不労所得で暮らす?“配当金生活”4パターン 

配当金生活や金利生活、不労所得というのは呼び方こそ違えど、毎月コツコツと収入が入ってくる生活には昔から憧れがありました。

今回はその夢を叶えるための方法をいくつか紹介しながら、それぞれのメリットとデメリットを整理していきます。エンターテインメント性も交えながら紹介していきますので、最後までお付き合いいただければと思います。

①預金金利(1:12)

まず取り上げるのは、もっともシンプルな預金金利です。20代後半で会社を売却した際にまとまった資金が手元に入ってきましたが、当時の金利は0.01%程度で、1億円を預けても年間の利息はわずか1万円でした。とても生活していけるような金額ではなく、そこから運用について調べ始め、アセットアロケーション運用という考え方にたどり着きました。世の中にはこの方法を知らない人が多いと感じ、広めていきたいという思いから今の活動を始めた経緯があります。ただし、それは預金や配当を否定しているわけではなく、こうした運用であっても最終的には安全資産を持つ必要があるという考えに基づいています。

以前、40歳で1億円あってもFIRE(早期リタイア)はできないと発信した際に批判を受けたこともありますが、実際に20代で数億円の資産があってもリタイアは難しいというのが実感です。将来が読めないというリスクの大きさを踏まえると、それだけ慎重に考える必要があります。

話を戻すと、預金金利のメリットは元本割れのリスクがなく、仕組みがシンプルでわかりやすい点にあります。利息の水準も安定しており、いつでも引き出せる安心感があります。銀行という存在自体が生活に根付いているため、高齢になっても管理がしやすく、認知症が進んだ場合でも長期記憶に残りやすいという利点もあります。

一方でデメリットは、なんといっても金利の低さです。バブル期のように7〜8%の金利であれば話は別ですが、現状ではインフレに弱いという弱点があります。デフレに戻る可能性は低いと考えられるため、基本的には物価上昇に負けてしまう手段と捉えておいたほうがよいでしょう。資産を増やす効果はない一方で、元本が減る心配もないという意味では、巨額の資産を持つ人にとっては選択肢の一つになり得ますが、多くの人にとっては現実的とは言えません。

②個人向け国債(4:17)

続いては個人向け国債です。最近では5年物でも2%程度の金利がつくようになってきました。国が発行しているため安全性は高く、変動10年タイプであれば金利上昇にも対応できます。預金よりも利回りが高く、元本割れのリスクもほぼありません

ただしデメリットとして、利息だけで生活しようとすると大きな元本が必要になります。仮に2%の利回りで年間300万円を受け取ろうとすると、1.5億円もの元本が必要になる計算です。また、10年物であっても株式ほどの利回りは期待できず、購入から1年間は原則として中途換金ができないという制約もありますが、これは大きなリスクとは言えません。インフレに勝てるかといえば、勝てるには勝てても、その分使えるお金が減ってしまうという側面があります。

元本を減らさない前提であれば、実質的に使えるのはインフレ分を差し引いた金利部分だけになるため、かなり厳しい水準と言えます。資産を増やす力がないという点では、預金とほぼ同じ性質を持つ手段と考えてよいでしょう。

③高配当株・高配当ETF(6:00)

3つ目に紹介するのは高配当株や高配当ETFです。ここからようやく現実的な選択肢になってきます。株式であれば年に2回程度、ETFの中には毎月分配のものもあり、多くは年に数回配当が支払われます。定期的な収入が入ってくる実感を得やすく、加えて株価上昇による値上がり益も期待できます。

高配当株は株価が下落しても配当利回りが上がることで買いが入りやすく、下げ止まりが起きやすいという特徴があります逆に株価が上昇すると利回りは下がり、長期金利と比較されるようになるため、上昇局面では買いが減っていく傾向があります。急激な株価上昇が抑えられる一方で、安定した値動きが期待できるという見方もできます。個別株よりもETFのほうが分散しやすく、分散効果を狙うのであればETFという選択肢が有効です。

代表的な銘柄として、バンガードのVYMは2.3%程度、HDVは2.91%程度、SPYDは4.24%程度の利回りとなっています(7月2日時点)。海外のETFは配当が外貨で入ってくるため為替の影響を受けますが、円安局面には強い一方、円高になれば受け取る金額は目減りします。ただし円高は生活コストの面では有利に働くため、一長一短があります。

