インフレ率急増!家計全体から見た食費や住居費の理想比率は◯%

マネーセンスカレッジが発行する「人生は4分割でうまくいく 家計管理編」では、クォーターグリッドシステム(QGS)という家計管理手法を提案しています。このシステムは家計を固定費、変動費、自己投資、貯蓄投資の4つに分け、それぞれを25%ずつ配分するというものです。

しかし実際にファイナンシャルプランを提供する中で「この比率では無理ではないか」という指摘を多く受けます。今回はこの理想比率について、現実的な視点から解説していきます。

手取り25万円の方の理想額と理想比率(1:39)

ブックレットでは手取り25万円を例に、各費目の理想比率を提示しています。固定費は住居費と生命保険料、変動費は水道光熱費・食費・日用品費・交通費・自動車関連費が該当します。自己投資には通信費、教育費、医療費、被服費、交際費、娯楽費、小遣い、嗜好品が含まれ、最後に貯蓄・投資で25%という構成です。

しかし住居費22%と食費11%について、現実的に達成困難だという声が多く聞かれました。

住居費22%(2:56)

住居費22%には家賃だけでなく共益費も含まれます。賃貸の場合はこれらの合計、持ち家の場合は住宅ローン返済、修繕積立金、固定資産税、都市計画税など、住居にかかるすべての費用がここに含まれます。

この比率について「無理だ」という声は多いものの、独身者と子育て世帯では状況が異なります。一人暮らしであれば物件選択の幅があり達成可能ですが、子育て中で世帯収入が限られている場合は確かに厳しいでしょう。

ただし生命保険料については、単身者なら生活防衛資金が貯まるまでの入院保険のみで十分です。都道府県民共済なら月額2000円の入院保障型に加入でき、割戻金を考慮すると実質1500円程度で済みます。この分を住居費に回すことも可能です。

住居費は固定費として生活の土台となるものです。もしより良い住環境を望むなら、自己投資の予算から回すという選択肢もあります。自宅で過ごす時間が長い人であれば、住環境への投資は合理的といえます。

不動産業者が推奨する手取りの30%という基準は高すぎます。最大でも25%程度に抑えるべきでしょう。それ以上の住居を望むなら、収入を増やすことが先決です。この比率が厳しいのは、25%の貯蓄率を確保することを前提としているためです。最初は負荷がかかりますが、実際に生活してみれば十分可能な範囲といえます。

食費11%(8:19)

食費11%はインフレの影響で特に厳しいという声が多く聞かれます。一般的には15%程度が妥当とされています。手取り25万円の場合、11%では2万7500円ですが、15%なら3万7500円となり、4%の差が生まれます。

この差額は他の項目から調整可能です。

通信費5%は高い(9:01)

例えば通信費5%は現在の水準では高すぎます携帯料金の値下げやWi-Fi環境の整備により、3%から4%で十分カバーできるはずです。この2%を食費に回せば改善できます。

変動費の自動車関連費4%も調整対象となります。一人暮らしなら車は不要で、どうしても必要なら自己投資扱いとして、娯楽費や小遣いから捻出する形になります。ただし世帯規模が大きくなれば15%の食費確保が必要になるでしょう。

食費については世帯収入が増えるほどパーセンテージが下がる傾向があります。まとめて調理するなど工夫の余地もあります。一般的な家計サイトでは15%から20%とされていますが、20%は外食を含む高めの設定です。外食は娯楽費として別枠で考えることで、メリハリのある家計管理が可能になります。

交際費、娯楽費、小遣い、嗜好品を合計すると13%、つまり3万円近くになります。通常の家計バランスでは10%程度が適切とされており、ここに調整の余地があります。

若年層は収入基盤が小さいため、固定費や変動費の比率が高くなりがちです。20代であれば貯蓄投資25%のうち15%は将来の支出に備えるものであり、老後資金として10%を積立投資できていれば、残りを20%程度に抑えることも現実的な選択肢となります。

この比率はあくまで目安であり、すべての世帯に画一的に適用するものではありません。単身世帯、DINKs、子育て世帯でそれぞれ異なる比率を設定する方法もありますが、晩婚化が進む現代では「貯め時」という概念が曖昧になっています。人生全体で破綻しないよう、早期から貯蓄習慣を確立することが重要です。

若年層で貯蓄率40%という極端な例もありますが、人との交流や経験への投資も大切です。コンフォートゾーンから出て、旅行などを通じて新しい経験を積むことで、人生に彩りが生まれます。

まとめ(14:42)

今回解説した理想比率は、あくまで目安として考えてください。特に食費については現在のインフレ状況を考慮し、11%では厳しい場合は他の項目から調整することが現実的です。

この家計管理の最大の目的は、貯蓄割合を確保することです。ボーナス依存の家計から脱却し、毎月の収入の中で貯蓄を実現することが重要となります。なお、将来のボーナスを当てにするのは避けるべきですが、既に受け取ったボーナスを臨時支出として家計に組み込むことは問題ありません。

QGSは貯蓄割合を確保し、その一部を投資に回すことで資産形成を目指すシステムです。自分の生活スタイルに合わせて各項目を調整しながら、現在と将来のバランスの取れた家計管理を実現していきましょう。

またこちらの動画「【生活費の節約術は限界?】貯蓄ゼロから抜け出す3つの暮らし方」では、固定費を劇的に減らすための方法を紹介していますのでぜひご覧ください。