預金キャンペーン急増の理由とは?預金の落とし穴と賢いお金の守り方
最近、定期預金キャンペーンが相次いで登場しています。魅力的な金利の裏には銀行の切実な事情や経済の変化が隠れているようです。
この記事では銀行がなぜ今預金を集めているのか、その本当の理由とこれからの資産の守り方について解説します。資産運用を始めたい方、銀行預金だけに不安を感じている方に向けた内容です。
キーポイント
銀行が預金キャンペーンを強化する背景とは?(00:00:00)
最近、定期預金の金利が1%を超えるなど高水準のキャンペーンが増加しています。この背景には銀行が抱える収益構造の転換や将来を見据えた戦略があります。
高金利の預金キャンペーンには、銀行が資金を集めたいという明確な意図があるということです。利用者にとっても、条件次第では賢い選択となる可能性があります。
金利上昇中のキャンペーン内容とは?(00:01:13)
現在の預金キャンペーンは以前に比べてかなり高金利となっており、たとえばあおぞら銀行では100万円以上の預け入れで1.25%という高水準のキャンペーンを行っています。ほかにも定期預金金利ランキングの上位6位までの8銀行で1%以上の金利が提示されているなど預金を集める動きが明らかです。
これに加えて島根銀行のようにスマホ専用の支店を開設し短期間で500億円の資金を集めた例もあります。これらの動きは単なる金利競争ではなく、銀行が本気で資金を集めようとしている証拠といえるでしょう。
銀行が預金を集める本当の理由とは?(00:02:18)
今、銀行が高金利を提示してまで預金を集めている背景には時代の変化に伴う収益構造の再構築があります。長く続いたゼロ金利政策の影響で日本の銀行は従来のビジネスモデルである「利ざや」中心の収益を得にくくなっていました。利ざやとは短期的に安く調達した資金を長期で高く貸し出すことで得られる利益のことです。かつてはこの構造が銀行の利益を支えていましたが金利がほぼゼロという状況下では成立しませんでした。
しかしここ数年でインフレが進行し政策金利も段階的に引き上げられてきました。2025年1月には政策金利が0.75%まで上昇しており、市場金利もそれに伴って上昇傾向にあります。これによりようやく銀行が金利で稼げる土壌が整い始めたのです。この環境変化を受けて銀行は再び本来の業務である貸出による利益獲得に回帰しようとしています。
ただし急激な変化には対応が必要です。現在のような環境では預金金利を一時的に高めてでも資金を集め、それを将来的な貸出業務や投資に活用することが戦略的に求められているといえるでしょう。さらに信用創造という仕組み上、預金が多いほど貸出余力が増すため、銀行にとって預金の量は非常に重要な意味を持ちます。
特に地方銀行や信用金庫は地域人口の減少や経済規模の縮小といった問題にも直面しており、今後の生き残りをかけた取り組みが必要です。資金調達の安定性を保ちつつ貸出での収益機会を確保するためには現時点での預金獲得が不可欠です。
預金集めの過去と現在の違いとは?(00:06:32)
これまでの日本の銀行はゼロ金利政策の影響下で利ざやによる利益を得るのが困難な状況にありました。そのため収益源を確保するために「手数料ビジネス」へと舵を切っていました。代表的なのが「抱き合わせ販売」と呼ばれる手法でたとえば100万円を用意し50万円を高金利の預金に預け残りを投資信託や保険に回すことで優遇金利を受けられるといったものです。このような商品は購入時に販売手数料がかかったり高額な信託報酬手数料が取られたりし、銀行側が利益を得る仕組みとなっていました。
現代の預金キャンペーンはこのような手数料型ビジネスとは一線を画します。銀行はまず高金利という「お土産」で預金者の信頼を得てその後の長期的な関係構築を目指しています。また地方銀行にとっては都市銀行やネット銀行との競争が激化する中で地域に根ざしたサービスを武器に預金者を確保しようという戦略が色濃く出ているといえるでしょう。
たとえばスマホ専用口座や利便性の高いアプリの提供、ATM網の充実といった施策もその一環です。インフラ面で優位性を確保しつつ今後の金利環境や経済変化にも柔軟に対応できるよう備えています。
銀行預金は本当に安全なのか?(00:09:40)
