日経平均最高値更新!それでもオルカンの日本株比率が下がるカラクリ
日経平均が最高値を更新している中、オールカントリー(オルカン)の日本株比率を確認したところ、意外な結果が見られました。日本株が好調なのだから当然比率は上がっているだろうと思いきや、実際には下がっていたのです。
一見矛盾するように思えるこの現象には、投資家が知っておくべき重要なカラクリが隠されています。
日経平均が最高値更新(0:53)
日経平均株価は最高値を更新し、終値は5万4000円台に到達しました。さらに5万5000円を越え、市場関係者の中には年末までに6万円に達するのではないかという見方も出ています。ただし、これは選挙結果に大きく左右される可能性があります。
衆議院解散総選挙が予定されており、この観測が株価上昇の一因となっているようです。メディアでは「選挙は買い」という投資格言が語られ、市場の期待感を高めています。
選挙は買いは本当か(2:17)
「選挙は買い」という格言は本当に正しいのでしょうか。三井住友DSアセットマネジメントの資料によると、1969年から現在までの衆議院解散総選挙と日経平均株価の騰落率がまとめられています。
解散から総選挙までの期間を見ると、ほとんどの場合でプラスとなっています。2024年の衆院選では過半数割れが予想されていたこともあり、マイナス2.6%となりましたが、それ以外の選挙では政権不安定が懸念される状況でもプラスになっています。
ただし、選挙終了後の半年間を見ると、結果にはバラつきが見られます。政権が不安定な場合は株価が上がりにくく、マイナスになることもあります。逆に、国民の不満を解消できる政権が誕生すれば、期待感から株価は上がりやすくなります。
このような統計データから、選挙に向けた公約への期待感が株価を押し上げる傾向があると言えるでしょう。ただし、その後の株価動向は実際の政策実行によって大きく変わってきます。
オールカントリーの資産構成(4:28)
オールカントリー、つまりeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の資産構成比率を確認してみましょう。2025年12月30日現在の最新月報では、国内株式が4.8%、先進国(日本除く)が84.2%、新興国が10.9%という比率でした。
では、前回の決算時点ではどうだったのでしょうか。2025年4月25日時点では、日本株式が5.0%、外国株式インデックスマザーファンド(先進国株式)が84.5%、新興国株式が10.3%となっていました。
つまり、2025年4月25日には日本株式が5%だったのに対し、2025年12月30日現在では4.8%に下がっているのです。しかし、この期間中、日本株式は絶好調でした。日本株が上昇していたにもかかわらず、なぜオルカン内の日本株比率が下がってしまったのでしょうか。
この理由が分かる方は相当な投資上級者と言えます。これは時価総額加重平均の限界、あるいはオルカンの弱点とも言える現象なのです。
なお、オルカンには類似した商品が2つ存在することに注意が必要です。eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカンと、eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)です。後者は日本株式を他で購入する投資家向けに、世界株式の比率だけを提供する商品です。投資初心者の中には、検索時に間違えて「除く日本」の方を購入してしまうケースもあるため、注意が必要です。
また、eMAXIS Slimシリーズには「Slim」が付かない商品も存在します。Slimが付かない商品は店頭販売もされるため信託報酬が高く、インターネット専用のSlimシリーズの方が手数料面で有利です。これは大人の事情によるもので、店頭向けパンフレット作成だけで億単位の費用がかかるため、やむを得ず手数料に差が設けられているようです。
オールカントリーの弱点(6:27)
日本株式入りのオルカンで、日本株が上昇しているのに比率が下がっている理由を探っていきましょう。
オルカンは比率でバランスを取っているため、日本株式が上がっていても他の株式がより上がっていれば、相対的に日本の比率は下がります。オルカンは大きく分けて、日本株式、先進国株式(除く日本)、新興国株式の3つでバランスを取り、合計100%になるよう投資されています。
日本株式の比率が下がったということは、他が上がったということです。では、日本株式の上昇率に対して、先進国株式(MSCI KOKUSAI指数)と新興国株式(MSCIエマージング指数)の上昇率がどうだったか見てみましょう。
2025年4月25日から12月30日現在までの期間で、日経平均はプラス42.27%上昇しました。一方、MSCI KOKUSAI(先進国株式)はプラス37.15%、MSCIエマージング(新興国株式)はプラス42.43%でした。
比率の変化を見ると、先進国株式(日本除く)が84.5%から84.2%へ0.3%下がり、日本株式も0.2%下がり、新興国株式も0.03%下がっています。結果として、新興国株式が10.3%から10.9%まで上がったことになります。
しかし、ここで疑問が生じます。騰落率を見ると、日本株式と新興国株式はほぼ同じ42%台で上昇しています。先進国株式が他より約5%低い上昇率でした。それなら、日本株式と新興国株式の比率が上がり、先進国株式だけが下がるはずではないでしょうか。
実際のオルカンの中身を見ると、日本株式も下がり、先進国株式も下がり、新興国株式だけが上がっています。謎が深まりますが、ここにオルカンの限界、あるいは弱点があります。
