米国で急増中!1億円を作る年金運用戦略 

少し前のYouTubeライブのコメントで、確定拠出年金が確定給付年金を逆転したというものを見かけました。そもそも確定給付年金とは何なのかというところから、今回は考えていきたいと思います。

アメリカでは401kでミリオネアになったという話もよく聞きます。株式市場が好調なアメリカでは、すでに65万人ほどのミリオネアが生まれているようです。日本円にすると約1億6000万円ほどにもなり、まさに1億円どころではない金額です。

そうした話がある一方で、日本にも確定拠出年金があります。この制度によって1億円以上を築くことも十分にあり得る話です。そして、これまで主流だった確定給付年金というものもありますが、時代の変化とともに立場が逆転し始めたというニュースがありました。少し前のニュースにはなりますが、今回はこのテーマを取り上げていきたいと思います。すでに2021年の時点で、確定拠出年金の加入者数が確定給付年金の加入者数を上回っています。

確定拠出年金が確定給付年金を逆転(1:29)

2025年3月末時点のデータで見ても、その差はかなり広がってきています。2005年頃は確定給付企業年金の加入者数が1000万人程度だったのに対し、DC確定拠出年金は200万人ほどでした。当時は制度が導入されて間もなく、大企業しか採用していないような時期でした。

そこから確定拠出年金の加入者数は着実に増え続け、一方の確定給付企業年金は1000万人から徐々に減少し、現在も縮小傾向が続いています。DCの方は採用する企業が増えたことで、現在では1000万人を超え、推計で1225万人ほどにまで拡大しています。

資産残高についても調べてみましたが、こちらはまだ逆転していません。DBは企業が拠出し、退職金の一部として制度化されていることもあり、堅調に推移しています。2005年頃はDBが50兆円、DCが1兆円程度でした。DCは積み立て型で拠出額も少なかったため、急激に増える性質のものではありませんが、ポータビリティが整ってからは移行するケースも見られるようになりました。

2025年3月末時点では、DBの資産残高が95兆円程度、DC全体では53兆円となっています。ポータビリティによってDBからDCへ資産が一部でも流れれば、この資産残高もいずれ逆転する可能性があり、時間の問題だと感じています。

DC DBとは?(3:17)

ここでDCとDBの違いを整理しておきます。DCは確定拠出年金と呼ばれ、拠出額があらかじめ決まっている制度です。掛け金は固定されている一方、運用は加入者自身が行い、その結果によって将来受け取れる年金額が変わってきます。いわゆるiDeCoや企業型DCがこれにあたり、運用の指図をするのは自分自身であり、運用リスクも自分自身が負うことになります。積み立てたお金を自分で育てていくようなイメージです。

一方のDBは確定給付企業年金と呼ばれ、給付、つまり将来受け取れる年金額があらかじめ確定している制度です。拠出額の方が変動する仕組みで、加入者本人の給与から拠出するのではなく、企業がこれくらいの年金を用意するという約束のもとに予定利回りを設定し、それに近づけるよう運用を行います。

もし利回りが不足すれば、企業がその分を補填しなければなりません。運用を担うのは企業や年金基金であり、リスクを負うのも企業側です。受け取る側からすれば、将来もらえる金額の目安がある分、自分で積み立てるというよりは受け取るという感覚に近い制度だと言えます。

バブル崩壊後は運用がうまくいかなくなり、厚生年金の代行部分を担う年金基金などでも赤字が続くようになりました。企業の体力が失われ、拠出そのものが難しくなったことで年金基金を解散し、DCへ移行する企業が増えていったという経緯があります。従業員の立場からすれば、受け取れる金額が決まっているのはありがたい話である一方、インフレなどの物価変動にはリニアに対応しにくいという弱点もあります。

今の物価水準で考えると受け取れる金額が心もとなく感じられる場合もあり、これから金利のある世界、インフレのある世界に向かう中では、積極的に運用を行っていく方が好まれるようになってきているのではないかと感じます。

DBからDCへ移行していく(6:53)

株式市場が好調で金利も上昇していることから、確定給付年金も一時的に持ち直しているように見えます。ただし、これは当初から設定されている高い予定利率を、企業が何とか維持しようとしている結果だと捉えた方が良さそうです。

最近新しく作られた基金型企業年金や選択制確定給付企業年金といった制度では、予定利率はもう少し低く、1.5%程度に設定されていることが多いようです。国際的な金利上昇を踏まえると、もう少し高くなっている可能性もありますが、その程度の水準だったと記憶しています。一方でバブル期からある企業年金では、予定利率が3%や4%に達していることも珍しくなく、これを安全資産だけで運用していくのはかなり難しい状況です。

かといってリスクの高い商品へ大きく資産を振り分けてしまうと、かつて年金基金の破綻が相次いだように、危うい運用になってしまいます。企業側も共倒れになりかねず、実際にJALの破綻の際にも企業年金の問題が大きく取り沙汰されました。こうした経緯を経て、DBからDCへ徐々に移行が進んでいるのが今の状況だと考えられます。

