【検証】死亡保障つきで利回り2%超え。13年ぶり復活の養老保険は買い?
先日YouTubeを見ていたところ、明治安田生命が13年ぶりに養老保険の販売を再開するという広告が流れてきました。国際的に金利が上昇していることもあり、今後こうした保険商品は増えていくのではないかと感じています。実際に内容を見てみると、利回りが2%を超えており、さらに死亡保障までついてくるという紹介のされ方で、魅力的に感じる方も多いのではないかと思いました。
そこで今回は、この商品が貯蓄や投資の手段として本当に優れているのかどうかを検証し、こういった考え方もあるという一つの視点を紹介したいと思います。最終的には、それぞれにとって有利な選択肢を選んでいただければと考えています。今後も同様の保険商品が出てくることが予想されますが、今回の考え方はそうした商品にも応用できるはずです。
「保険だから」という思い込みから一歩離れ、金融リテラシーの高い人がどのように考えるのかという視点を、ぜひ取り入れてみてください。これはリテラシーの高さでマウントを取ろうという話ではなく、保険には保険なりの良さもあるため、そのあたりは踏まえたうえで考えていただければと思います。
今回取り上げるのは、ニュースになっていた明治安田生命の商品で、シミュレーションも簡単にできるものが用意されていたため、それをもとに解説していきます。商品としては「一時払い養老保険」というものになります。
商品概要(1:53)
養老保険とは、保険期間があらかじめ決まっており、その期間中の死亡保障と保険料の払い込みが続くタイプの商品を指すのが一般的です。積立形式で保険料を払い続けるものもありますが、一時払いの場合は契約時にまとめて保険料を支払い、その後は保険会社の中でずっと運用される仕組みになっています。たとえば保険期間が10年であれば、満期を迎えた時点で満期保険金を受け取るという形になります。
これに対して、満期保険金を受け取らずにそのまま保障が続くタイプが終身保険と呼ばれるものです。今回の商品はいわば養老保険の定期版というイメージに近いのですが、特約によっては満期保険金を受け取らず、予定の金利のまま据え置くことができる商品もあり、今回の商品もそれが可能なタイプになっています。一時払いであるため他の金融商品とも比較がしやすく、この点も含めて紹介していきます。
まず利回りを確認すると、予定利率は2.48%とされています。40歳男性が1000万円を一時払いし、保険期間を10年として計算した場合、満期保険金はおよそ1229万円になるという結果が出ています。つまり1000万円を払い込み、10年後には1229万円になって戻ってくるということです。
ただし金融商品として評価する際には実質利回りで見る必要があり、これを計算すると2.08%程度になります。倍率としては122.9%、つまり22.9%の利益ということになり、年複利に換算するとおよそ2.08%という数字が導き出されます。
国債と比較(3:59)
この利回りを、当チャンネルでもたびたび取り上げている個人向け国債、なかでも新窓販国債と比較してみます。今回の保険期間が10年であるため、新窓販国債の10年もの、いわゆる長期国債と比較するのが妥当です。8月募集分の応募者利回りを見ると2.78%で、税引き後では2.236%という数字になっています。
この時点で比較すると、国債のほうがわずかに有利という結果になります。単利での利回りをそのまま比較しても国債が上回っており、保険会社の運用の内部が基本的に国債で行われていることを考えれば、当然といえば当然の結果です。
その分保険には死亡保障が付いていることになり、保険としての運用部分が目減りしているとも言え、その差額は国債利回りとの差だと捉えることができます。保険会社の立場から見れば、死亡した場合には1000万円の死亡保険金が受け取れ、満期を迎えれば1229万円が受け取れるため、加入者にとってはお得な商品に見えるはずです。実際にこうした条件で契約を検討する方もいると思われ、商品自体の良し悪しというよりは、そうした選択をする人がいてもおかしくないと感じています。
死亡保障と貯蓄投資は分けて考える(5:44)
とはいえ、当チャンネルでは以前から貯蓄型の保険は基本的に不要だという立場を取ってきました。それを踏まえたうえで、今回の商品を勧めるかと言われれば、勧めないというのが正直なところです。理由は明確で、死亡保障と貯蓄・投資は分けて考え、それぞれ別の商品で用意したほうが合理的だからです。利回りが上がってきたことで魅力的に映るのは理解できますが、だからこそきちんと検証してほしいと思います。
比較のため、死亡保障だけを単独で用意する場合にいくらかかるのかを計算してみます。今回のケースに合わせ、保障額1000万円、保険期間10年の定期保険で試算すると、オリックス生命の「ブリッジ」という商品では、40歳男性の場合で月額1823円、40歳女性の場合で月額1373円となっています。明治安田生命の一時払い養老保険は男女で満期保険金に差がないため、保険料の観点では女性のほうがやや有利になると考えられます。