現在の経済環境において銀行預金との関係性を見直す必要が出てきています。その大きな理由の一つが「インフレ」による実質的な資産価値の目減りです。インフレとは物価が上昇する現象でありそれによりお金の購買力は低下します。現時点での日本のインフレ率は食料品やエネルギーを含めて約3.6%です。インフレが進行すれば銀行に預けている資産の価値は時間とともに減っていくといえるでしょう。
日銀は今後、金利を1%程度まで段階的に引き上げていくと見られています。現時点では0.5%であり今後1回から2回の引き上げが想定されており2年以内には1%を超えるとの見方もあります。インフレが進む中で銀行預金の金利がそれに追いつかない状態が続けば実質的な資産保全は困難です。
また長引くデフレを経験してきた日本人にとってインフレへの対応には心構えが必要です。インフレ1%ですら心理的な負担になりこれまでの「預金=安心」という感覚が通用しなくなってきています。国債や長期定期預金であればまだ対抗手段にはなり得ますが過去の運用損失を抱える銀行も存在しすべてが安全とは言い切れません。
今後、金利環境やインフレ率の動向を注視しながら銀行預金の役割とリスクを冷静に見極める姿勢が求められています。預金だけに依存することのリスクを理解し自らの資産を守るための視点を持つことが重要です。
長期資金に預金だけで備えるのは危険?(00:14:42)
将来に向けた資金計画において預金だけで対応することには限界があります。特に子どもの学費や老後の生活費といった長期的な資金ニーズに対してインフレという要素を考慮すると預金だけでの対応は非常に効率が悪いといえます。
また1,000万円を超える資産を保有する人にとっては預金保険機構の補償上限を意識する必要もあります。インフレが進めばその補償される金額の実質的価値も下がりかつては大きな金額とされていた1,000万円が将来的には十分でないという可能性も出てきます。
さらに大口預金者に対しては銀行からの営業活動が強まります。たとえば投資信託、仕組み預金、外貨預金、保険などの金融商品を勧められるケースが増えるでしょう。これらの提案は銀行側の戦略であり利用者側としては内容をしっかりと理解し自身の判断で適切に対応する必要があります。銀行をうまく利用しつつ自分の資産を守るという姿勢が求められます。
将来のお金を守るための具体策とは?(00:16:56)
将来に備えて自分のお金をどう守るのか、その方法は実は非常にシンプルです。それは「必要なときに必要なお金を用意する」ことです。これを実現するのがファイナンシャルプランという考え方といえます。たとえば子どもが18年後に大学へ進学するのであれば1,000万円程度の資金が必要になると想定しそれに向けて準備を始めるというものです。
しかしその間にインフレが進行すれば必要な教育費はさらに増えていきます。預金の金利ではこのインフレに追いつかないためただ預けておくだけでは資金計画が破綻するリスクもあります。下りのエスカレーターに乗りながら貯金しているようなものでいくら積み立ててもゴールには届きません。
そのために有効なのが長期的な視点での安定的な資産運用です。まずは「生活防衛資金」として生活費6か月分程度を現金で確保し、それ以外の3年以内に使う資金も預金で備えておく。そのうえで10年以上先に使う資金については投資に回すという考え方を推奨しています。
特に老後資金は多くの人にとって最も遠い将来の支出になります。したがってまず老後資金から運用を始めることで資産運用に慣れることができます。短期売買や個別株といった高度な運用ではなく積み立てによる長期運用であれば、初心者でも取り組みやすい方法です。
全世界に分散投資することで倒産や為替変動といったリスクを軽減しながら堅実に資産を育てていくことができます。最も重要なのは運用を生活に組み込み自分の家計を安定させることです。それが結果的により多くのお金を自分の人生で使えるようになるための鍵となります。
まとめ
預金キャンペーンの金利が上昇している背景には銀行の収益構造や将来の経済環境への対応があります。高金利は一見魅力的に見えますがインフレが進む中ではその実質的価値が減少するリスクもあるため預金だけに頼ることは資産防衛の面では不十分です。
これからの時代にはインフレ率を上回るリターンを目指す資産設計が求められます。ファイナンシャルプランを基に預金と投資を適切に使い分け生活防衛資金を確保したうえで長期資金は投資に振り向けることで堅実に資産を守り育てていく姿勢が重要です。
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