世界幸福度ランキング日本は61位。幸福度を上げる“選択肢” 

世界の幸福度ランキングで日本の順位が低いという話は、よく耳にします。そもそも、この幸福度というものは、いったい何によって決まっているのでしょうか。

今回は、その仕組みを紐解きながら、日本の順位が伸び悩んでいる理由について考えていきます。

世界幸福度ランキングで日本は61位(0:50)

幸福度は定点観測という形で、長年にわたり継続的に測定されてきました。6つの項目をもとに算定した最新の結果では、147カ国中61位という順位になっています。

出典:worldhapiness.report

グラフを見ると、日本は青色で示された部分が他国と比べて小さいことが分かります。この青色の部分は、6つの指標だけでは説明しきれない要素を表したものです。調査では、6つの変数とは別に「幸福を感じているかどうか」という主観的な質問も行われており、その回答のうち6変数で説明できない差分を、極端に不幸な架空の国(ディストピア)を基準に0から10の範囲で数値化し、合算して表しています。

つまり、この青色の部分が大きい国ほど、数値化しにくい要因によって幸福度が押し上げられているということになります。上位のフィンランドなどは、この青色の部分が大きく伸びており、そこには社会的な要因が関わっていると考えられています。

一方、日本が幸福な国々と比べて特に低いのが、人生の選択の自由という項目です。6つの項目の中でも、人生の選択の自由と腐敗の少なさは、ランキングを大きく左右する重要な要素とされています。日本は腐敗の少なさについては高く評価されている一方、自分の人生を自分で選択できているという感覚については、非常に低い結果となっています。

幸福度を測るために使う6つの変数(3:41)

幸福度を算定する際に使われる6つの変数について、それぞれ紹介します。1つ目は1人当たりGDP、つまり経済的な豊かさです。2つ目は社会的支援、困ったときに頼れる人がいるかどうかという指標です。3つ目は健康寿命で、この項目については日本は高い水準にあります。4つ目は人生の選択の自由、自分の意思で人生を決められているかという感覚です。5つ目は寛容さで、これについては特別高くも低くもない水準です。6つ目は腐敗の少なさとなっています。

これらのうち、日本で有意に低いのは人生の選択の自由であり、社会的支援についても若干低い傾向が見られます

所得、学歴よりも「自己決定」が強い影響を与える(6:55)

こうしたデータを踏まえて、日本国内でも幸福度に関する研究が行われています。少し古いデータにはなりますが、神戸大学が発表した調査結果によると、幸福感に与える影響力を比較した場合、健康や人間関係に次いで、所得や学歴よりも自己決定の方が強い影響を与えるという結果が出ています。これは、先ほどの国際的なランキングで示された傾向とも一致するものです。

日本において、6つの指標で説明できない部分、つまり青色の残差部分が小さいのは、この自己決定の感覚が乏しいことが関係していると考えられます。研究者が指摘する要因としては、他国と比べて自己評価が厳しい文化、社会的な同調圧力、将来への不安、長時間労働、孤独感、そして人との比較が強い文化などが挙げられています。

対照的に、1位のフィンランドで青色の部分が大きく伸びている理由としては、GDPや健康寿命、社会的支援、自由度の高さに加えて、社会的信頼や強い共同体意識、政治への信頼感、徹底されたワークライフバランス、そして安心感の高さが要因として指摘されています。

日本の順位が61位と低いことについては、まずGDPランキングで決まっているわけではないという点に注意が必要です。健康寿命はトップクラスであるにもかかわらず、幸福度はそれだけでは決まりません。重要なのは、自分の人生を自分で選択できているという感覚と、困ったときに頼れる人がいるという社会的な支え、そして数値化しにくい文化や価値観、社会的な雰囲気だといえます。

この研究結果は、日々の相談業務を通じても強く実感するところです。会員向けの相談や配信の中で相談を受けていると、多くの人は選択肢を持っていないわけではなく、自分で選んでよいと思えていないケースが目立ちます。選択肢はあるのに、それを自分自身で選んでよいのだと思えていないことが、大きな要因になっているように感じられます。

日本は経済的に豊かで平均寿命も高く、誇れる社会保障制度も備えていますが、世界の幸福度ランキングでは長年低い順位にとどまっており、G7の中でも低いと指摘されることがあります。研究者が繰り返し指摘するように、自分の人生を自分で選べていると感じられるかどうかが、根底にある問題だと考えられます。

