活の安定には、年金以外の資産が欠かせません。特に以下の3つがポイントが重要です。
- 老後生活費の目安を決める: 老後の生活費(例: 夫婦2人世帯の平均的な暮らしで26.5万円)を想定する世帯人数や暮らしのレベルをもとに定めます基準に計算します。
- 平均年金受給額を計算する:想定する世帯数で貰える年金受給額を計算します。
- 必要資産の計算: 現在の貯蓄や年金額からリタイヤ時に必要な金額不足額を計算します。
- 投資と節約のバランス: 長期的な資産運用と支出管理で老後資金を増やす工夫が重要です。
具体的には共働き夫婦が平均の生活レベルを望む場合は、65歳時点で約3250万円の貯蓄が必要とされます。この金額があれば100歳まで安定した生活が可能です。
さらに快適生活を望む場合、共働き夫婦なら65歳時点で約4,840万円の貯蓄が必要になります。
仮にこれだけの貯蓄がある場合、生活の仕方には以下の2つの選択肢があります。
- 運用を続けて、一部取り崩しながら年金をもらう
- 理想の生活レベルになるまで(70歳や75歳まで)このお金を取り崩して生活し、繰り下げ受給をする
一方65歳時点で貯蓄額が約4,840万円に達していない場合は、生き方として以下の2つの選択肢があります。
- 生活レベルを下げる
- 理想の生活レベルになるまで働いて繰り下げ受給をする
いずれにしても最終的にどの選択肢を選ぶかは、ご本人の価値観や人生に対する考え方によることになります。
まとめ
年金受給のタイミングは老後生活の安定に直結します。「繰り上げ受給」か「繰り下げ受給」かを選ぶ際には損得だけでなく全体の資産設計を考慮することが重要です。
記事内で紹介した情報をもとに、ご自身の状況に合わせた計画を立ててみてください。
老後の安心を手に入れるためにも早めに準備を始めましょう!