どういう資産で運用されていた?(8:19)

2020年頃の時点でどのような資産構成で運用されていたかというデータもあります。DBはほとんどが国内債券中心の運用で、基金型であっても株式の割合はそれほど多くありません。こうした形態からDCへと移行が進んできた背景があります。

2020年当時のDCの資産構成を見ると、預貯金や保険を合わせた元本確保型が半分以上を占め、残りの半分が投資信託という配分が多く見られました。その後2022年から2025年にかけてのデータでは、企業型と個人型に分けて見ると企業型では預貯金やMMFなどを合わせた元本確保型が約30.3%まで下がっています。個人型では23.1%程度となっており、半分近くあった元本確保型の割合がかなり下がってきていることがわかります。

これは運用がうまくいっているという面もありますが、今後インフレのある世界に入っていく中で、一定程度リスクを取って運用しておかないと間に合わないという意識の表れでもあるように思います。日本の公的年金以外の年金運用全体が、国内債券中心から株式運用へとシフトしてきているということです。

ただしリスクを負う以上、それを個人が取れるように制度設計されているのがDCであり、元本確保型の商品も選べる中で自分自身の割合を決めていくという流れに変わってきています。年金を扱う以上、元本割れへの不安や運用がうまくいかないことへの怖さを感じるのは当然で、正常な反応だと言えます。だからこそ資産分散という考え方を取り入れる必要があり、特にDCはアセットアロケーション運用がしやすいように設計されているため、この方法を取り入れることをおすすめします

ちなみに米国の確定拠出年金401kではこんな事例も(10:37)

冒頭で触れた401kミリオネアですが、65万4000人が残高100万ドルを超えているというのは本当にすごい話です。ただ、アメリカの物価水準は日本の3倍程度とも言われるため、感覚としては5000万円くらいのものかもしれません。それでもかなり大きな金額であることに変わりはありません。

バンガードグループの調査によると、30代後半の労働者における株式の配分比率は88%にもなるそうです。401kという制度自体がアメリカで制度的に成功したかというと必ずしもそうではないものの、株式相場自体が上昇し続けてきたことが大きく影響していると考えられます。10年前は82%だったということなので、10年間で6%ほど増えた計算になります。

アメリカに住んでいる人は米ドル建てで運用するため、S&P500のような商品で運用していれば大きな問題は生じにくく、たとえ債券を一定割合持っていたとしても株価が上がり続ける中でその比率が変わってしまい、アセットアロケーション運用をしているつもりでもリバランスまではできていないケースもあるようです。

つまりアメリカにおいても、アセットアロケーションやリバランスという考え方が徹底されているとは限らないのが実情です。100万ドル超えの65万人がいたとして、もし全世界的な株価急落が起きた場合に何人が生き残れるかを考えると、少し怖さも感じますだからこそ安全な運用は皆さんにも取り入れてほしいと思います

アメリカの88%という比率はかなり攻めた配分なのであまりおすすめはできませんが、もう少し安定した運用を目指すのであれば、アセットアロケーション運用を取り入れると良いのではないでしょうか。戦略としては債券と株式を半々にするGPIFのような配分がオーソドックスな例として挙げられます。もう少し株式寄りにするのであれば、債券40、株式60という4060メソッドと呼ばれる配分もあり、成長性とリスク抑制のバランスを取りやすくなります。

これ以上株式の比率を高めようとする場合は自己責任の範囲になりますが、会員の間で話している全世界投資についても、おおむね40対60に近いバランスになっています。

アセットアロケーションは実際にやること自体はシンプルでも、その考え方を理解したり自分で計算したりするのはなかなか難しく、とっつきにくいと感じる人も多いと思います。だからこそ、長年のデータに基づいて情報提供されているアセットバランスを参考にしてほしいと思います。

23年間にわたってこうした情報提供を続けてきましたが、当時はまだ国内でアセットアロケーション運用という考え方自体がほとんど浸透しておらず、インデックス投資さえ珍しく、個別株投資が中心だった時代でした。そうした時代からアセットアロケーション運用の重要性を伝え続けてきたことで、今も安定的に運用を続けられている人が多いのではないかと感じています。

まとめ(14:25)

日本国内においても確定給付年金から確定拠出年金への移行は着実に進んでいます。加えて、資産全体に占める株式運用の比率も徐々に高まってきており、資産残高についてもそう遠くないうちに逆転する可能性が見えてきています。

今年、2026年12月にはiDeCoの拠出限度額に加えて企業型DCの拠出限度額も引き上げられることが決まっています。こうした環境の変化の中で運用に悩む場面も出てくるかと思いますが、長年培われてきた方法論を踏まえ、アセットアロケーション運用がしやすいDCという制度を活かしながら、この機会にぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

またこちらの動画「【確定拠出年金が大改正】2026年のiDeCo、企業型DCの改正ポイント」では、改正の全体像と落とし穴、活用術を図解で解説していますのでぜひご覧ください。

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