株高円安インフレの今だからこそ投資を始めるべき理由

最近の金融市場は活況を呈しています。日経平均は5万円を突破し、S&P500は最高値を更新し続け、円安は160円に届く勢いです。

こうした状況下で「今から投資を始めるのは怖い」「もう遅すぎるのではないか」と考える方も多いでしょう。しかし実は、株高円安の今だからこそ投資を始めるべき理由があります。

株高円安の今だからこそ投資を始めるべき理由(0:54)

現在は株高、円安、そしてインフレという3つの要素が重なっています。日本でも3%程度のインフレが続いており、海外ほどではないものの物価上昇が続いている状況です。実際、海外では普通にハンバーガーセットを頼んだだけで3000円かかるなど、日本の2倍程度の物価水準になっています。

こうした状況だと「もう遅いのではないか」と考えがちですが、データを見ながら違う切り口で考えてみましょう。

①相場が上がっていれば怖くない(1:56)

相場が上がっている状態で投資を始めれば、少なくともその上昇の恩恵を受けられますその後下がってしまうリスクには別の対策をすればよいのですから、下がっている時よりも上がっている時の方が入りやすいのは明らかです。

出典:日本経済新聞

日経新聞の読者アンケートによると、20代から40代の半数以上が3年前に比べて新規の投資額を増やしており、そのうち3割は投資額を2倍以上に増やしています。3年前から投資額を増やしているということは、よほど変なものに投資していない限り、ほぼ確実に利益が出ているはずです。インデックス投資やS&P500、オルカンといった商品を購入していれば、2桁パーセントの利益が出ている可能性が高いでしょう。

つまり、上がっている時は実際に多くの人が投資を始めたり加速させたりしているのです。新NISA制度やiDeCo、DC制度なども整ってきており、非課税で運用できる環境が整ってきたことも後押ししています。

②本格的な下げ相場から投資を始めることはほぼ不可能(3:53)

下げ相場で投資を続けられる人は非常に少ないという現実があります。リーマンショックの時を思い出してみてください。下がったら下がったで「もっと下がるのではないか」と誰もが考えました。特にリーマンショックでは1年以上にわたって下落が続き、底を這うような期間が長く続きました。

さらに問題なのは、急激に回復した場合です。コロナショックの時がそうでしたが、数ヶ月で株価が回復してしまうと「もう上がってしまったから入れない」という状態になります。結局、下がっている時は怖くて入れず、上がったら上がったで入れないという状況に陥るのです。

出典:ダルバー社

米国のダルバー社が投資家心理について定量分析したデータがあります。過去30年間でS&P500指数の平均リターンは11.11%でしたが、株式投資信託を保有していた人の平均リターンはわずか3.69%でした。この大きなギャップは何を意味するのでしょうか。

答えは、多くの投資家が途中で相場から退場してしまっているということです。保有し続けていれば11%以上のリターンが得られたはずなのに、感情に負けて売却してしまうため、平均リターンが大幅に下がってしまうのです。債券でも同様で、7.67%のリターンがあったにもかかわらず、投資家の平均保有リターンは0.7%にすぎませんでした。

つまり、相場に入るタイミングではなく、長期間相場に居続けることが重要なのです。下げ相場で入ることもできなければ、入った後に下げ相場を受けた時に逃げてしまうのが多くの投資家の実態です。

③投資初期はお金を増やすことが目的ではない(7:24)

投資を始める目的は誰もがお金を増やすことですが、投資初期においては金額はほとんど増えません。多くの人は金額で見てしまいがちですが、パーセンテージで考えることが重要です。

1万円を7%の複利運用で増やしたところで、金額としては知れています。ある程度まとまった金額が欲しいわけですから、投資で増やしたいのは金額です。しかし投資初期には基本的に金額は増えません。

資産運用には資産形成期、資産増大期、資産活用期という3つの期間があります。資産形成期は仕組みを整えることが最も大事で、定期的かつシステマティックに投資にお金を回していく土台を作ることが重要です。この土台ができると、感情を排除して自動的にお金が積み上がっていきます。