デメリットとしては、取り崩しをしない前提であれば株価下落は大きな問題になりませんが、実際に取り崩す段階になるとそのリスクが顕在化します。海外資産であれば為替変動リスクも避けられず、減配や無配になるリスクもあります。高配当をうたうETFであれば無配になる可能性は低いものの、個別株や高配当に偏ったETFに投資を集中させると分散効果は薄れてしまいます。個別株よりはETFのほうが一定の分散は効きますが、高配当や毎月配当だけに偏ると資産形成という観点では不向きになりやすい点は否めません。それでも株価上昇による恩恵も受けられるため、資産の維持という目的であれば選択肢になり得ます。

ちなみにこのあたりから利回りを見ていくと、長期国債の利回りが2.7〜2.8%程度まで上昇してきていることもあり、株式に本当に妙味があるのか、慎重に見る必要が出てきています。SPYDで4%台、それ以外はおおむね2%台という水準を見ると、株価がいかに割高な水準にあるかがうかがえます。

【番外編】毎月分配型投資信託(10:28)

番外編として毎月分配型の投資信託にも触れておきます。株式相場が好調な局面では、株式運用型の毎月分配型であっても基準価格はほぼ横ばいか、緩やかな上昇を保ったまま分配金が支払われ続けることがあります。人気のあるファンドでは、1万円あたり150円程度、年利にして1.5%程度の分配が出ているケースもあり、元本を減らさずに受け取れるのであれば個人向け国債と比較しても遜色ない水準です。個人向け国債は1万円から購入できる手軽さもあるため、必ずしも毎月分配型でなければならない理由は薄れてきます。

実際には多くの毎月分配型ファンドが分配金を元本の取り崩し、いわゆるタコ足配当によってまかなっている実態があり、生き残っているのはごく一部です。株価の上昇が止まれば基準価格が大きく下落する可能性もあるため、直近10年程度の実績だけで判断するのはミスリードになりかねません。あくまで番外編として、参考程度に捉えておくのがよいでしょう。

④インデックス投資(11:45)

4つ目に紹介したいのが、アセットアロケーション運用も含めたインデックス投資です。インデックス投資自体は基本的に無配であるため、そのままでは配当という形の収入は得られませんが、自分自身で取り崩すことによって疑似的な配当をつくり出すことができます。この考え方はまだあまり知られていませんが、政府や金融機関もすでに口座から一定金額、あるいは一定割合を定期的に取り崩す仕組みを推奨し始めています。金融庁も同様の方向性を示しており、手数料のかからない商品を選んだうえで、インデックス投資を行い、必要になった時期から一定金額や一定割合で取り崩していくことが可能です。

この方法のメリットは、高配当銘柄に偏らず、全世界や市場全体に分散投資できる点にあります。資産全体の成長も狙うことができ、世界経済の成長率をおおよそ2〜4%程度と見積もり、そこに株価上昇分を加えると5〜9%程度、二桁には届かないまでもそれなりの成長が期待できます。仮に成長率が5%程度であれば、それを下回る取り崩し率にしておくことで、元本を減らさずに使い続けることも不可能ではありません。仮に資産が目減りしていったとしても、生涯使い切れない範囲であれば問題にならないため、自由度の高い設計が可能になります。

必要な分だけを売却できるという点も大きな利点で、たとえば資産の4%を取り崩していて使い切れずに余っているのであれば、翌年は3%に減らすといった調整も自分自身で行えます。高配当株や毎月分配型は自分で配当額を決められませんが、インデックス投資の取り崩しであれば配当の多寡に振り回されることなく、成長率だけに着目して銘柄選びができるため、成長株を組み入れるといった工夫もしやすくなります。個別株や高配当ETF、毎月分配型は基本的に売却しないことが前提になりますが、インデックス投資は資産設計の自由度が高いという点でも優れています。

