投資つまらないかも。。。そう思った人、正解です

「投資がつまらない」という声は、マネーセンスカレッジの会員からよく寄せられる質問です。投資を始めた頃のワクワク感を取り戻すために、個別株投資や高配当株に挑戦すべきか悩む方も少なくありません。

しかし結論から言えば、投資がつまらないと感じることこそが正解なのです。

基本的に投資はつまらない(1:16)

投資は本来、つまらないものですつまらないと気づいたということは、正しく投資できている証拠に他なりません。

投資を始めた当初は確かに刺激的です。口座開設、銘柄選定、購入金額の検討、家計管理、老後資産設計など、頭をフル回転させながら未来を描く作業には高揚感があります。

ところが積立設定を終えると、毎月の投資は機械的な作業になります。月2万円の積み立てでは年間24万円、100万円に到達するまで4年もかかります。毎日チェックしていた株価や資産残高も、やがて年に一度見る程度になるでしょう。

実際、会員向け管理アプリのアクセス統計を見ると、一ヶ月以内にチェックする人は約半数、一年以内では約9割です。つまり大半の期間、投資家は資産に触れていません。これが長期投資の正しい姿であり、異常なことではないのです。

長期投資を推奨する理由は再現性だけではありません。日々の生活こそが本当に大切だからです。家族との時間、趣味の時間、そうした日常にこそ時間を使うべきです。

投資はずっと見ている必要はない(4:19)

長期投資において重要なのは期間であり、常に監視する必要はありませんむしろ過度な監視や頻繁な売買は、逆効果になることさえあります。時間をかけてじっくり育てる感覚が求められます。

興味深いことに、頻繁に手を出してしまう投資家には、マネージャー職など人材育成に携わる方が多い傾向があるように感じます。現代の企業では人的資本への投資や生産性向上が重視されており、教育の重要性が再認識されています。しかし人材育成において、エンゲージメントと満足度を混同してしまうケースが散見されます。

働きやすい環境整備や柔軟な休暇制度は従業員満足度を高めますが、それだけでは主体性は育ちません。過保護な環境は「会社に不満はないが、やる気も起きない」という受け身の人材を生み出してしまいます。

真の人材育成には時間が必要です。過度な介入は成長を妨げます。必要に応じて声をかけながらも、基本的には見守る姿勢が重要です。短期的な成果を求めて細かく指示を出すと、指示待ち人間が増えるだけです。この原理は長期投資にも完全に当てはまります。

投資は「見守る」が必要(7:33)

選択した投資先には本来の実力があります。投資家に求められるのは、その力を信じて見守る姿勢です。過度な介入は本来のパフォーマンスを損ないます。

アセットアロケーション運用における全世界投資では、各資産クラスに固有の役割と個性があります。成長株のように積極的に収益を上げる資産もあれば、債券のように安定性を提供する資産もあります。それぞれが役割を果たすことで、ポートフォリオ全体が機能します。

一つの資産だけに依存すると、問題が生じた際に対応できなくなります。多様な個性を持つ資産でチームを構成することが、リスク管理の本質です。パフォーマンスが低迷している資産があれば、代替手段を検討したり、配分を見直したりします。これこそがアセットアロケーションの醍醐味です。

人材育成で指示待ち人間が生まれるのと同様に、投資でも頻繁な売買は本来のパフォーマンスを妨げます。

見守って育てる(10:01)

じっと見守って育てる感覚こそが、成功への近道です。

優れたリーダーは、部下にチャレンジの機会を与え、失敗した際にはしっかりフォローします。この姿勢があるからこそ、主体的な行動が生まれます。投資でも同じです。全世界に分散投資していれば、一時的に不調な時期は必ず訪れます。投資家に求められるのは、そうした局面でも慌てないバッファーの準備です。

ファイナンシャルプランニングでは、市場が不調な時期に資金を引き出す必要がないよう計画を立てます。十分なバッファーの確保、適切な取り崩し戦略の構築が重要です。これが長期投資の本質であり、日々の値動きに一喜一憂する必要はありません。

「つまらない」とは「時間がかかる」「見守る時間が必要」という意味です。チーム全体の構築に注力すれば、リスクは自然と低減されます。投資のルールの中に入り込むのではなく、外から見守る立場でいることで、自分の時間を他のことに使えるようになります。

金融資産は、自分の時間と切り離せる数少ない資産です。育て上げれば、生活や新たな挑戦に時間を使えます。その中にサテライト運用が含まれても構いません。ただし投資だけに注力するのではなく、人生を楽しむことも忘れてはなりません。

一番大事なのは「人生を楽しむ」(12:37)

投資の最終目的は、人生を楽しむことです

何もすることがないと感じたら、まさにそれが理想的な状態です。多くの人は仕事を辞めたいと思っていますし、投資も必ずしもやりたくてやっているわけではありません。必要に迫られて始めた面もあるでしょう。それならば2割の労力で8割の成果を上げ、残りの時間は自分の人生や楽しみに費やすべきです。

サテライト運用がその楽しみであれば、それも一つの選択です。やりたいことなら実行すればよいのです。

教育や人材育成の場面では、つい細かく指示を出したくなります。しかし本当の意味で育てるとは、待つことです。投資先はポテンシャルを持っています。それを信じ、引き出し、環境を整えることが投資家の役割です。注視しながらも、必要に応じて柔軟に調整する姿勢が求められます。

アセットアロケーションの各資産は、それぞれ懸命に働いています。個性があり、役割があります。その個性を引き出すのがマネージャーとしての投資家の立場です。この視点を持つことで、投資への理解は深まります。

まとめ(14:16)

投資がつまらないと感じるのは、正しく投資できている証拠です。正しく育成できている証拠でもあります。投資以外のところに時間を使うべきであり、それこそが長期投資を推奨する理由です。

最終的に大切なのは、自分の人生を楽しむことです。やることがないという状態は、実は理想的な状態です。この感覚を持つことが、投資の成功につながります。

またこちらの動画「【8割の人が投資に不満足 】投資の正解とは?不安を感じる6つの原因と解決策」では、多くの投資家がなぜ投資に満足できないのか、その原因と対処法を解説していますのでぜひご覧ください。