0円から100万円まで投資で増やしたとしても、増えた実感はほとんどありません。500万円に育ったとしても同様です。しかし500万円から1000万円の間くらいになると、急激に増えていく実感が得られるようになります。最初の500万円程度は基本的に増えないものと考え、システムを作り、投資の方法について学ぶ期間だと捉えるべきです。

この期間は大体最初の10年程度と考えられます。長いと感じるかもしれませんが、実際にはあっという間です。その間にゆっくりと勉強できます。最初はオルカンやS&P500だけを積み立てるという方法でも構いません。株式投資は投資の王道ですから、分散投資されている以上問題ありません。

徐々に自分のお金を安定的に増やすにはどうしたらよいか、暴落した時にどういうダメージを受けるのかを投資をしながら学んでいけばよいのです。投資初期はお金を増やすことではなく、仕組みを整えることに注力すべきです。

④お金を減らすのは感情による(12:00)

投資でお金を減らす原因は暴落だけではありません。過去30年間の運用でS&P500の平均リターンは11.11%、20数年間の投資で7%の運用ができているというデータがあります。これは非常に大きなパワーです。

しかしこのリターンを受け取れない最大の原因は感情です。途中で売ってしまうなど、感情が邪魔をして非合理的な行動をしてしまうのです。システマティックに考えればこのパーセンテージが出ていたはずなのに、感情によって行動のギャップが生まれ、利回りが下がってしまいます。

投資家心理については様々な研究がなされています。ハーディング効果(群衆心理)はその一つで、行列のできるラーメン屋があれば並びたくなるという心理です。みんなが売っているから自分も売るという行動につながります。SNSで悲観的な言葉ばかりが拡散されると、人間の脳は集団心理に脅かされてしまいます。

FOMO(Fear of Missing Out:取り残される恐怖)という心理もあります。株や金がどんどん上がっていくと「今買わないと乗り遅れる」という感情が生まれ、これがバブルを形成する要因にもなります。

こうした感情によって非合理的な投資行動をしてしまい、本来受け取れるリターンを受け取れなかったり、マイナスになってしまったりするのです。人間の脳は基本的に投資に向いていません。

解決策は感情を排除するルールを作ることです。何も動いていない平静な状態の時にルールを決めてしまうのです。感情が失われた人、あるいは悟りを開いた人のようにうまくいっているルールを採用してしまうことが重要です。

全世界投資という手法では、タイミングも何を買うかも考える必要がありません。バランスを整え、全世界にまんべんなく投資するのです。株式だろうが債券だろうがREITだろうが金だろうが、すべて購入してその割合を決めるだけです。これによって投資の結果の8割が決まることは、ノーベル経済学賞でも証明されています。

感情を排除するということは、SNSを見ようが何をしようが動かないということです。一度方法を決めたらそれをずっと続けることが大事なのです。

⑤ほぼ100%元本割れを経験する(16:03)

残念なニュースですが、投資をすればほぼ100%元本割れを経験します。株価が上昇している今、投資を待とうと考えている方は、この後下がって元本割れを受けることを恐れているのでしょう。しかし投資では100%元本割れが起きると理解しておくのが最も良い心構えです。

興味深いのは、投資はしないという人でも保険は大好きだということです。資産形成をしたいけれど投資をしないという人は、何かしらの方法で資産を貯めています。預金や保険で貯蓄している方が多いのですが、保険は最初100%元本割れします。途中で解約したら解約返戻金はマイナスですが、それでも多くの人が保険を始められるのです。

保険ができるということは、投資も100%元本割れすると思っても始められるはずです。なぜなら、使うまでの期間が大事だからです。個人年金保険などで60歳や65歳まで積み立てる場合、それまでお金を使わないという前提でシステマティックにお金を入れていきます。同じことが投資でもできるはずです。

保険と投資の違いは、保険会社が金額を保証してくれるかどうかです。しかし保険会社が潰れたら終わりですし、NISAやiDeCoといった税制優遇制度ができたことで、投資の方が保険より優れた面も出てきました。実際、貯蓄型保険はほとんど売れなくなっているといいます。