お金にまつわる情報発信の現場でも、周囲がNISAを始めているから始める、税金が得だからiDeCoを使う、あるいは国に騙されたくないから使わない、周囲が家を買っているから家を買う、同年代より貯蓄が多いか少ないかを気にするといった声がよく聞かれます。SNS上には資産額を自慢するような書き込みも見られますが、それは他人に承認してほしいという気持ちの表れなのかもしれず、本来そうした情報が役に立てば十分で、承認するかしないかという話ではなく、最終的には自分自身で決めるべきことです。

こうした同調圧力は他の場面にも見られ、たとえば女性の社会進出をめぐっては、進出しやすいよう制度を整えるべきだという意見がある一方、専業主婦を選ぶ人が批判されることもありますし、逆に専業主婦を選びたいと望む人が批判されることもあります。しかし、経済的に成り立つのであれば、専業主婦を選びたい人がそう生きてもよいはずですし、配偶者がそれを認めているのであれば、外野がとやかく言う必要はありません。

同じように、社会に貢献したいと望む人が働きづらい環境や、それを抑え込むような関係にあってほしくないとも感じます。結局のところ、本人が望む生き方を選べることが最も大切であり、それこそが自由だといえます。

そうした自由に選択できる社会を作ればよいはずなのに、一方の立場の人がもう一方の立場の人を批判するという構図が目立ちます。SNSがこうした対立を助長している側面はあるかもしれませんが、SNSそのものが悪いとは言い切れず、お金に関する情報発信もさまざまなチャンネルで行われるようになり、全体として発信の質は高まっているようにも感じられます。

大切なのは、何が正しいか、誰が何を言っているかではなく、自分自身が何を大切にしたいのか、何のためにお金を貯めたり増やしたりするのか、どんな人生であれば納得できるのかを、自分自身に問いかけて選び取ることです。人生は、思っている以上に自由なものです。それにもかかわらず自由を感じられなくなってしまうのは、忖度したり他人と比較したりすることで、自らその自由を手放してしまっているからではないかと感じます。

お金のことを相談されるときには、正解を求められる場面も少なくありません。しかし将来のことは誰にも分かりません。シミュレーションや前提条件の説明、数字による裏付けはできても、それが将来を決定づける要素にはならず、おおよその見通しが立つだけで、社会や経済の状況が大きく変化し、ルールそのものが変わってしまうことも十分にあり得ます。だからこそ、自分自身の人生において何を正解にしたいのか、あるいは自分が選んだものを正しいものにしていくのだという意識が重要になります。

社会的な変化によって人生が好転することもあれば、悪くなることもあり、一生懸命努力し、備えをしていたとしても、望んだ結果にならないこともあります。それでも、その結果は自分自身で受け止め、そこからどうにかしていくしかないのが人生です。そうしたサバイバル力のようなものを育んでいってほしいと感じます。

税制の改正など、損をしたくないという気持ちから制度の変更に振り回されがちですが、制度が変わるのは当然のことであり、そのたびに人生を制度に合わせるのではなく、自分が選んだ人生のために制度を使うという意識を持つことが大切です。そのためには、自分が何に喜びを感じ、何を大切にし、何に強く反応してしまうのかといった感情面を常に見つめ、実現したいものを探求していく必要があります。

自己決定とは「今はこれを選んでいる」と思えること(14:01)

お金の学びの中で最も大切なことは「使う」ことで、学びの最初に位置づけられると同時に、最後にたどり着く到達点でもあると考えます。お金を使うという行為には、必ず自分自身の決定が伴います。これはトレードオフとも言い換えられ、あるものに使えば、別のものには使えなくなるという選択が常について回ります。

たとえば、この記事を読むためにこの時間を使ったということは、他の時間には使えなかったということであり、それもまた一つの決定です。それを良いものとするか悪いものとするかは、その後の生き方次第であり、使った瞬間には決まりません。

無駄遣いだったと感じることがあっても、使った時点ではそれが無駄かどうかは分からないものであり、すべての消費は本来、その時点では良い消費であり、それを悪い消費にしてしまうのは、その後の自分自身の行動です。にもかかわらず、自分で決めたことを他人に選ばされたかのように言い訳にしてしまったり、他人の言葉に心が引っ張られてしまったりすることがあります。こうした自己肯定感の低さのようなものが、背景にあるように感じられます。

家計管理においては、QGS(4分割家計管理システム)のようなモデルケースを紹介することもありますが、これはあくまで目安であり、正解の形ではありません。そこから、自分自身の人生と照らし合わせて、どのような配分になっているのかを確認することが目的です。自己投資に大きく使う人もいれば、固定費に大きく使う人もいて、それは人それぞれで構わず、大切なのは、その使い方が自分自身の選択として納得できているかどうかです