一方でデメリットとして、資産を売却すること自体への心理的なハードルや、資産が目減りしていく感覚への抵抗感が挙げられます。暴落時に取り崩すことへの不安もありますが、これは預金と国債以外のすべての方法に共通する課題とも言えます。取り崩しのルールを事前に決めておかないと使いすぎてしまう可能性がある点にも注意が必要で、日々の家計管理をきちんと行えているかどうかが重要になります。もっとも、資産形成に取り組めている時点で家計管理ができていないということは考えにくく、むしろ現役時代にしっかり貯蓄できていた反動で、引退後に使いすぎてしまうケースがまれに見られる程度です。生活が大きく変わる引退のタイミングでは注意が必要ですが、日頃からきちんと運営できている人であれば、大きな問題にはならないでしょう。

定期売却サービスを利用すれば自動的に取り崩すことも可能ですが、金額の調整は自分で行うことになるため、完全な「自動感」があるわけではありません。むしろ自分でコントロールしている感覚を持てる点はメリットとも言えますが、それを物足りなく感じる人もいるかもしれません。配当としてではなく元本を取り崩している感覚が拭えない点は、リテラシーや捉え方次第という部分もあります。

インデックス投資の取り崩しに向いている人(16:58)

この方法が向いているのは、資産形成期からアセットアロケーション運用やインデックス投資を一貫して続けてきた人ですそうした人はリタイア後もスムーズに取り崩しのフェーズへ移行できます。一方で、引退の段階になって急にこの方法を始めようとする人には、あまり向かないかもしれません。

総合的におすすめしたいのは、アセットアロケーション運用を行いながら定期的に取り崩していく方法です。これから資産を作っていく人が多いことに加え、資産形成の延長線上でそのまま取り崩しに移行できる点が理由です。定期売却サービスはすでに金融機関でも推奨されており、今後さらに整備が進んでいくと見られます。店舗型の証券会社でも利用できるようになっていくと予想されるほか、SBI証券や楽天証券であればすでに無料でこのサービスを利用できます。設定さえしておけば自動的に売却してくれるうえ、使いすぎていると感じれば減らし、逆に余裕があれば増やすといった調整も可能なので、自分なりのルールを決めながら運用していくとよいでしょう。

物価連動債(18:21)

最後に、時事的な話題として物価連動債にも触れておきます。アメリカにはすでに30年物の物価連動国債が存在しており、個人でも購入が可能です日本ではようやく10年物の物価連動国債を検討し始めた段階ですが、発行する国側のリスクもあるため、各国とも基本的には10年物が主流となっています

それでも、たとえば40歳でリタイアするようなケースを考えると、30年物であれば70歳まで金利を固定でき、その間物価上昇にも連動してくれるため、年金の受給開始年齢まで無理なくつなぐことができます。元本が0になることもなく、満期を迎えたあとも同じ方法で運用を続けるか、そこから取り崩していくかを選ぶこともできます。30年という期間があれば、40歳でのリタイアは難しくても50歳でのリタイアであれば80歳までをカバーできる計算になり、現実的な選択肢として見えてきます。

仮に利回りが5%に届かなかったとしても、30年という長期であれば5%程度の利回りが実現する可能性は十分にあり、4%程度であってもインデックス投資における取り崩し率の目安とほぼ近い水準になります。かつて40歳で1億円ではFIREが厳しいと発信した際も、当時の利回りが5%であれば話は変わってきたはずで、インフレ調整された状態で年間500万円程度を30年にわたって受け取れる計算になります。多いとは言えないまでも、決して悪い数字ではありません。

もちろん物価連動といっても100%完全に連動するわけではないため、そこは株式の好調さも踏まえて、高配当株や長期の物価連動債を半分ずつ持っておくという発想も出てきます。円建てでこうした商品が用意されればよいのですが、現状ではどちらも日本には存在しないため、実現しようとすればアメリカ国債に投資し、為替リスクを取りながら運用するという選択肢になります。それはそれで潔い判断だとも言え、通常であれば外貨建て資産に偏ることは勧めにくいものの、こうした用途であれば十分にありうる選択だと感じています。

日本政府が物価連動債を新設し、個人向け国債のラインナップに加えるかどうか、あるいはNISAの対象に含めるかどうかはまだわかりませんが、もし実現すれば非常に有用な選択肢になるはずです。10年ではやや物足りず、ぜひ30年物を用意してほしいというのが率直な思いです。

またこちらの動画「【出口戦略】4%ルールは本当に安全?老後資産を減らさないための取り崩し戦略【FIREも必見】」では、老後資産を減らさない取り崩し戦略を紹介していますのでぜひご覧ください。

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