資産額別・消えていくお金の不安。100万円、500万円、1000万円で人生はどう変わるのか?
最近、資産が増えて不安がなくなったというコメントをたくさんいただきます。株価が上がっていることも大きいと思いますし、五年ほど前から資産運用や株式投資を始められた方の中には、驚くほど資産を増やされたケースも珍しくありません。
ただ、不安が消えると同時に、また別の不安が生まれてくるのも事実です。資産の段階ごとに消えていく不安があり、逆に新しく生まれてくる不安もあります。
今回は、その資産額別に消えていく不安と、まだ残っている不安について整理していきます。以前にも資産額別の心境の変化について取り上げた動画がありますが、多くの反響をいただきました。それだけ、皆さんそれぞれに不安を抱えながらも、目標に届いたときのワクワクした気持ちを持っているのだと思います。
今回はその不安に焦点を当てながら見ていきます。
【100万円で消えていく不安】急な支出におびえる不安(1:53)
人生全体で見れば100万円はそれほど大きな金額ではありませんが、毎月の給与から貯蓄しようとしても一年で貯められる方は多くありません。ゼロから貯め始めた場合、二年から四年ほどかかるのが一般的です。仮に一年で貯めるなら月あたり八万円台、二年なら四万円ほど、四年なら二万円ほどの計算になります。月収二十万円の方であれば貯蓄率にして約十パーセントほどですので、決して届かない数字ではないはずです。
100万円が貯まると、家の故障や旅行、医療費といった急な出費に対応できるようになります。急な怪我や病気で医療機関にかかったとしても、高額療養費制度を使えば月をまたいでも二か月分ほどでまかなえることが多く、一般的な会社員であれば二十万円程度あれば十分な水準です。もちろん、それが三か月、四か月と長引く大病になれば話は別で、ファイナンシャルプランそのものが崩れてしまいますが、あくまで急場をしのぐという意味では100万円がひとつの目安になります。
この金額は、いわゆる生活防衛資金にあたり、目安としては生活費の三か月から六か月分、単身者であれば五十万円から百万円程度で十分と考えています。それ以上に積み上げても資金効率が悪くなるだけなので、六か月分ほどあれば安心できる水準です。転職や副業に挑戦したいときも、半年分の生活費があれば動きやすくなりますし、金銭的な余裕が生まれることでストレス発散の仕方にも選択肢が増えていきます。
ここまでは投資よりもまず貯めきることを意識してほしい段階で、三十代や四十代で普通の生活を送っている方であれば、多くがこのあたりの金額に到達しているはずです。今使うお金と将来使うお金を切り分けて考えられるようになるのもこの頃からで、まだ100万円を貯めた経験がない方にとっては、この壁を越えること自体が大きな自信になり、その日暮らしのようなお金の使い方から抜け出すきっかけにもなります。
【300万円で消えていく不安】小さなリスクまで保険で守らないと不安(6:21)
医療費が二か月以上に及ぶような病気になると、100万円ではさすがに心もとなくなってきます。月十万円としても二か月で二十万円ですが、それ以上長引く病気となると治療そのものも重くなり、治療に集中しづらくなってしまいます。特に一人暮らしで身近に頼れる親族がいない場合、お金は大きな安心材料になりますが、100万円では十分とは言い切れません。
300万円ほどあれば、早期発見・早期治療が前提にはなりますが、いわゆる切れるがんであれば治療費をおおむね賄えるようになります。もちろん進行してしまったがんではもっと長引く可能性もありますが、早期に見つけて対応できる病気としては、がんをはじめとする三大疾病の医療費や入院費にも自分の資産で対応しやすくなる金額と言えます。仮に貯蓄を取り崩すことになっても、乗り越えた後にまた一から貯め直せばよいだけの話です。
この段階の貯蓄が投資で運用されているか、そのまま貯蓄として置かれているかは人それぞれですが、命に関わる場面であれば将来のために運用していたお金であっても迷わず使ってよいものと考えています。
この金額に届いていない方は、がん保険や入院保険といった医療保険に加入したいという気持ちが強くなりがちですが、300万円を超えてくると医療保険そのものが不要になってくることも多いです。医療保険にどうしても入りたい場合は、都道府県民共済のような月二千円程度で加入できるものをおすすめしています。年間にすればおよそ二万四千円ですが、この金額を保険料として払い続けるか、貯蓄や投資に回すかで将来の資産形成のスピードは変わってきます。
もちろん家族構成や持病の有無、自営業か会社員かといった働き方によっても必要な金額は変わり、傷病手当がない自営業の方であれば300万円では足りないと感じることもあるでしょう。ただ、一般的な会社員であれば、このあたりでもう医療保険は卒業してよい水準です。
【500万円で消えていく不安】このまま貯金だけで大丈夫なのかという不安(11:00)