保証はされていないものの、長期間やっていると増えていくという確率の高い方法があるなら、保険よりも高い利回りが得られる投資を選ぶこともできます。そのためには一社の株式や一つの国の株式ではなく、全世界の経済成長に投資することが重要です。

全世界の経済成長は基本的にコンスタントに上がっています。1年2年で下がることはあっても、現時点で様々な戦争が起こっていても経済成長は続いています。経済成長に裏付けられた株式や債券といった資産の利回りは、その経済成長を常に上回っていたことが研究で示されています。

全世界を対象にまるごと購入してしまえば、それが可能になります。これを理解してシステムに乗せることができれば、保険会社の保証よりも確実性があるといえるかもしれません。世界が潰れるときは人類が滅亡している時であり、資本主義や貨幣社会が崩壊している時です。それが起きないと信じられるなら、元本割れを恐れる理由にはなりません。

⑥動かないことにもリスクはある(21:16)

動かないことにもリスクがあることを、すでに多くの人が学んだはずです。それがインフレです。実際に体感した方も多いでしょう。投資をしていればその間は資産が増えていたため、インフレの影響を相殺できた人もいました。

1000万円や2000万円といったまとまった資産があり、それを上回る利回りが出ていれば、インフレに対抗できます。今まで投資をやってこなかった人は、このインフレに対する対策が立っていなかったということです。

特に円安型のインフレに対して、資産を適切に配置しておくことでインフレに対抗できます。これは20数年前からずっと伝えられてきたことで、実際にそうなりました。だいぶ時間はかかりましたが、それに対策していれば問題なく、デフレであったとしても運用益は出ていたのです。

今まではデフレで良かったのです。デフレだから価格が上がっていくわけではなく、運用は下手をすればしなくてもよく、定期預金でもお金は増えていきました。しかしこれから先はインフレが続きます。金利のある世界に戻ってきています。

日本だけがデフレをずっと経験しましたが、海外諸国はインフレの嵐でした。人類史上インフレとの戦いといわれるほど、ずっとインフレとの戦いが続いてきました。日本だけが特殊でしたが、これからは違います。

日本も正常化したということは、バブル崩壊級のことがなければまたデフレのような状況にはならないと考えられます。これから先はずっとインフレしていくと思えば、今行動しないこと自体にリスクがあります。

投資をしてもリスクにさらされます。重要なのは、そのリスクをコントロールする力です。インフレに対して資産や給料といったお金を守っていく術を知ることが大事になってきます。それを知ることによって生活は良くなっていきます。

動かず何もしないで誰かが守ってくれるという時代は終わりました。自分の生活、自分の人生は自分で守っていかなければなりません。資産形成やお金に関していえば、投資を開始するのは一つの選択肢です。100%のお金を投資しなさいとはいいませんが、投資を開始することは全員に必要な行為だと考えられます。

金額は本当に小さい金額かもしれませんが、それをすることによって人生にかかるリスクは大幅に減らすことができます。

まとめ(25:55)

投資は株高、円安の今だからこそ始めることができます。これから先はインフレの時代です。始めないことにもリスクがあります。これは十分に体験を持って理解できたのではないでしょうか。

怖いのであれば投資をしないのではなく、なるべく小さく始めること、なるべく早くに始めること、そして分散して始めることが重要です。株式だけという方法もありますが、学んでいく中でリスクの軽減方法を取り入れていくとよいでしょう。人類がすでに編み出したリスク軽減の方法があります。

投資のタイミングなど考える必要はありません。上がっている時に始めても、下がった時に始めても、元本割れは100%経験します。特に投資を初めてする方は、ルールに従う投資方法、自分自身で信じられる投資方法を学んだり試したりすることが大事です。

今は人類史上最も安定的な運用方法ができる環境が整っています。アセットアロケーション運用という考え方を取り入れ、全世界に分散投資することで、長期的に安定したリターンを目指すことができます。明日も来年も経済成長は続き、生活は豊かになっていくと信じられるなら、今こそ投資を始める時なのです。

またこちらの動画「《惑わされてない?》「S&P500今は買うな!」が間違っている理由」では、指数が上がり続けるS&P500を「買うな」と言う声が間違っている理由について解説していますので、ぜひご覧ください。