たとえばグレードの高い住まいを選べば固定費は大きくなりますが、それが自分自身で納得した選択であれば、他の部分で調整すればよいだけの話です。自己投資を優先して貯蓄や投資を少なくするという選択も同様で、それ自体の良し悪しではなく、その決定を将来、良いものにしていけるかどうかが問われます。

一方で、同僚や同級生が家を買っているから、結婚したら買うものだからといった理由で、親や親戚に言われるままに選択をしているのであれば、そこに自由度は感じられません。自分はこうすると考え方を持ってよいはずですが、それを口にするのが難しかったり、角が立ってしまったりするのは、日本的な同調傾向によるところが大きいといえます。それ自体が悪いことではないとしても、そのために苦しんでいるのであれば、そこまで気にする必要はないはずです。

自分の決定に従うことは大切ですが、そこで周囲の意見に流されてしまうと、今度は「自分で決めたのだから自己責任だ」という考え方に追い詰められてしまうことがあります。投資の世界でも自己責任という言葉がよく使われますが、決定に対する責任は確かに自分にあるとしても、その結果として起きた悪いことのすべてを一人で背負う必要はなく、制度のせいかもしれませんし、専門家の意見を取り入れてもよいですし、周囲の助けを借りてもよいのです。

ただし、何を大切にするかという最終的な判断だけは、自分自身で決めなければなりません。それができないと、老後にどう生きたいかが分からないまま、ただ税金が安いからという理由で制度を選んでしまうことになりますが、制度はあくまで手段であり、自分の人生そのものとは関係のないものです。まず自分がどうありたいかがあって、そのために制度を利用するという順番が大切です。

その決断によって起きたことに対しては、自分自身の力や周囲の力を借りながら対応していけばよく、それができるようになれば、他人の声は気にならなくなり、制度をうまく使いこなせなかったとしても、幸せであればそれでよいと思えるようになります。

人生で何事も100パーセントの成果を求めることはできず、初めての経験ばかりなのですから、8割程度できていれば十分で、こうしておけばよかったと思う部分があっても、その選択があったからこそ得られた良いこともあるはずです。過去を否定するのでも、過去に戻りたいと願うのでもなく、今この状態を自分自身で受け入れ、これが幸せだと感じられるようになれば、それは自己決定できている状態だといえます。

幸福度を上げる鍵は「選択肢の自覚」(21:01)

自分自身にとって必要なのは、選択肢の多さでも、制度を完璧に理解することでも、他人の意見に流されることでもなく、これが正しい、こうありたいという自分自身の意思です。それを見つけるためには、自分自身と向き合うほかに方法はありません。幸せになるための道筋を突き詰めていくと、結局は自分自身と向き合うことに行き着きます。

人生はそもそも自由であるにもかかわらず、自由でないと感じてしまう原因は、他人の人生を生きてしまっていることにあります。国が定めた基準を、そのまま自分の目標にしてしまっているケースも少なくありません。NISAを早期に埋めなければならないとか、いくらの金額でなければならないといった基準に縛られる必要はなく、その半分の金額でも豊かに生活できる状態を作ることは十分に可能です。どのような人生にしたいのかを、今一度考えてみてほしいと思います。

まとめ(22:15)

ここまで話を続けても、それだけでは変わりません。ここで一度立ち止まり、自分自身の人生とはどのようなものなのか、どのように生きていきたいのかを考えてみてほしいと思います。長年の考え方の癖は、一度考えただけでは変わりません。お金の使い方の一つひとつについて、その都度、自分にとって必要なものなのか、自分の豊かさにつながっているのか、なりたい自分に近づいているのかを確認していくことが大切です。

これを繰り返すことで判断力が磨かれ、やがて瞬時に答えを出せるようになります。多くの人はこの確認を行っていません。金額の大小にかかわらず、その都度確認していけば、大きな金額でも納得して支払えるようになりますし、逆に小さな金額でも絶対に払いたくないと感じるようになるなど、自分なりの感覚が自然と育っていきます。

日々の生活の中でお金を使うたびに、その天秤を少しずつ磨いていくことで、やがてなめらかに動く、自分にしか使えない天秤ができあがります。他人の天秤で自分の人生を測ろうとすると、まったく違う結果になってしまい、それを自分の人生だと思い込んだまま歳を重ねると、後悔だけが残ってしまいます。

お金の使い方から見える幸せというものは確かに存在し、お金は仕事や家族関係など、人生のさまざまな側面とつながっています。すぐに変える必要はありませんが、選ぶ余地は自分自身にあり、それを取り戻すことはできるということを、今一度考えてみてほしいと思います。

またこちらの動画「投資リターンの80%が決まる!資産分散の割合「アセットバランス」の2つのアプローチ」では、アセットバランスの決め方と資産分散の考え方を紹介していますのでぜひご覧ください。

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