500万円という金額に到達する方の多くは、貯蓄だけでなく投資を組み合わせて資産形成を進めているケースがほとんどです。これからの時代、貯蓄だけでこの金額を超えていくのは簡単ではなく、投資の力を借りている方が大半だと考えられます。
500万円まで到達すると、生活防衛資金に加えて、将来に向けた資金にも厚みが出てきます。内訳としては、企業型DCなどの制度に百万円ほど、手元の貯蓄に四百万円ほどというように分散しているケースも多く、総額として老後資金という位置づけが見え始めてくる段階です。
守るお金と増やすお金を分けて考えられるようになるのもこの頃で、単身者であれば百万円程度をすぐに引き出せる生活防衛資金として定期預金などに置き、残りの数百万円は十年以内に使うお金として、車の購入といった近い将来の支出に備える形が一つのイメージになります。
ここ数年の株価上昇で一気に500万円を超えた方の中には、この流れがずっと続くのではないかと錯覚してしまう方もいますが、増えた分だけリスクを抱えていることを忘れてはいけません。相場は必ず調整局面を迎えるものなので、増えた資産を守る力や姿勢もこの段階で身につけておきたいところです。
節約で支出を減らすことに注力するよりも、貯蓄率をパーセンテージで捉え、二十五パーセントを目安に少しずつ近づけていく方が現実的です。500万円まで到達できているということは、すでにある程度の貯蓄率を確保できている証拠でもあります。
この段階になると、貯金だけで大丈夫なのか、今の収入だけで大丈夫なのかといった漠然とした不安から、資産全体を見渡して生活費や貯蓄、投資の配分を考える未来志向の思考へと少しずつ移っていきます。
【1000万円で消えていく不安】一発逆転しないと人生が変わらない不安(16:41)
1000万円を手元に持っていない方の多くが感じているのは、老後への漠然とした不安です。これは単身者でも、子育て中の家庭でも変わりません。子育て世帯であれば教育費という別の心配もありますが、それでも最終的に多くの方の頭に残るのは老後の資金のことです。
国の財政や年金の先行きが不安視される報道を見るたびに、将来もらえる年金が減っていくのではという不安を抱く方も多いはずです。500万円では老後資金として心もとないという声もよく聞きますし、単身で数百万円ほどの資産のまま老後を迎えると、不安を抱えたまま生活が始まってしまうケースも見てきました。
身近な例として、一人暮らしで基礎年金のみ、手元資産も1000万円に届くかどうかという状態だった親族がいましたが、認知症が進んで介護施設に入る段階になったとき、希望する施設に入れないという場面もありました。結果的にはもう少し費用を抑えた施設に入ることができましたが、それでも工夫が必要なレベルでした。
1000万円に届いていない段階では、一発逆転を狙って大きな金額を一気に投じるような、いわば投機的な考え方に傾いてしまう方も出てきます。これは本来目指している、リスクを抑えながら着実に資産を育てていく考え方とは真逆の発想です。
1000万円をちょうど超えたあたりであれば、子どものいない五十代の方でも十分にやっていける水準です。安定した収入があることが前提にはなりますが、老後の生活レベルとしては平均的な暮らしを十分にまかなえる金額になります。全世界に分散した資産運用であれば、年利五パーセントから七パーセントほどが期待でき、1000万円であれば年間五十万円から七十万円ほどの利益が生まれる計算です。相場が良い年であればもっと大きな利益が出ることもあり、資産が増えていく実感を持ちやすくなるのもこの頃です。
増えている実感が持てるようになると、無理にリスクを取って一気に増やそうとする必要がなくなり、大きく減らさない、守りに入るという意識が強くなっていきます。資産そのものが心の支えになり、他人との比較で自己嫌悪を感じることも少なくなり、生活レベルを無理に上げようとする気持ちも和らいでいきます。
【3000万円で消えていく不安】老後がどうなるかわからない不安(22:02)
会社員家庭であればという条件付きにはなりますが、3000万円まで到達すると老後がどうなるかわからないという不安はほぼ解消されます。単身でも夫婦でも、まとまったこの金額があれば一生涯を十分に乗り切れる水準です。
一方で自営業の方は基礎年金のみで月七万円程度、夫婦であっても十四万円ほどしかもらえないため、生活保護の水準よりも低くなってしまうのが現実です。ただ多くの方は会社員だと思いますので、3000万円は老後資産設計として十分な金額と言えます。
もちろんもう一段上の生活を求めるのであれば金額を増やす必要がありますが、今の生活とのバランスを取りながら考えていけばよいものです。体が元気なうちにしかお金は使えませんので、稼げているうちは今の生活も楽しんでよいはずです。
