【2026年新NISA】年始一括投資は高値づかみ?市場データが示す意外な真実
新年を迎えると、SNS上では「新NISA360万円投資しました」という投稿で賑わいます。こうした投稿を見た積立投資をしている投資家からは、年始に多くの人が一括投資することでマーケットに影響が出て、高値づかみをしてしまうのではないかという不安の声が上がっています。
前回の動画では年始一括投資の必要性について取り上げましたが、今回は毎月積立投資を行っている人たちへの影響について、昨年のデータも交えながら解説します。
高値づかみの影響はあまりない(1:45)
結論から言えば、年始一括投資による影響はあまりないでしょう。仮に少し価格が釣り上がったとしても、長期投資においては問題にならないレベルです。可能性をゼロとは言い切れませんが、影響があったとしても非常に軽微だと考えられます。

出典:岡三証券
まず市場規模から見ていきましょう。積立投資をしている方の多くは、世界株式やアメリカのS&P500に投資していると思われます。世界の主要市場の株式時価総額は、2025年10月末現在で約2京2135兆円に達しています。昨年は1京8000兆円だったため、1年で4000兆円以上も伸びたことになります。
一方、年始一括投資できる金額は新NISAの投資枠である360万円です。NISA口座は約2000万口座開設されていると言われていますが、そのうち1割の200万人が年始に360万円を一括投資したと仮定しても金額は合計で7.2兆円です。
時価総額2京円に対して7.2兆円は、わずか0.01%程度に過ぎません。これは極めて小さな割合と言えます。
実際には全額が日本株式に投資されるわけではありません。海外資産への投資は新NISA全体の6割から7割と言われているため、日本株式には3割程度、つまり約2兆円が流入する計算になります。日本の株式市場の1日の売買代金は大体2兆円から4兆円程度なので、2兆円が一度に入ってくれば多少の反応はあるかもしれません。
しかし、米国市場の1日の売買代金は日本円換算で約20兆円規模です。そこに6兆円が入ったとしても、インパクトとしては限定的でしょう。
さらに、1月1日に全ての投資が集中するわけでもありません。大半の個人投資家は積立投資を選択しており、その投資日もバラバラです。日本株式に集中すればある程度のインパクトはあるかもしれませんが、海外資産に関してはそこまでの影響はないと考えられます。
昨年の推移(7:36)
実際に昨年の年始はどうだったのか、データで振り返ってみましょう。

出典:三菱UFJアセットマネジメント
S&P500の年初の動きを見ると、左端部分で急激に跳ね上がっているようには見えません。基準価額にして数百円程度の変動で、3万4000円に対する数百円の動きです。

出典:三菱UFJアセットマネジメント
オルカン(全世界株式)も同様に、100円から200円程度の変動に留まっています。日経平均も確かに上がっていますが、それも数百円程度です。これは1日のボラティリティとしては通常の大きさであり、他の日でも同程度動いています。
つまり、昨年の年始において新NISA一括投資による明確な価格急騰は確認できなかったということです。
そもそも長期投資において年始の価格変動はあまり問題になりません。理論上、10年後や20年後を見据えれば、今が最安値だからです。上下動はもちろんありますが、長期的には右肩上がりを前提としているため、数百円の違いは誤差の範囲と言えます。
日経平均は1日で1000円程度動くこともあります。それを考えると、年始一括投資による影響は無視できるレベルでしょう。
価格を見て買う、買わないを判断するのは投機であり、投資ではありません。できるだけ安く買いたいという気持ちは分かりますが、時間分散によって平均単価で購入できますし、資産分散を組み合わせればさらに効果的です。迷ったら時間分散と資産分散を実践するのが最善です。
高値づかみなど考えずに淡々と進めましょう。そういうことを考える時間がもったいないのです。
まとめ(9:35)
新NISAで年始一括投資をする人もいますが、毎月一定金額を積立投資している方への影響はほぼないと考えられます。計算してみても、高値づかみになる可能性は低いと言えます。日経平均に集中すれば多少の影響はあるかもしれませんが、その程度でしょう。
将来のことは完全には分かりませんので、完全否定はできません。ただし、発生確率は非常に低く、多く見積もってもわずかな影響です。
資産がある人全員が一括投資するわけではありませんし、その中でも分散投資する人もいます。実際に年始一括投資する人は全体の一部に過ぎません。1割という想定でもかなり多い方だと思われます。
SNSでは少数の声が大きく見えることがありますが、実際には100人に1人か2人程度かもしれません。それが全て同じ大きさで表示されるため、多く見えるだけです。気にする必要はありません。
市場規模に対して新NISAの年間投資枠は非常に小さいため、積み立て投資への影響はほぼ無視できるレベルです。投資はただでさえ心理的負荷がかかりますので、余計なストレスを感じないためにも、時間分散と資産分散を取り入れた長期投資を心がけましょう。
心穏やかに投資を続けることが、長期的な資産形成には最も重要なのです。
またこちらの動画「【2026年新NISA】年初一括投資がいいのか?時間分散がいいのか?」では、一括と時間分散をリターン・リスクと継続性から比較し、月次分散の使いどころを解説していますのでぜひご覧ください。





