子どもへの贈与が名義預金にならないようにするには?
この動画では、子供名義の銀行口座を親が管理する場合の贈与税の発生リスクと、それを回避する方法について解説しています。
ジュニアNISAや特定口座の扱いも説明し、名義預金とみなされる状況と名義預金とならないようにするための4つの対策を挙げています。
また、未成年者の場合の注意点や複数の贈与者から贈与を受けた場合の扱いについても触れています。
質問内容
キーポイント
名義預金とみなされやすい状況(00:03:32)
名義人が実質的な預金者ではないとみなされると「名義預金」となってしまいます。
たとえば、以下のような状況です。
● 名義人以外が通帳や印鑑を管理している
名義人が通帳や印鑑を管理できないということは自由に使うことができない、つまり名義人のお金ではないと判断されます。
● 名義人が口座の存在を知らない
贈与というのは、あげる側ともらう側、双方の意思によって成立します。口座の存在を知らない場合はもらう側にもらうという意思がない状態ですので名義預金とみなされてしまいます。
● 金融機関の支店や届出印が不自然
祖父母が孫のために預金している場合に多いです。祖父母と孫が住んでいる地域が違う場合に祖父母の居住地限定の金融機関を使ってしまうと、本人が管理できない状況となります。たとえば、信用金庫や信用組合は地域が限定されている金融機関です。
また、届出印が祖父母が使っているものと同じである場合も不自然であると判断されやすいケースとなります。
● 生前贈与が成立していない
専業主婦で収入がないのに多額の資産を持っているというのは不自然なので、夫の給与を妻の口座で管理しているだけであると判断されやすいです。
名義預金とならないようにするための4つのポイント(00:07:16)
1.贈与契約書を作成する
重要なのは日付が明記されていることと本人の署名もしくは法定代理人の代筆の署名があることです。
書式はインターネット上で無料で手に入る雛形で十分です。
極端な話、いつ、誰が渡したのか、誰が受け取ったのか、いくら受け取ったのかがきちんと明記されているならばチラシの裏に手書きで書いてあっても問題ありません。
2.銀行振込で記録を残す
贈与契約を成立させるためには、受け取ったという事実を記録に残すことが必要です。手数料がかかるかもしれませんが、贈与者の銀行口座から銀行振込でお金を移動させることで記録を残すことができます。
3.110万円を超える贈与の場合は贈与税の申告が必要
1年間に受けた贈与が110万円を超える場合は贈与税の申告が必要となります。
4.成年後はお子さん自身が自由に使えるようにする
成年後は法的には管理能力があるとみなされますので通帳や印鑑をお子さんに渡してお子さんが自由に使える状態にする必要があります。
お金の使い方が心配でずっと持っておきたくなる気持ちもわかりますが、親子間でよく話し合い、お金の使い方について教えていくことしかできません。
未成年者の場合(00:13:00)
未成年者の場合、親権者が法定代理人としてお子さんの口座を管理することは当然です。最高裁の判例がありますので、特別代理人の選定も必要もないと考えることができます。
証券口座の場合もパスワードの管理や運用指図などを親権者が行うことに問題はありません。
ただし、贈与契約書を作ること、銀行振込で資金移動をさせることに加えて、折に触れて子ども名義の口座にお金を貯めていることをお子さんに話しておく必要があるでしょう。
もちろん成年後は、お子さん自身が自由に使えるようにする必要があります。(不動産などお金以外の贈与の場合は特別代理人が必要になるケースもありますので司法書士など専門家の方にご相談ください。)
未成年口座で投資する際は本人名義の銀行口座から入金する必要があります。この場合はお子さん名義の銀行に入金する段階で贈与と判断されますので、贈与者(親や祖父母など)の銀行口座からお子さん名義の銀行口座に振り込むようにしましょう。
成人になりお子さんに口座を渡すときに、貯まっているお金が110万円を超えている場合に贈与税が発生するのではないかと心配されるかもしれません。
しかし、そのお金が銀行口座に振り込まれた時点で贈与税の対象となっていない場合は、もう贈与税は発生しません。
名義預金にならないように贈与したものであれば、そのお金は既にお子さんのものであり、親御さんが代理で管理していたものを成人時点で本人に返すだけだからです。そもそもお子さん本人のお金なので贈与とはなりません。
注意点として「休眠口座」にならないように気を付ける必要があります。銀行口座は10年間使われていない状態になると休眠口座として扱われてしまいます。
0歳時点で口座開設、入金をしてその後18年間一度も入出金をしなければ休眠口座になってしまいますので、途中で子供自身にお年玉を入金させてみるなど工夫が必要です。
複数の贈与者からの贈与を受けた場合(00:10:46)
1年間(1月1日〜12月31日)で複数の贈与者から合計110万円を超える贈与を受けた場合、受け取った人(子ども)が贈与税の申告が必要になります。
お祝い事などが重なり、贈与金額が110万円を超えそうな場合は年をまたいで贈与してもらうなど工夫できると贈与税の支払いを避けることができます。
まとめ
子ども名義の口座管理における「贈与税のリスク」と「4つの対策方法」を詳しく解説しました。
名義預金を避けるための4つのポイントを押さえた上で、未成年者の口座管理や複数の贈与者からの贈与にも注意が必要です。
贈与税に関する将来的なトラブルを防ぐためには、贈与契約書の作成、銀行振込での記録、110万円超の申告、成年後の本人管理を徹底しましょう。家族でお金の管理について話し合い、子どもにも資産管理の重要性を伝えていくことが大切です。
贈与を受け取った時の考え方は「家計管理におけるボーナスや贈与の考え方」で解説しています。ぜひこちらもご参照ください。
これはジュニアNISAや特定口座なども同様に扱われることになるのでしょうか?