3000万円を超えて老後資金の見通しが立ち、まだ運用も続けているという状況であれば、今のお金を使うことにも前向きになれます。夫婦のどちらかが老後に入ってすぐに亡くなってしまうようなケースに備えて死亡保障をかけている方もいますが、この金額があればその保障すら解約できる場合があります。
ただし、まだ子どもが育ちきっていない段階であれば、教育費が最後にまとまってかかることもあり、3000万円では少し足りないと感じることもあるでしょう。子どもがすでに独立しているのであれば、死亡保障はほぼ不要になり、その分を貯蓄に回したり、生活を豊かにすることに使ったりできるようになります。
【5000万円で消えていく不安】資産形成を頑張り続けなければいけない不安(24:47)
5000万円ほどの規模になると、資産を増やすことよりも、どう維持し運用していくかという悩みに変わっていきます。実際、この規模で相談に来られる方も多く、リスクを抑えながらある程度のリターンも期待できる運用方法を模索している方がほとんどです。
ここまでは貯蓄の入金力や投資、あるいは相続などさまざまな形でたどり着いた方がいますが、しっかりとした運用の土台がないまま偶然や幸運でこの金額に届いた場合、不安は消えないままになってしまいます。逆に安定した運用方法という土台さえあれば、もう資産形成を頑張りすぎる必要はなくなり、追加で入金しなくても資産が育っていく状態を作ることができます。
五十代後半から六十代で退職された方が、今後この資産をどう扱えばよいか相談に来られることもよくあります。この規模になると運用による増加額も大きく、年利五パーセントで二百五十万円、七パーセントで三百五十万円ほどの増加が見込め、年金と合わせれば十分に生活を支えられる水準になります。多少相場が下がったとしても、生活レベルを調整しながら取り崩していけば乗り越えていけるはずです。
ここまで来ると、必死に貯めなければ、常に節約しなければという焦りから解放され、どのくらいの生活水準であれば安定して暮らせるかという発想に変わっていきます。資産形成を人生の最優先事項にしなくてよくなる分、時間や健康、家族、仕事の満足度といった、お金以外の要素にも意識を向けやすくなります。三十代でこの規模に到達している方の中にも、家族との時間や自分自身の理想の人生に近づいていくことを考え始める方がいます。
【1億円で消えていく不安】働き続けなければ生きていけない不安(28:39)
1億円に到達すると、次に見えてくるのは仕事との向き合い方です。この金額を機に、いわゆるファイアのような形で退職し、今まで行けなかった海外旅行や世界一周に出かける方も実際にいます。数年かけて世界各地に滞在しながら楽しむという生き方を選ぶ方もいれば、日本国内の温泉を巡りたいという方もいて、人それぞれの過ごし方が見えてきます。
個人的な感覚としては、1億円あっても四十代でのファイアは少し早いと感じますが、五十代前後であれば十分に選択肢に入りますし、六十代であれば迷わず楽しんでよい水準です。世帯の人数によっても状況は変わり、単身であれば思い切って楽しんだ方がよいと考えています。5000万円を使ったとしても、残りの資産だけで老後は十分にまかなえますし、使い切るまでの間にも運用によって資産はさらに増えていきます。
多くの方の自由を阻んでいる最大の要因は、やはり仕事だと感じています。働き方改革が進む中で、一週間のうちに自由に取れる休みが増えたり、フレキシブルな出勤時間やテレワークが取り入れられたりするだけでも、働くことへの負荷はかなり下がるはずです。
この規模の資産があれば、辞められないから働くという状態から、やりたいから働くという状態へと変わっていきます。自分自身も仕事を続けていますが、それは社会に関わっていたい、誰かの役に立ちたいという思いが大きく占めているからだと感じています。大切なのは仕事を辞めたいという発想よりも、やりたい仕事を選べる自由を持てるかどうかで、その状態こそが多くの方にとって望ましいゴールなのではないかと思います。
まとめ(32:11)
100万円から1億円まで、資産額ごとに消えていく不安を見てきました。お金は人生のすべてではありませんが、あらゆることにお金は関わってきます。だからこそ、今自分が何に不安を感じているのかを一度立ち止まって問いかけてみてほしいと思います。
漠然とした不安のままでは何をすればよいか分からなくなってしまうので、できるだけその不安を言葉にして、はっきりさせることが大切です。そうすれば、あとはその不安を一つずつ解消していく生活を積み重ねていくだけになります。
時間はかかるかもしれませんが、前に進んでいる自分自身を確認できるだけでも、着実に前進していけるはずです。こうした過程を積み重ねながら、皆さんそれぞれの理想の人生に近づいていっていただければと思います。
またこちらの動画「【仕事も不要に!?】資産100万円〜1億円で「いらなくなるモノ」一覧|貯金・投資・保険が変わる!」では、資産額別に不要になるモノと理由を解説していますのでぜひご覧ください。