10年間この保険料を払い続けた場合の総額は、男性でおよそ21万8760円、女性でおよそ16万4760円です。養老保険に加入した場合は10年後に1229万円が受け取れますが、比較のために1000万円を国債で運用し、税引き後利回り2.236%で受け取った利息も同じ利回りで再投資したと仮定すると、10年後にはおよそ1247万5000円になります。
ここから先ほどの定期保険料を差し引くと、男性でおよそ1225万6000円、女性でおよそ1231万円という結果になります。つまり10年間生存し続けた場合には、どちらを選んでもほぼ互角の結果になるということです。
大きな違いは「途中で死亡した場合」(8:05)
問題は、保険期間の途中で死亡した場合にどうなるかという点です。養老保険であれば、死亡保険金として1000万円が支払われ、手元にはその1000万円が残ることになります。
一方、国債と定期保険を組み合わせている場合は、定期保険から1000万円の死亡保険金が支払われるのに加え、購入していた1000万円分の国債もそのまま残ります。つまり合計で2000万円が手元に残ることになり、途中で死亡した場合には国債と定期保険の組み合わせのほうが圧倒的に有利だということが分かります。なお、死亡保険金として受け取る分についてはどちらも1000万円であるため、税制上の差は基本的にないと考えてよいと思います。
40歳から50歳という年齢層で実際に死亡する確率自体は高くありませんが、万一の場合にこれだけの差が生まれるということは知っておく価値があります。国債は満期まで保有することが基本的な前提になりますが、保有者が死亡して相続が発生した場合には、無理に売却する必要はなく、そのまま相続することが可能です。
新窓販国債は途中で売却すると元本割れが起こる可能性がありますが、満期まで保有すれば額面どおりの金額が返ってくることが国によって保証されているため、保険会社が保証するよりも信頼度が高いといえます。また、明治安田生命の商品は途中で解約すると解約返戻金がかなり抑えられる設計になっている点にも注意が必要です。制度の説明にも、満期保険金を高くするために保険期間中の死亡保険金や解約時の解約返戻金を抑制していると明記されています。
つまり1000万円を払い込んでも、途中で解約すればその分を大きく下回る金額しか戻ってこない可能性があるということです。これに対して国債であれば、目減りのリスクはあるものの途中で換金することができ、定期保険についても不要になれば単純に解約すればよいだけです。ただし国債にも金利変動によるリスクがある点は忘れてはいけません。
市中金利の水準によって状況は変わりますが、10年債はデュレーションが長いため、金利が1%上昇すると価格がおよそ10%程度目減りする可能性もあります。その意味では、どちらの方法を選ぶにしても基本的には満期まで保有することが前提になると考えたほうがよさそうです。それでも、保険に加入する目的が死亡保障である以上、死亡時に受け取れる金額に倍近い差が生まれるという点は、知っておいて損はないはずです。
ファイナンシャルプランの原則としては、保障と運用は分けて考えるべきであり、個人にとって貯蓄型の保険は基本的に不要というのが結論になります。
まとめ(12:13)
もちろん、相続税対策として必要な分だけ死亡保障を用意しておくといった目的であれば、貯蓄型保険にも意味はあると考えています。ただし、そうした対策が必要になるケースはごく一部にとどまり、実際に必要とする方はそれほど多くないというのが実感です。そもそも相続税が課税される割合自体がそれほど高くないためです。
とはいえ、このチャンネルの視聴者の中にはすでに貯蓄型保険を保有している方も少なくないため、それを否定するつもりはなく、あくまでその程度の位置づけとして捉えていただければと思います。運用と死亡保障を分けて考えることで、より高い利回りを狙える可能性もありますが、その分リスクも増えることになるため、そのお金をいつ使う予定なのかという視点で判断するのが望ましいといえます。
今回のように利回りの高い保険商品の広告が出てきたことで、今後も同様の商品の販売が促進されていくことが予想されます。そうした状況においても、死亡時にまとまったお金を残したいという目的があるのであれば、保険以外の選択肢も含めて考えられるということを、しっかり理解しておいていただきたいと思います。
またこちらの動画「【ついに2%超え!】今買うべき個人向け国債・新窓販国債はどれ?最新金利と選び方を徹底解説」では、資金を使う時期に応じた個人向け国債・新窓販国債の選び方を紹介していますのでぜひご覧ください。