重要なポイントは、オルカンの指標であるMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)が全世界の時価総額加重平均で計算されており、これが実はドル建てだということです。
世界の投資家の視点と日本の投資家の視点の違い(14:57)
MSCI ACWIの比率を考える際は、ドル建てで計算されているという点が極めて重要です。これは世界中の投資家が使う指数であり、世界の投資家の視点と日本の投資家の視点には違いがあります。
日本人投資家としては日本の視点を持ちたいところですが、世界の投資家から見ると、基軸通貨であるドルで考えるのが普通です。ドルベースで考えると、日本株式は円建てでは上がっているものの、ドル建てでは伸びが抑えられています。
ここでキーとなるのが為替レートです。この期間中、円は15%から20%ほど下落しています。現在は円安が進行し、159円といった水準にも達しています。このため、ドル建てで見ると日本株の比率は下がっているのです。
オルカンではドル建ての比率で見ると日本の比率が下がっていますが、円建てで日本株式だけを見ると上がっています。円建てで見ても先進国株式は下がっており、新興国株式が上がっています。円安の影響で、円建てで見れば外国株式は一般的に上昇します。
それでも円安を考慮した円建てでも先進国株式は下がっているため、先進国経済はもう終わりではないかという声も強まっています。ドル建ての比率も下がっており、かつ日本円建てで見ても下がっているという状況です。
日本の投資家にとって、MSCI ACWIの比率はイコール魅力度ではありません。これはあくまで世界の投資家の魅力度であり、日本の投資家の魅力度とは異なります。時価総額加重平均が最適だと言われることがありますが、その中身を理解しておく必要があります。非常に単純な話ですが、ドル建てだという点が重要なのです。
さらにもう一つ挙げるとすれば、MSCI ACWIの計算方法としてフリーフロート調整が入ります。フリーフロートとは、浮動株の時価総額加重平均を見るということです。日本株式にはまだまだ持ち合い株や政府が保有する株式が多く存在します。日本銀行も株式を購入しています。
株式会社同士が株を持ち合うことは資本提携として良い面もありますが、運用目的ではない持ち合い株や政府が保有する株式は計算から排除されます。そうすると、相対的に日本の時価総額は小さくなってしまいます。
ただし、これは以前からそうだったため、今回の期間における上下動にはあまり影響していないと思われます。仮にこの期間に政府保有株が大量に放出されたなら別ですが、そのような場合は比率が上がるはずなので、今回下がっている要因としては説明がつきません。日本銀行は2025年には買い入れを行っていませんし、持ち合いが進んでいる方向でもありません。
結局、今回の現象の主な要因は為替の違い、つまりMSCI ACWIがあくまでドル建ての指数だということです。これを修正したいのであれば、日本人から見た世界の割合に投資する方が良いということになります。外国人から見た割合を日本人も使うのは簡単ではありますが、日本人が保有すべき日本株式の割合は、実は世界から見たものとは違います。アメリカ人から見たものとも異なるのです。
この比率を考えるのがアセットアロケーションです。日本で生活し、日本経済の影響を受け、円建ての影響を受け、為替の影響も受けるため、世界の投資家の割合ではなく、日本の投資家としての割合、魅力度としての割合、ディフェンシブの観点から見た割合を保有する必要があります。そうするとオルカンは使いづらい面があります。
日本株式、先進国株式、新興国株式という3つを自分たちの比率で考えることが、アセットアロケーションのスタートとなります。ただし、オールカントリー自体が決して悪いわけではありません。日本株式も含まれていますし、この0.2%の違いは許容範囲内という考え方もあります。
為替の影響については、海外に全部投資されているのだから影響を受けているのは当然です。ただ、最もきつい状態は、円高になっていく局面、あるいは円安にも円高にもならない時に日本株式だけが急上昇し、世界が取り残されるような状況です。今は考えにくいかもしれませんが、その可能性は十分にあります。過去の暴落時を見ても、アメリカが勝手に風邪を引いて日本が巻き添えを食うものの、影響は限定的で日本の方が回復が早かったという場面は結構多いのです。
こうした場面では、日本株式の比率5%では全然足りません。もっと欲しいところです。日本人の視点から見た比率を考えていくことが、日本人にとってのアセットアロケーションのバランス、アセットバランスということになります。
まとめ(21:48)
オルカンが決して悪いわけではありませんが、一つの視点として注意すべき点があります。一つでまるっと買えるという便利さは非常に良いことですが、あくまでドル建ての指数であり、海外の投資家の視点でバランスを組んでいるため、日本人のバランスとはまた違います。
このことについて詳しく知りたい方は、アセットアロケーションや運用について勉強されると良いでしょう。勉強する時間がなく答えだけ知りたいという方には、有料会員制のマネーセンスカレッジもあります。無料体験会も用意されており、アセットアロケーション投資の方法やアセットバランスの考え方、日本人にとっての最適なバランスの考え方などが学べます。実際にやってみた結果についても話されているため、興味があれば参加してみると良いでしょう。
またこちらの動画「【知らないと危険!】大人気のオルカンに潜む最大のデメリットと今すぐできる対策方法とは?」では、オルカンの本質的なリスクとアセットアロケーションを活用した分散投資の具体的な方法を紹介していますのでぜひご覧ください。





